【問題】
【難易度】★★★★★(難しい)
送電線地絡事故などの発生により過渡不安定現象が発生して発電機が脱調すると,他の発電機も連鎖的に脱調して広範囲にわたる停電へと波及する可能性がある。このような波及事故を防ぐための保護リレーシステムに関して,次の問に答えよ。
(1) 脱調現象を未然に防ぐための脱調未然防止リレーシステムについて,演算方式や制御の対象を\( \ 150 \ \)字程度以内で説明せよ。
(2) 脱調現象が発生した場合に速やかに脱調状態を解消する脱調分離リレーシステムには,インピーダンスローカス方式と電圧位相比較方式がある。両方式による脱調検出の原理について,それぞれ\( \ 100 \ \)字程度以内で説明せよ。
【ワンポイント解説】
発電機の脱調現象に伴う波及事故を防ぐ脱調未然防止リレーシステムと脱調分離リレーシステムに関する問題です。
かなり専門性の強い内容なので,選択できた受験生は少なかったと予想されます。ほとんどの受験生がわからない内容なので,知らないからと言って焦らないことが重要です。
1.脱調保護リレーシステム
地絡事故等が発生すると,発電機の電気的出力が大きく低下し,機械的入力を下回って回転速度が上昇します。このとき,事故除去が遅れると発電機の内部相差角が上昇し,同期運転が維持できなくなります。これを脱調といいます。
脱調保護リレーシステムはこれを防止するためのシステムで,脱調を未然に防ぐための脱調未然防止リレーシステムと脱調発生時に脱調した発電機を速やかに系統から切り離し波及事故を防ぐ脱調分離リレーシステムがあります。
①脱調未然防止リレーシステム
演算により脱調の予測される場合に自動的に一部の電源を遮断して,脱調を防止するシステムです。
系統の条件を事前に予測して,電源遮断パターンを決めておく事前演算方式と,事故現象を前後の電圧,電流等からリアルタイムで計測しながら演算を行い,必要な電源遮断量を求めていく事後演算方式があります。
さらに,事前演算方式には,あらかじめ事故様相や潮流を想定し,事故様相毎に必要電源遮断量等を決定しておくオフライン事前演算方式とオンライン情報から周期的に安定度計算を行い事故様相毎に制御パターンを決定しておくオンライン事前演算方式があります。
②脱調分離リレーシステム
電力系統において発電機が脱調を起こした際に,その影響が系統に拡大しないように脱調した発電機を速やかに系統から分離するためのリレーシステムです。インピーダンスローカス方式と電圧位相比較方式があります。
ⅰ.インピーダンスローカス方式
電圧と電流から計算されるインピーダンスの軌跡が,脱調時に移動していくことを利用して検出する方式です。一般の系統事故においては,時間経過とともにインピーダンスが移動していくことがないので,脱調を検出することができます。
ⅱ.電圧位相比較方式
脱調時に送電線両端の電圧の位相が反転する特性を利用して検出する方式です。送電線両端の電圧を電流差動リレーの伝送信号と一緒に伝送して電圧位相の検出を行います。系統事故時には発電機位相は変化しないため,脱調を検出することができます。
【解答】
(1)脱調未然防止リレーシステムの演算方式や制御の対象
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.脱調保護リレーシステム」の通りです。
(試験センター解答例)
事故時の発電機群の電圧位相差の動揺をシミュレーションし,脱調の可能性があれば未然防止に必要な電源制限の最適制御量を演算し,その結果を発電機へ指令して実行する。系統条件を事前に予測して演算する事前演算形と,事故現象をリアルタイムで計測しながらシミュレーションを行う事後演算形がある。
(2)脱調分離リレーシステムにおけるインピーダンスローカス方式と電圧位相比較方式の脱調検出の原理
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.脱調保護リレーシステム」の通りです。
(試験センター解答例)
インピーダンスローカス方式:
二つの系統を連系する送電線の距離リレーが自端での線路電流と電圧の計測情報から測距インピーダンスを求め,その軌道が電気的中心付近に来た際に脱調の発生を検出し,両系統を分離する方式。
電圧位相比較方式:
二つの系統を連系する送電線両端の電圧を送電線保護装置である電流差動リレーの伝送信号と一緒に伝送して電圧位相の検出を行い,両電圧の位相差がを超えた場合に脱調が発生したと判定して両系統を分離する方式。














愛知県出身 愛称たけちゃん