《電力》〈火力〉[H27:問2] 石炭ガス化複合発電に関する空欄穴埋問題

1 【問題】
2 【ワンポイント解説】
3 【解答】

【問題】

【難易度】★★★☆☆（普通）

次の文章は，石炭ガス化複合発電に関する記述である。文中の$ \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ $に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

石炭ガス化複合発電とは，石炭を$ \ \fbox {　（１）　} \ $内で$ \ \fbox {　（２）　} \ $することにより一酸化炭素と水素を主成分とする可燃性ガスに転換し，その生成ガスから窒素化合物，$ \ \fbox {　（３）　} \ $，ダスト，金属成分などの不純物を$ \ \fbox {　（４）　} \ $で除去した上で，$ \ \mathrm {LNG} \ $と同様にガスタービン複合発電の燃料として使用する発電方式である。

石炭ガス化複合発電は，$ \ \mathrm {LNG} \ $焚き複合発電と比較すると，その送電端熱効率は$ \ \fbox {　（５）　} \ $。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&（イ）&　低　い　　　&（ロ）&　部分酸化　　　&（ハ）&　電気式集じん装置 \\[ 5pt ] &（ニ）&　完全燃焼　　　&（ホ）&　転換炉　　　&（ヘ）&　二酸化炭素 \\[ 5pt ] &（ト）&　空気分離設備　　　　　　&（チ）&　還　元　　　&（リ）&　スラグ \\[ 5pt ] &（ヌ）&　高　い　　　&（ル）&　ガス精製装置　　　　　　　&（ヲ）&　ガス化炉 \\[ 5pt ] &（ワ）&　等しい　　　&（カ）&　硫黄化合物　　　&（ヨ）&　蒸留塔
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

石炭ガス化複合発電($ \ \mathrm {IGCC} \ $)は近年注目されてきている発電方式で，一般石炭火力よりも効率が良く，原子力に代わるベース電源の一つの候補となっています。

1.石炭ガス化複合発電
石炭ガス化複合発電は，ガス化炉，ガス精製装置，コンバインド設備で構成されます。ガス化炉では石炭を部分燃焼(酸化)させて熱量の多い一酸化炭素ガスと水素ガスを精製します。ガス精製装置ではガス化炉から出てきた石炭ガスに含まれる窒素酸化物，硫黄化合物($ \ \mathrm {H_{2}S} \ $)，ダスト，金属成分等の不純物を除去します。コンバインド設備は，$ \ \mathrm {LNG} \ $焚き複合発電と同様にガスタービン，排熱回収ボイラ，蒸気タービンで構成されます。

石炭ガス化複合発電はガス精製装置で湿式回収を行う等により，$ \ \mathrm {LNG} \ $焚き複合発電より効率は低いですが，45％以上の効率があり，汽力発電所より熱効率は良いです。

出典：石炭ガス化複合発電(IGCC)の最新事情と課題
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaesjb/57/8/57_530/_pdf

2.石炭ガス化複合発電の特徴
・熱効率が従来の石炭発電より高い。
・燃焼前のガスで不純物を除去するため，煙突から排出される排ガスに含まれる，窒素酸化物，硫黄酸化物，ばいじんの量が少ない。
・石炭灰が溶融スラグとして排出され，従来の石炭発電で排出されるフライアッシュより少ない。
・構成設備が多く，複雑となるため，故障の発生確率が高くなる。
・一酸化炭素が発生するプロセスがあるため，扱いに注意を要する。