《機械》〈電気機器〉[H28:問5] 交流遮断器の分類と特徴に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,交流遮断器の分類と特徴に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

交流遮断器には,高性能,高信頼性,経済性に加え小形化,保守省力化などの要素も要求される。従来用いられてきた空気遮断器は動作時の\(\fbox {  (1)  }\)が大きいこと,油遮断器は油劣化に対する点検などの課題があり,これらの問題を解決できるものとしてガス遮断器や真空遮断器が開発された。

ガス遮断器は\(\fbox {  (2)  }\)を絶縁・消弧媒体として利用した遮断器で,\(\fbox {  (3)  }\)が空気の100分の1以下とう顕著な特性を利用して,極めて優れた遮断性能を実現しており、今日製作されている遮断器の主流となっている。しかし,\(\fbox {  (2)  }\)は1997年の気候変動枠組条約締約国会議において,温室効果ガスに指定されたため,今日では代替物質の開発やガスを全く使用しない機器の実用化に向けた研究が進められている。

真空遮断器は,接点の開閉を真空のバルブの中で行う遮断器で,高真空中の急速なアークの\(\fbox {  (4)  }\)と絶縁回復特性により高い消弧能力を有している。電極の\(\fbox {  (5)  }\)を防ぐため,電極構造を工夫してアークに横方向の磁界を加えることでアークに\(\fbox {  (6)  }\)を与え,アークの1点集中を抑えて電極の溶融を防ぐとともに,アーク電圧が低いので\(\fbox {  (7)  }\)。真空遮断器は小形で構造が簡単であることや保守が容易などの特徴があり,主として\(\mathrm {66kV}\)以下の遮断器に用いられている。

〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 遮断時間   &(ロ)& 電極消耗が少ない   &(ハ)& 局部加熱 \\[ 5pt ] &(ニ)& \mathrm {CO_{2}}ガス   &(ホ)& サージ電圧が出ない   &(ヘ)& 凝縮作用 \\[ 5pt ] &(ト)& \mathrm {SF_{6}}ガス   &(チ)& 接触力   &(リ)& 回転運動力 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 比 重   &(ル)& アーク時定数   &(ヲ)& 吸引力 \\[ 5pt ] &(ワ)& 集中作用   &(カ)& 騒 音   &(ヨ)& フロンガス \\[ 5pt ] &(タ)& 回復電圧   &(レ)& 拡散作用   &(ソ)& 真空漏れに強い \\[ 5pt ] &(ツ)& 力率低下   &(ネ)& 絶縁低下
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

平成28年の機械科目は比較的難しい問題が多いですが,この問題は電験一種としては比較的易しい問題であると思います。

1.遮断器の種類
遮断器の種類は消弧媒体により分けられ,以下の通りに分類できます。このうち,現在主として扱われているのは真空遮断器とガス遮断器(主に\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)以上)になり,電験ではこの二種類から出題されます。(古い発電所では磁気遮断器や空気遮断器が使われている所もあります。)
 ①油遮断器(\(\mathrm {OCB}\))
 ②磁気遮断器(\(\mathrm {MBB}\))
 ②空気遮断器(\(\mathrm {ABB}\))
 ④真空遮断器(\(\mathrm {VCB}\))
 ⑤ガス遮断器(\(\mathrm {GCB}\))

2.真空遮断器
遮断部分が真空バルブに収められた遮断器で,高真空中の電子と粒子の拡散によってアークを消弧します。特徴は以下の通りです。
 ①消弧能力が高い
 ②騒音が少ない(\(\mathrm {ABB}\)は爆発音のような音がします)
 ③真空バルブが長寿命で,交換も容易である
 ④ガス遮断器と比べ,管理が容易である

3.ガス遮断器
消弧能力が高い\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスを用いた遮断器で,遮断時に発生するアークを\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスで吹き付け消弧します。特徴は以下の通りです。
 ①消弧能力が高い
 ②\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスが化学的に安定で不活性である
 ③絶縁耐力が高い
 ④絶縁耐力が金属粉等に異物により大きく低下する
 ⑤アークでHF等の分解生成物ができるので,吸着剤での除去が必要
 ⑥低温で\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスが液化するのでヒータ等の対策が必要
 ⑦温室効果ガスに指定されているので,構造を密閉式にし,圧力の管理を行う必要がある。

【用語の解説】

(イ)遮断時間
 事故が起こってから遮断器が動作するまでの時間のことです。
(ロ)電極消耗が少ない
 接点開放時に接点部の電極が消耗します。これにより,遮断器の寿命が決まります。
(ハ)局部加熱
 接点間のアークが一点に集中すると局部加熱が発生します。
(ニ)\(\mathrm {CO_{2}}\)ガス
 \(\mathrm {SF_{6}}\)ガスに比べ温暖化係数が小さいため,遮断器の代替ガスとして検討はされているようですが,2018年現在は実用化には至っていないようです。
(ホ)サージ電圧が出ない
 サージ電圧は開閉動作により発生します。全く出ないということはあり得ません。
(ヘ)凝縮作用
 気体が液化することを凝縮と言います。
(ト)\(\mathrm {SF_{6}}\)ガス
 ガス遮断器に用いられる気体で,\(\mathrm {S}\)や\(\mathrm {F}\)等非常に体に悪そうな物質の組合せなのに,化学的に安定かつ無色,無害,無臭といった特徴があります。しかし,温暖化係数が\(\mathrm {CO_{2}}\)の20000倍以上となっているので,厳重な管理が必要とされています。
(チ)接触力
 接触する物体に働く力で,摩擦力や表面張力等があります。
(リ)回転運動力
 アークに垂直方向に磁界を加えると,フレミングの左手の法則により,アークに回転運動力が働きアークが一点に集中せず,局部加熱を防ぐことができます。
(ヌ)比重
 気体では空気を基準とした重さで,\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスは空気の約5倍です。
(ル)アーク時定数
 アークが収束するまでの時間を表すものであり,\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスは空気の約\(1/100\)程度となっています。
(ヲ)吸引力
 文字通り吸い込む力ですが,本問とはあまり関係がないようです。
(ワ)集中作用
 拡散作用と比較して作成した誤答であると思いますが,遮断器ではアークが拡散するように対策する必要があります。
(カ)騒音
 近年は少ないですが,空気遮断器(\(\mathrm {ABB}\))を扱っていた時は物凄い騒音だったと記憶しています。
(ヨ)フロンガス
 環境規制のかかっているガスの一つですが,こちらはオゾン層の破壊が最も問題となっているガスです。
(タ)回復電圧
 遮断器が動作した後,最初過渡回復電圧という急峻な高電圧が発生し,その後回復電圧になります。この過渡回復電圧と回復電圧が再発弧に影響します。
(レ)拡散作用
 真空遮断器の消弧原理に関するもので,真空遮断器はアークの拡散によって消弧します。
(ソ)真空漏れに強い
 (7)の誤答を狙った選択肢と思いますが,真空バルブ密閉構造に関する内容と考えられ,本問とはあまり関係がない内容です。
(ツ)力率低下
 系統の事故等では無効電力が増大し力率低下は考えられますが,遮断器の開放では発生しないと思います。
(ネ)絶縁低下
 ガス遮断器では不純物や水分等で絶縁が低下することがあります。

【解答】

(1)解答:カ
題意より解答候補は,(イ)遮断時間,(ハ)局部加熱,(ル)アーク時定数,(カ)騒音等になると思いますが,空気遮断器では騒音が大きいことが課題となっています。

(2)解答:ト
題意より解答候補は,(ニ)\(\mathrm {CO_{2}}\)ガス,(ト)\(\mathrm {SF_{6}}\)ガス,(ヨ)フロンガスになると思いますが,ガス遮断器では\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスを用いて遮断します。

(3)解答:ル
題意より解答候補は,(イ)遮断時間,(ヌ)比重,(ル)アーク時定数等になると思います。\(\mathrm {SF_{6}}\)ガスは,絶縁耐力が空気の約3倍(大気圧下),比重が約5倍,アーク時定数がの約\(1/100\)程度となっています。

(4)解答:レ
題意より解答候補は,(ヘ)凝縮作用,(ワ)集中作用,(レ)拡散作用になると思います。真空遮断器は真空のアークに対する大きな拡散作用を利用した遮断器です。

(5)解答:ハ
題意より解答候補は,(ハ)局部加熱,(ツ)力率低下,(ネ)絶縁低下等になると思いますが,電極構造を工夫してアークの1点集中を抑えるのは局部加熱を防止するためです。

(6)解答:リ
題意より解答候補は,(チ)接触力,(リ)回転運動力,(ヲ)吸引力になると思います。アークに横方向の磁界を加えることで,フレミングの左手の法則によりアークに回転運動力が発生します。

(7)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)電極消耗が少ない,(ホ)サージ電圧が出ない,(ソ)真空漏れに強いになると思います。電極構造を工夫して効果があるのは,アークを一点に集中させずに電極消耗を抑えることです。



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