【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,太陽光発電設備の系統連系に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。
a.低圧配電線に連系された太陽光発電設備の出力が,低圧需要家の消費電力を上回ると,電力は系統側へ流れる。このため,低圧需要家の電圧が上昇し,電気事業法で定められた適正値(例えば,標準電圧\( \ 100 \ \mathrm {[V]} \ \)に対しては\( \ 101 ± \ \fbox { (1) } \ \mathrm {[V]} \ \)以内)を逸脱するおそれがある場合には,太陽光発電設備の出力抑制や\( \ \fbox { (2) } \ \)の増強等が必要となる。また,太陽光発電設備が\( \ \fbox { (3) } \ \)となった場合には,当該設備を解列することになっている。
b.太陽光発電の出力は,天候に大きく左右されるが,この出力変動が,電力系統の負荷変動に加わると,系統周波数がさらに変動することになる。わが国では,標準周波数からの偏差を\( \ \pm \ \fbox { (4) } \ \mathrm {[Hz]} \ \)以内に維持するよう,数分から十数分の周期の変動に対しては,大容量貯水池式水力あるいは大容量火力等による\( \ \fbox { (5) } \ \)を行っているが,太陽光発電設備が大量に系統連系される場合には,こういった周波数調整力の確保が課題となってくる。
〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 0.05~0.1 &(ロ)& 経済負荷配分制御 &(ハ)& 通信線 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 自己励磁運転 &(ホ)& 配電線 &(ヘ)& 6 \\[ 5pt ]
&(ト)& 負荷周波数制御 &(チ)& 給電設備 &(リ)& 0.3~0.5 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 4 &(ル)& 乱調運転 &(ヲ)& ガバナフリー運転 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 単独運転 &(カ)& 0.1~0.3 &(ヨ)& 8
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
比較的基本的な問題となります。どの問題も頻出の重要な内容です。
二次試験にも出題される可能性がある問題なので,各用語は確実に覚えておくようにしましょう。
【解答】
(1)解答:ヘ
電気事業法施行規則第44条第1項の通り,標準電圧\( \ 100 \ \mathrm {[V]} \ \)に対しては\( \ 101 ± 6 \ \mathrm {[V]} \ \)を維持する必要があります。
(2)解答:ホ
題意より,解答候補は,(ハ)通信線,(ホ)配電線,(チ)給電設備,になると思います。
このうち電圧の適正運用に有効なのは配電線の増強となります。
(3)解答:ワ
題意より,解答候補は,(ニ)自己励磁運転,(ル)乱調運転,(ヲ)ガバナフリー運転,(ワ)単独運転,になると思います。
電気設備技術基準の解釈第227条及び第229条において,分散型電源が単独運転となった場合には,当該設備を解列することが規定されています。
自己励磁運転は同期発電機の増磁作用によるもの,ガバナフリー運転は火力発電や原子力発電での通常運転時の運転なので明らかに違います。乱調運転は太陽光では起きない運転です。
(4)解答:カ
電気事業法施行規則第44条第2項の通り,周波数は標準周波数に等しい値とする必要がありますが,\( \ \pm 0.1~0.3 \ \mathrm {[Hz]} \ \)以内に維持するよう調整しています。
(5)解答:ト
題意より,解答候補は,(ロ)経済負荷配分制御,(ト)負荷周波数制御,(ヲ)ガバナフリー運転,になると思います。
下図の通り,数分から十数分の周期の変動は負荷周波数制御の範囲となります。
<電気事業法施行規則第44条>
法第二十六条第一項の経済産業省令で定める電圧の値は、その電気を供給する場所において次の表の上欄
に掲げる標準電圧に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。
百ボルト 百一ボルトの上下(1)六ボルトを超えない値
二百ボルト 二百二ボルトの上下二十ボルトを超えない値
2 法第二十六条第一項の経済産業省令で定める周波数の値は、その者が供給する電気の標準周波数に等しい値とする。
周波数は法律には規定されていませんが,各電力会社が目標値として,(4)北海道電力50 ± 0.3 Hz以内,東北&東京電力50 ± 0.2 Hz以内,中部&北陸&関西&中国&四国&九州電力60 ± 0.2 Hz以内を設定しています。