《機械》〈回転機〉[H26:問1]同期発電機の励磁装置に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,同期発電機の励磁装置に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

同期発電機の界磁巻線に直流電流を供給し,同期発電機の端子電圧を一定に保持又は調整する装置を励磁装置という。近年製作される励磁装置の多くがサイリスタ励磁方式又はブラシレス励磁方式となっている。サイリスタ励磁方式には,同期発電機の主回路端子に\(\fbox {  (1)  }\)を接続し,この出力を励磁電源に用いた自励方式が多く,\(\fbox {  (1)  }\)とサイリスタ変換器を使用して励磁装置が構成される方式であり,同期発電機の界磁電圧を直接制御するため一般に応答性が優れる特長をもっている。一方,ブラシレス励磁方式は,同期発電機と同一又は直結した回転軸上に回転\(\fbox {  (2)  }\)形同期発電機及び\(\fbox {  (3)  }\)を設置し,ブラシ及びスリップリングを使用しないで同期発電機に直流の界磁電流を供給する方式であり,機械しゅう動部がないため,保守点検の簡素化が図れる特長をもっている。

同期発電機が定格運転している状態で,同期発電機の端子電圧が大きく低下した場合の励磁装置の出力電圧応答特性の一例を図に示す。

・励磁系頂上電圧\(V_{\mathrm {fc}} \ \mathrm {[V]}\):励磁装置の出力電圧(直流平均電圧)の最大値。
・励磁系電圧応答時間\(t_{\mathrm {R}} \ \mathrm {[s]}\):出力電圧が同期発電機の定格負荷状態における界磁電圧\(V_{\mathrm {fn}} \ \mathrm {[V]}\)から\(V_{\mathrm {fc}}\)との差の95%に増加するのに要する時間。
・励磁系\(\fbox {  (4)  } \ \mathrm {[s^{-1}]}\):\(0 \ ~ \ 0.5 \ \mathrm {s}\)に得られる励磁装置の等価電圧変化の割合を\(V_{\mathrm {fn}}\)で割った値である。図で(斜線部\(\mathrm {abc}\)の面積) = (三角形\(\mathrm {adc}\)の面積)とするとき,
\[
\begin{eqnarray}
励磁系\fbox {  (4)  }=\frac {\overline {\mathrm {dc}}}{0.5\times V_{\mathrm {fn}}} \ \mathrm {[s^{-1}]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。

電力系統の過渡安定度を向上させるため,励磁系の応答が速いサイリスタ励磁方式のほかに,\(\mathrm {IEEE} \ 421 . 1\)に記載の,\(t_{\mathrm {R}}\)が\(0.1 \ \mathrm {s}\)以下であるハイイニシャルレスポンスの速応形の応答特性の一例として,励磁装置出力電圧が\(V_{\mathrm {fn}}\)から直線的に増加し,時間\(0.1 \ \mathrm {s}\)にて\(V_{\mathrm {fc}} =2\times V_{\mathrm {fn}}\)に到達後,\(0.5 \ \mathrm {s}\)までその\(V_{\mathrm {fc}}\)が保持された場合,励磁系\(\fbox {  (4)  }\)は約\(\fbox {  (5)  } \ \mathrm {s^{-1}}\)となり,応答性が十分高いことが分かる。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 整流子     &(ロ)& 励磁用交流発電機 \\[ 5pt ] &(ハ)& 回転抵抗器     &(ニ)& 電圧速応度 \\[ 5pt ] &(ホ)& 励磁用変圧器     &(ヘ)& 2.7 \\[ 5pt ] &(ト)& 1.8     &(チ)& 電圧上昇度 \\[ 5pt ] &(リ)& 励磁用直流発電機       &(ヌ)& 電圧変動度 \\[ 5pt ] &(ル)& 回転変圧器     &(ヲ)& 界 磁 \\[ 5pt ] &(ワ)& 3.6     &(カ)& 回転整流器 \\[ 5pt ] &(ヨ)& 電機子
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

一見すると難しそうな問題ですが,(4)と(5)は知らなくても問題文を読んで,解答群から適当そうなものを選択すれば正解できる問題です。(1)~(3)は知識として知っておくようにした方が良いと思います。

1.ブラシレス励磁方式
下図の(a)がブラシレス励磁方式の模式図となっています。名称の違いかもしれませんが,私の扱っていた設備では図の副励磁器の場所に永久磁石発電機を置き,永久磁石発電機で励磁機を励磁し,励磁機と回転整流器で励磁巻線を励磁していました。ブラシレス励磁方式は励磁機や永久磁石発電機がすべて一軸上に配置される回転界磁形であり,その名の通り,ブラシやスリップリングが不要で,保守が容易である特徴があります。ただし,サイリスタ励磁方式に比べ,速応性は劣る面もあります。

2.サイリスタ励磁方式
下図の(b)が自励式サイリスタ励磁方式の模式図となっています。励磁方法は励磁用変圧器,サイリスタ変換器を介して直流に変換し,励磁巻線を励磁します。特徴として,直流で励磁するのでスリップリングとブラシが必要であること,サイリスタを用いているので高速制御ができ安定度が向上できること等があります。


出典:JEC-2131第3編

【解答】

(1)解答:ホ
ワンポイント解説「2.サイリスタ励磁方式」の通り,励磁用変圧器となります。

(2)解答:ヨ
(3)解答:カ
ワンポイント解説「1.ブラシレス励磁方式」の通り,(2)が界磁,(3)が回転整流器となります。

(4)解答:ニ
題意より,解答候補は(ニ)電圧速応度,(チ)電圧上昇度,(ヌ)電圧変動度となると思います。時間に対する電圧変化の割合なので速応度が最も適当と考えられます。

(5)解答:ワ
題意に沿って応答特性を描くと図1の台形のようになる。これを題意に沿って(台形の面積)=(三角形\(\mathrm {adc}\)の面積)となるよう\(\overline {\mathrm {dc}}\)の長さを求めると,
\[
\begin{eqnarray}
\left( 0.4+0.5\right) \times \left( 2V_{\mathrm {fn}}-V_{\mathrm {fn}} \right) \times \frac {1}{2} &=&0.5\times \overline {\mathrm {dc}}\times \frac {1}{2} \\[ 5pt ] \overline {\mathrm {dc}}&=&1.8V_{\mathrm {fn}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となる。よって,励磁系電圧速応度は,
\[
\begin{eqnarray}
\frac {\overline {\mathrm {dc}}}{0.5\times V_{\mathrm {fn}}} &=& \frac {1.8V_{\mathrm {fn}}}{0.5\times V_{\mathrm {fn}}} \\[ 5pt ] &=& 3.6 \ \mathrm {[s^{-1}]} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] と求められる。



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