【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
次の文章は,送電系統における再閉路による火力発電所のタービン発電機への影響に関する記述である。文中の に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。
送電系統において再閉路が行われた場合,火力発電所のタービン発電機には,短絡などの送電線故障時の (1) に,再閉路時の (1) が重畳されて, (2) が発生する。
特に (3) の場合は,過大な (1) が発生するため,事故点,事故遮断までの時間,及びその後の再閉路までの時間によってはタービン発電機の寿命に影響を及ぼす場合がある。再閉路によるタービン発電機への影響は, (1) の他にも,過渡電流による発電機固定子巻線への電磁力の影響, (4) による発電機回転子表面の温度上昇があるが,これらの影響度合いは,再閉路方式, (5) ,発電機及びタービンの定数に関係してくるので,それぞれの場合について,事前に十分検討しておく必要がある。
〔問1の解答群〕
(イ) 絶縁破壊 (ロ) 遅れ電流 (ハ) 三相高速再閉路(ニ) 低速再閉路 (ホ) 進み電流 (ヘ) 回転数の上昇(ト) ねじり振動 (チ) 非常調速装置の仕様 (リ) 過渡電圧(ヌ) 零相電流 (ル) 過渡トルク (ヲ) 逆相電流(ワ) 系統定数 (カ) タービン蒸気条件 (ヨ) 回転数の低下
【ワンポイント解説】
再閉路による火力発電所のタービン軸への影響に関する問題です。
少し専門性の高い内容なので,電験対策としてはあまり深追いせずイメージを掴めるようにしておきましょう。
1.送電系統の再閉路時のタービン発電機の影響
問題文にある通り,送電系統の再閉路によるタービン発電機への影響は,過渡トルクによるタービン発電機へのねじり振動,過渡電流による発電機固定子巻線への電磁力の影響,逆相電流による発電機回転子表面の温度上昇等があります。このうち,メカニズムとして理解しておいた方が良いのは過渡トルクによるねじり振動となります。
図1のように,通常運転時は機械的入力と電気的出力はほぼ平衡しているので,タービン軸には一定のトルクがかかり大きな負担がかかりませんが,送電線の高速再閉路等があると急激に負荷の増減が発生するため,電気的出力トルクが大きく増減し(正確には発電機の相差角の変化が影響します),タービン軸にはねじり応力がかかります。トルクが増減しながら回転を続けることをねじり振動といいます。
特にタービンと発電機の連結部分には通常時のトルクの数倍の過渡トルクが発生することがあり,タービン軸の材料疲労により,タービン軸の寿命に影響を及ぼすおそれがあります。

【解答】
(1)解答:ル
題意より解答候補は,(イ)絶縁破壊,(ロ)遅れ電流,(ホ)進み電流,(ヘ)回転数の上昇,(ト)ねじり振動,(リ)過渡電圧,(ヌ)零相電流,(ル)過渡トルク,(ヲ)逆相電流,(ヨ)回転数の低下,等になると思います。
このうち,故障時と再閉路時の双方に発生するものとしては,(ト)ねじり振動,(リ)過渡電圧,(ル)過渡トルク,が挙げられますが,再閉路により重畳されるのは過渡トルクとなります。
(2)解答:ト
題意より解答候補は,(イ)絶縁破壊,(ロ)遅れ電流,(ホ)進み電流,(ヘ)回転数の上昇,(ト)ねじり振動,(リ)過渡電圧,(ヌ)零相電流,(ル)過渡トルク,(ヲ)逆相電流,(ヨ)回転数の低下,等になると思います。
ワンポイント解説「1.送電系統の再閉路時のタービン発電機の影響」の通り,過渡トルクにより発生するのはねじり振動となります。
(3)解答:ハ
題意より解答候補は,(ハ)三相高速再閉路,(ニ)低速再閉路,等になると思います。過大な過渡トルクが発生しやすいのは,短時間での変動が大きい三相高速再閉路となります。
(4)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ロ)遅れ電流,(ホ)進み電流,(ヌ)零相電流,(ヲ)逆相電流,等になると思います。
事故や再閉路により線路の開閉があると,発電機には大きな逆相電流が流れ,回転子と逆方向に回転する磁界が発生(すなわち2倍の周波数となります。)し,コイルのインピーダンスが大きくなるため,発電機回転子の温度上昇が発生します。
(5)解答:ワ
題意より解答候補は,(チ)非常調速装置の仕様,(ワ)系統定数,(カ)タービン蒸気条件,等になると思います。
このうち,再閉路によりタービン発電機への影響があるのは系統定数のみとなります。系統定数は周波数が変化したときの発電機の出力変化割合で求められる定数,非常調速装置はタービン回転数が異常上昇した時に動作する装置,タービン蒸気条件はタービン発電機起動時の圧力や温度等の蒸気の条件となります。