《法規》〈電気施設管理〉[R05:問4]低圧電路の絶縁監視に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

次の文章は,低圧電路の絶縁監視に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

「電気設備技術基準」の規定により,原則的に,電路は大地から絶縁することとなっている。高圧受電の自家用電気工作物の低圧電路については,その絶縁状態を監視する技術が実用化され,経済産業省の告示及び内規にもそれを使用した場合の点検頻度が規定されたことから,以降広く活用されている。

この低圧電路の絶縁監視技術の代表的な方式として,主変圧器の二次側低圧電路の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)接地工事の接地線に流れる漏洩電流\( \ \left( I_{0} \right) \ \)を検出することにより常時絶縁監視を可能とする\( \ I_{0} \ \)方式がある。

しかし,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)が大きい場合,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)による電流\( \ \left( I_{\mathrm {0c}} \right) \ \)が大きくなり,電路に絶縁不良がなくとも,漏洩電流\( \ \left( I_{0} \right) \ \)が大きくなるという課題がある。このため,漏洩電流\( \ \left( I_{0} \right) \ \)のうち,絶縁抵抗による電流成分\( \ \left( I_{\mathrm {0r}} \right) \ \)のみを検出する\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式も実用化されている。

なお,\( \ I_{\mathrm {0}} \ \)方式も\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式も,①\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の絶縁劣化が検出できない,②複数の非接地相の漏洩電流が\( \ \fbox {  (4)  } \ \)場合に検出できない,という共通の課題がある。これらの課題に対しては,\( \ I_{\mathrm {gr}} \ \)方式という絶縁監視技術が開発されている。これは,商用周波数に対して\( \ \fbox {  (5)  } \ \)の監視電源電圧を\( \ \fbox {  (1)  } \ \)接地工事の接地線を介して加え,電路と対地間に流れる漏洩電流のうちから監視電源による電流\( \ \left( I_{\mathrm {g}} \right) \ \)を取り出し,さらに対地絶縁抵抗による電流成分\( \ \left( I_{\mathrm {gr}} \right) \ \)のみを検出する方式である。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 変動する     &(ロ)& 線間静電容量     &(ハ)& 非接地相 \\[ 5pt ] &(ニ)& 打ち消し合う        &(ホ)& 同期する周波数         &(ヘ)& 連続状態 \\[ 5pt ] &(ト)& 異なる周波数     &(チ)& \mathrm {C} \ 種     &(リ)& 同一の周波数 \\[ 5pt ] &(ヌ)& \mathrm {A} \ 種     &(ル)& 対地静電容量     &(ヲ)& 負荷容量 \\[ 5pt ] &(ワ)& 接地相     &(カ)& 同相の     &(ヨ)& \mathrm {B} \ 種 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

低圧電路の絶縁監視に関する問題です。
電験ではこれまであまり出題されてこなかった内容なので,対策できていない受験生の方が多かったかなという印象です。
現場を扱っている電気管理技術者の方が有利な問題であったかなと思います。

1.低圧電路の絶縁監視方式
経済産業省告示第249号第4条に点検の頻度の規定がなされ,需要設備の点検も毎月一回もしくは隔月一回以上等の規定がされています。
低圧電路の絶縁監視方式としては\( \ I_{0} \ \)方式,\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式,\( \ I_{\mathrm {gr}} \ \)方式等があります。

①\( \ I_{0} \ \)方式
図1のように主変圧器の二次側低圧電路の\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事の接地線に流れる漏洩電流\( \ \left( I_{\mathrm {0}} \right) \ \)を零相変流器\( \ \left( \mathrm {ZCT}\right) \ \)を介して検出する方式です。
漏洩電流から容易に絶縁を監視することができますが,対地静電容量による電流\( \ \left( I_{\mathrm {0c}} \right) \ \)が大きい場合,絶縁不良がなくても漏えい電流が大きくなってしまう,接地相の絶縁不良に関しては検出ができない,複数の非接地相がある場合に漏洩電流が打ち消し合う際には検出できない,等の欠点があります。

②\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式
\( \ I_{0} \ \)方式同様,図1のように漏洩電流を零相変流器\( \ \left( \mathrm {ZCT}\right) \ \)を介して検出する方式ですが,電圧と同相成分の電流のみを演算し導出することで,絶縁抵抗による電流成分\( \ \left( I_{\mathrm {0r}} \right) \ \)のみを検出することができる方式です。したがって,\( \ I_{0} \ \)方式の対地静電容量による影響は改善されることになります。

③\( \ I_{\mathrm {gr}} \ \)方式
図2のように,商用周波数と異なる周波数\( \ \left( 12 \ \mathrm {Hz} \ \right.\)等\(\left. \right) \ \)で低電圧の監視電源電圧を接地線の注入変圧器を介して加え,電路と対地間に流れる漏洩電流のうちから監視電源による電流\( \ \left( I_{\mathrm {g}} \right) \ \)を取り出し,さらに対地絶縁抵抗による電流成分\( \ \left( I_{\mathrm {gr}} \right) \ \)のみを演算により検出する方式です。
\( \ I_{0} \ \)方式や\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式で課題となっていた接地相の絶縁不良や複数の非接地相による漏洩電流の打ち消し合いに対しても絶縁不良を検出することができますが,一般に\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式に比べ高コストになってしまう傾向にあります。

【解答】

(1)解答:ヨ
題意より解答候補は,(チ)\( \ \mathrm {C} \ \)種,(ヌ)\( \ \mathrm {A} \ \)種,(ヨ)\( \ \mathrm {B} \ \)種,になると思います。
一般に変圧器の二次側を接地する接地工事を\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事といいます。こちらは\( \ 2 \ \)種や\( \ 3 \ \)種の復習となる内容ですので,わからない方はテキストを復習しておいて下さい。

(2)解答:ル
題意より解答候補は,(ロ)線間静電容量,(ル)対地静電容量,(ヲ)負荷容量,になると思います。
ワンポイント解説「1.低圧電路の絶縁監視方式」の通り,\( \ I_{0} \ \)方式は対地静電容量が大きい場合には,電路に絶縁不良がなくとも,漏洩電流\( \ \left( I_{0} \right) \ \)が大きくなってしまいます。

(3)解答:ワ
題意より解答候補は,(ハ)非接地相,(ヘ)連続状態,(ワ)接地相,になると思います。
ワンポイント解説「1.低圧電路の絶縁監視方式」の通り,\( \ I_{\mathrm {0}} \ \)方式や\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式は接地相の絶縁劣化が検出できないという課題があります。

(4)解答:ニ
題意より解答候補は,(イ)変動する,(ニ)打ち消し合う,(カ)同相の,になると思います。
ワンポイント解説「1.低圧電路の絶縁監視方式」の通り,\( \ I_{\mathrm {0}} \ \)方式や\( \ I_{\mathrm {0r}} \ \)方式は複数の非接地相の漏洩電流が打ち消し合う場合に検出できないという課題があります。

(5)解答:ト
題意より解答候補は,(ホ)同期する周波数,(ト)異なる周波数,(リ)同一の周波数,になると思います。
ワンポイント解説「1.低圧電路の絶縁監視方式」の通り,\( \ I_{\mathrm {gr}} \ \)方式は商用周波数と異なる周波数の監視電源電圧を\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事の接地線を介して加えて漏洩電流を検出します。



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