《電力・管理》〈変電〉[H23:問3] 変電所における母線電圧算出に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

図のような\(P=10〔\mathrm {MW}〕\)(遅れ力率\(0.8\))の負荷が接続された変電所において,変圧器の三次側にコンデンサ\(30\mathrm {Mvar}\)を設置した場合および設置しない場合の二次母線電圧を求めよ。
ただし,一次母線電圧は\(150\mathrm {kV}\),容量,%インピーダンスおよび使用タップの変圧器諸元は,次のとおりとし,変圧器の有効電力潮流による電圧降下分は無視できるものとする。また,計算においては,負荷電流は二次母線電圧が\(77\mathrm {kV}\)のとき\(10\mathrm {MW}\)となる電流,三次側のコンデンサの電流は三次母線電圧が\(22\mathrm {kV}\)のとき\(30\mathrm {Mvar}\)となる電流で一定とみなしてもよいものとする。
・容量        一次側\(100\mathrm {MV \cdot A}\)
           二次側\(100\mathrm {MV \cdot A}\)
           三次側\(30\mathrm {MV \cdot A}\)
・%インピーダンス  一次・二次間\(X_{12}=16〔%〕(100\mathrm {MV \cdot A}ベース)\)
           一次・三次間\(X_{31}= 8〔%〕(100\mathrm {MV \cdot A}ベース)\)
           二次・三次間\(X_{23}= 3〔%〕(30\mathrm {MV \cdot A}ベース)\)
・使用タップ     一次側\(154\mathrm {kV}\)
           二次側\(77\mathrm {kV}\)
           三次側\(22\mathrm {kV}\)

【ワンポイント解説】

各リアクトルを単位法で求め,さらに二次側電圧を求める計算量が多い難問です。ただし,抵抗分が無視できる時の系統の電圧特性の公式:\(V_{\mathrm {s}}=V_{\mathrm {r}}+X \cdot Q(各値はすべて[\mathrm {p.u.}])\)を暗記していれば,電流を求めて計算をする必要がなくなり,幾分楽に解を求めることができます。二次試験では速く確実に解くことが求められますので,公式は暗記しておいた方が良いでしょう。

【解答】

与えらえている各%インピーダンスを\(100\mathrm {MV \cdot A}\)ベースの単位法で表すと,
\[
x_{12}〔\mathrm {p.u.}〕=\frac {16}{100}=0.16〔\mathrm {p.u.}〕
\] \[
x_{31}〔\mathrm {p.u.}〕=\frac {8}{100}=0.08〔\mathrm {p.u.}〕
\] \[
x_{23}〔\mathrm {p.u.}〕=\frac {3}{100} \times \frac {100}{30}=0.1〔\mathrm {p.u.}〕
\] となる。変圧器一次側,二次側,三次側のインピーダンスを\(x_{1}\),\(x_{2}\),\(x_{3}\)とすると,
\[
x_{12}=x_{1}+x_{2}=0.16〔\mathrm {p.u.}〕
\] \[
x_{31}=x_{3}+x_{1}=0.08〔\mathrm {p.u.}〕
\] \[
x_{23}=x_{2}+x_{4}=0.1〔\mathrm {p.u.}〕
\] という関係があるので,連立方程式を解くと各値は下記のように求められる。
\[
x_{1}=0.07〔\mathrm {p.u.}〕,x_{2}=0.09〔\mathrm {p.u.}〕,x_{3}=0.01〔\mathrm {p.u.}〕
\] 次に,負荷とコンデンサを\(100\mathrm {MV \cdot A}\)ベースの単位法で表す。
負荷の力率が0.8であるので,負荷の電力\(P+jQ\)は,
\[
\begin{eqnarray}
P+jQ&=&10+j \frac {\sqrt {1-0.8^{2}}}{0.8}\times 10 \\[ 5pt ] &=&10+j7.5 〔\mathrm {MV\cdot A}〕
\end{eqnarray}
\] となる。よって負荷の\(100\mathrm {MV \cdot A}\)ベースの大きさは,
\[
\begin{eqnarray}
P+jQ&=&\frac {10}{100}+j\frac {7.5}{100} \\[ 5pt ] &=&0.1+j0.075〔\mathrm {p.u.}〕
\end{eqnarray}
\] となる。同様にコンデンサの\(100\mathrm {MV \cdot A}\)ベースの大きさ\(Q_{\mathrm {C}}\)は,
\[
Q_{\mathrm {C}}=\frac {30}{100}=0.3〔\mathrm {p.u.}〕
\] となる。また,一次側電圧\(V_{1}\)を単位法で表すと,使用タップが\(154\mathrm {kV}\)であるから,
\[
V_{1}〔\mathrm {p.u.}〕=\frac {150}{154}≒0.974〔\mathrm {p.u.}〕
\] となる。

(1)三次側にコンデンサを設置しない場合
これまでの計算結果を整理したものを図1に示す。
題意より,変圧器の有効電力潮流による電圧降下分は無視できるので,リアクタンス降下は無効電力分のみ考慮すればよい。図1と電圧特性の公式より,
\[
V_{1}=V_{2}+\left( x_{1} +x_{2} \right) Q
\] ゆえに,
\[
\begin{eqnarray}
V_{2}&=&V_{1}-\left( x_{1} +x_{2} \right) Q \\[ 5pt ] &=&0.974-\left( 0.07 +0.09 \right) \times 0.075 \\[ 5pt ] &=&0.962〔\mathrm {p.u.}〕
\end{eqnarray}
\] よって,二次側の電圧\(V_{2}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{2}&=&V_{2}〔\mathrm {p.u.}〕\times 77〔\mathrm {kV}〕 \\[ 5pt ] &=&0.962 \times 77 \\[ 5pt ] &≒&74.1〔\mathrm {kV}〕
\end{eqnarray}
\] となる。

(2)三次側にコンデンサを設置する場合
図2にコンデンサを接続した場合の回路図を示す。
\(x_{1}\)を流れる無効電力は,
\[
Q-Q_{\mathrm {C}}=0.075-0.3=-0.225〔\mathrm {p.u.}〕
\] となるから,二次側の電圧\(V_{2}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{2}&=&V_{1}- x_{1}\left( Q-Q_{\mathrm {C}}\right)-x_{2}Q \\[ 5pt ] &=&0.974- 0.07\times \left(-0.225\right)-0.09\times 0.075 \\[ 5pt ] &=&0.983〔\mathrm {p.u.}〕
\end{eqnarray}
\] となる。



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