《法規》〈電気設備技術基準〉[H27:問5] 特別高圧架空電線路の施設の制限に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく,特別高圧架空電線路の施設の制限に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

a.電線路の電線又は電車線等は,他の工作物又は植物と接近し,又は交さする場合には,他の工作物又は植物を損傷するおそれがなく,かつ,接触,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)等によって生じる感電又は\( \ \fbox {  (2)  } \ \)のおそれがないように施設しなければならない。

b.上記a.に関する「電気設備技術基準の解釈」の規定で,使用電圧が\( \ \mathrm {66000 \ V} \ \)と\( \ \mathrm {33000 \ V} \ \)の特別高圧架空電線を比較した場合,以下のように規定されている。

特別高圧架空電線が建造物の上部造営材の上方に接近して施設される場合の離隔距離は,表1に規定する値以上であること。

              表1
\[
\begin{array}{|c|c|c|}
\hline
架空電線の種類 & 使用電圧 \ \mathrm {66000 \ V} & 使用電圧 \ \mathrm {33000 \ V} \\
\hline
ケーブル & \fbox {  (3)  }\mathrm { \ m} & \mathrm {1.2 \ m} \\
\hline
\fbox {  (4)  } & \mathrm {3.1 \ m} & \fbox {  (5)  }\mathrm { \ m} \\
\hline
\end{array}
\] \[
\] 建造物と接近状態に施設される場合の特別高圧架空電線路の保安工事は,表2のとおりであること。

              表2
\[
\begin{array}{|c|c|c|}
\hline
建造物との接近状態 & 使用電圧 \ \mathrm {66000 \ V} & 使用電圧 \ \mathrm {33000 \ V} \\
\hline
第1次接近状態 & \fbox {  (6)  } & 第3種特別高圧保安工事 \\
\hline
第2次接近状態 & 第1種特別高圧保安工事 & \fbox {  (7)  } \\
\hline
\end{array}
\] \[
\] また,使用電圧が\( \ \mathrm {66000 \ V} \ \)の特別高圧架空電線が,建造物と第2次接近状態に施設される場合,電線にアーマロッドを取り付け,かつ,がいしにアークホーンを取り付けなければならないが,特別高圧架空電線路に\( \ \fbox {  (8)  } \ \)を施設する場合は,いずれかの取り付けを省略することができる。

〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 架空地線     &(ロ)& 2.0 \\[ 5pt ] &(ハ)& 第1種特別高圧保安工事             &(ニ)& 圧縮クランプ \\[ 5pt ] &(ホ)& 第2種特別高圧保安工事     &(ヘ)& 誘 導 \\[ 5pt ] &(ト)& ダンパ     &(チ)& 第3種特別高圧保安工事 \\[ 5pt ] &(リ)& 特別高圧絶縁電線     &(ヌ)& 倒 壊 \\[ 5pt ] &(ル)& 裸電線     &(ヲ)& 危 害 \\[ 5pt ] &(ワ)& 1.8     &(カ)& 1.5 \\[ 5pt ] &(ヨ)& 断 線     &(タ)& 多心型電線 \\[ 5pt ] &(レ)& 火 災     &(ソ)& 2.5 \\[ 5pt ] &(ツ)& 障 害     &(ネ)& 1.7 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電気設備技術基準第29条と電気設備技術基準の解釈第97条からの出題で,非常によく出題される内容となっています。勉強しているかどうかで点数差がつく,おそらく合否を分ける一問となると思います。

【解答】

(1)解答:ヨ
電気設備技術基準第29条の通り,「断線」となります。

(2)解答:レ
電気設備技術基準第29条の通り,「火災」となります。

(3)解答:ワ
電気設備技術基準の解釈第97条97-1表の通り,上部造営材の上方に接近して施設する場合の離隔距離は\( (1.2+c) \ \mathrm {m}\)となるから,
\[
\begin{eqnarray}
1.2+c &=& 1.2+ \frac {66000-35000}{10000}(切り上げ) \times 0.15\\[ 5pt ] &=& 1.2+ 3.1(切り上げ) \times 0.15\\[ 5pt ] &=& 1.2+ 4.0 \times 0.15\\[ 5pt ] &=& 1.8 \ \mathrm {m}\\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。

(4)解答:リ
電気設備技術基準の解釈第97条97-1表の通り,「特別高圧絶縁電線」となります。

(5)解答:ソ
電気設備技術基準の解釈第106条106-1表の通り,上部造営材の上方に接近して施設する場合の離隔距離は\(2.5 \ \mathrm {m}\)となります。

(6)解答:チ
電気設備技術基準の解釈第97条第2項の通り,「第3種特別高圧保安工事」となります。

(7)解答:ホ
電気設備技術基準の解釈第106条第3項の通り,「第2種特別高圧保安工事」となります。

(8)解答:イ
電気設備技術基準の解釈第97条第4項の通り,「架空地線」があれば,アーマロッドもしくはアークホーンを取り付けなくても良いことになっています。

<電気設備技術基準第29条>
電線路の電線又は電車線等は、他の工作物又は植物と接近し、又は交さする場合には、他の工作物又は植物を損傷するおそれがなく、かつ、接触、(1)断線等によって生じる感電又は(2)火災のおそれがないように施設しなければならない。

<電気設備技術基準の解釈第97条>
 使用電圧が35,000Vを超える特別高圧架空電線(以下この条において「特別高圧架空電線」という。)が、建造物に接近して施設される場合における、特別高圧架空電線と建造物の造営材との離隔距離は、97-1表に規定する値以上であること。

2 特別高圧架空電線が、建造物と第1次接近状態に施設される場合は、特別高圧架空電線路を、(6)第3種特別高圧保安工事により施設すること。

3 使用電圧が170,000V未満の特別高圧架空電線が、建造物と第2次接近状態に施設される場合は、次の各号によること。

一 建造物は、次に掲げるものでないこと。

 イ 第175条第1項第一号又は第二号に規定する場所を含むもの

 ロ 第176条第1項に規定する場所を含むもの

 ハ 第177条第1項又は第2項に規定する場所を含むもの

 ニ 第178条第1項に規定する火薬庫

二 建造物の屋根等の、上空から見て大きな面積を占める主要な造営材であって、特別高圧架空電線と第2次接近状態にある部分は、次に適合するものであること。

 イ 不燃性又は自消性のある難燃性の建築材料により造られたものであること。

 ロ 金属製の部分に、D種接地工事が施されたものであること。

三 特別高圧架空電線路は、第1種特別高圧保安工事により施設すること。

四 次のいずれかにより施設すること。

 イ 特別高圧架空電線にアーマロッドを取り付け、かつ、がいしにアークホーンを取り付けること。

 ロ 特別高圧架空電線路に(8)架空地線を施設し、かつ、特別高圧架空電線にアーマロッドを取り付けること。

 ハ 特別高圧架空電線路に(8)架空地線を施設し、かつ、がいしにアークホーンを取り付けること。

ニ がいしにアークホーンを取り付け、かつ、圧縮型クランプ又はクサビ型クランプを使用して電線を引き留めること。

4 使用電圧が170,000V以上の特別高圧架空電線と建造物との水平距離の計測において、当該建造物側の計測基準点は、当該建造物のうち特別高圧架空電線との水平距離が最も近い部分とすること。ただし、当該建造物の一部に外壁面から張り出した簡易な構造の物件が存在する場合であって、当該物件からの火災により架空電線路の損壊等のおそれがないときは、当該物件を計測基準点とすることを要しない。

5 特別高圧架空電線が建造物の下方に接近する場合は、相互の水平離隔距離は3m以上であること。ただし、特別高圧架空電線にケーブルを使用し、その使用電圧が100,000V未満である場合は、この限りでない。

<電気設備技術基準の解釈第106条(抜粋)>
使用電圧が35,000V以下の特別高圧架空電線(以下この条において「特別高圧架空電線」という。)が、建造物と接近又は交差して施設される場合は、次の各号によること。

一 特別高圧架空電線と建造物の造営材との離隔距離は、106-1表に規定する値以上であること。

二 特別高圧架空電線が建造物と第1次接近状態に施設される場合は、特別高圧架空電線路を第3種特別高圧保安工事により施設すること。

三 特別高圧架空電線が建造物と第2次接近状態に施設される場合は、特別高圧架空電線路を(7)第2種特別高圧保安工事により施設すること。

四 特別高圧架空電線が、建造物の下方に接近して施設される場合は、相互の水平離隔距離は3m以上であること。ただし、特別高圧架空電線に特別高圧絶縁電線又はケーブルを使用する場合は、この限りでない。

五 特別高圧架空電線が、建造物に施設される簡易な突き出し看板その他の人が上部に乗るおそれがない造営材と接近する場合において、次により施設する場合は、特別高圧架空電線と当該造営材との離隔距離は、106-1表によらないことができる。

 イ 電線は、特別高圧絶縁電線又はケーブルであること。

 ロ 電線を特別高圧防護具により防護すること。

 ハ 電線が、当該造営材に接触しないように施設すること。



記事下のシェアタイトル