【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,球面光源による照明に関する記述である。文中の に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
全光束 4 800 lm の球面光源がある。球の直径は 0.15 m で,光源の表面は均等拡散面とみなすことができる。この光源の光度 I は (1) cd である。
次に,図に示すように,この球面光源 2 個( A 及び B )を室の床面から 2.1 m 上方に, 4.2 m 離して設置した。この室にはこの球面光源 2 個以外に光源はなく,室外部からの入射光もないものとする。また,室の天井面,床面,壁面,球面光源の表面などにおける反射光の影響はないものとする。
図において,球面光源 A だけを点灯したとき,球面光源 A の直下にある床面 C 点における水平面照度は (2) lx となる。また, C 点から見た球面光源 A の輝度 LA は (3) cd/m2 である。
次に,球面光源 A を点灯したまま,球面光源 B も点灯した。このときの床面 C 点における水平面照度は (4) lx に増加する。また, C 点から見た球面光源 B の輝度 LB は LA に (5) 。

〔問4の解答群〕
(イ) 43 200 (ロ) 173 (ハ) 382(ニ) 346 (ホ) 87 (ヘ) 191(ト) 21 600 (チ) 等しい (リ) 1 528(ヌ) 94 (ル) 比べて低い (ヲ) 86 500(ワ) 764 (カ) 362 (ヨ) 比べて高い
【ワンポイント解説】
複数の光源を使用することによる水平面照度の変化とそれぞれの輝度を求める問題です。
1 種では一次試験で毎年のように出題されている照明の問題なので,多くの受験生が完答した問題と予想されます。ぜひこういう問題を得点できるようにしましょう。
1.光束 F
光源から出る可視光の量(エネルギー)で,単位は [lm] となります。
電磁気の分野の電束に似たようなイメージで良いです。

2.立体角の定義
図2のように球体があり,半径 r [m] の錐体が球面を切り取った時の面積を S [m2] とすると,立体角 ω [sr] は,
ω=Sr2
であり,平面角 θ [rad] で表すと,
ω=2π(1−cosθ)
となります。球全体の立体角は θ=π の時であり, ω=4π となります。

3.光度 I
ある方向に向かう光束 F [lm] を立体角 ω [sr] で割ったもので,光度 I [cd] を式で表すと,
I=Fω
となります。

4.照度 E
図4のように,光源からある方向へ向かう光度が I [cd] であるとき,光源からの距離 l [m] 離れた垂直面の照度 E [lx] は,
E=Il2
で求められます。このように,一般に物理量が 2 乗に反比例する法則を逆 2 乗の法則といいます。

5.輝度 L
図5のように,ある方向から見た光源のまぶしさを表す指標で,光源からある方向へ向かう光度が I [cd] であるとき,輝度 L [cd/m2] は,同じ方向から照明を見た投影面積を S [m2] とすると,
L=IS
で求められます。

6.水平面照度 Eh
図6のように,点光源から光度 I [cd] で C 点に向かって光が照射されているとき,法線照度 En [lx] は,
En=Ir2
で求められ,水平面照度 Eh [lx] は, En [lx] の余弦 cosθ であるから,
Eh=Encosθ=Ir2⋅hr=hIr3
となります。

【解答】
(1)解答:ハ
ワンポイント解説「2.立体角の定義」の通り,球面光源における立体角 ω=4π [sr] なので,光度 I [cd] は,ワンポイント解説「3.光度 I 」の通り,
I=Fω=4 8004π≒381.97 → 382 [cd]
と求められる。
(2)解答:ホ
球面光源 A から C 点までの距離 l1=2.1 [m] なので, C 点の照度 EA [lx] は,ワンポイント解説「4.照度 E 」の通り,
EA=Il21=381.972.12≒86.615 → 87 [lx]
と求められる。
(3)解答:ト
球の直径 D=0.15 [m] なので,球面光源 A のみかけの面積 S [m2] は,
S=π(D2)2=π×(0.152)2≒0.017671 [m2]
となるので, C 点から見た球面光源 A の輝度 LA [cd/m2] は,ワンポイント解説「5.輝度 L 」の通り,
LA=381.970.017671≒21 616 → 21 600 [cd/m2]
と求められる。
(4)解答:ヌ
球面光源 B から C 点までの距離 l2 [m] は,
l2=√2.12+4.22≒4.6957 [m]
であり,球面光源 B の光度も球面光源 A と等しいので,球面光源 B による C 点の水平面照度 EB [lx] は,ワンポイント解説「6.水平面照度 Eh 」の通り,
EB=l1Il32=2.1×381.974.69573≒7.7472 [lx]
となる。したがって,球面光源 A 及び球面光源 B による C 点の水平面照度 E [lx] は,
E=EA+EB=86.615+7.7472≒94.362 → 94 [lx]
と求められる。
(5)解答:チ
題意より解答候補は,(チ)等しい,(ル)比べて低い,(ヨ)比べて高い,になると思います。
各光源の光度が等しく, C 点から見たみかけの面積も等しいので,輝度も等しいです。