《法規》〈電気関係報告規則〉[R04:問1]再生可能エネルギー発電設備の保安の確保に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★☆☆☆☆(易しい)

次の文章は,再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

a) 我が国において,固定価格買取り制度の導入後,太陽電池発電設備,風力発電設備等の再生可能エネルギー発電設備の導入件数が増加し,その多くは太陽電池発電設備である。また,資源エネルギー庁の調べによれば,太陽電池発電設備及び風力発電設備の出力別の導入件数では,それらの多くが一定の出力未満(太陽電池\( \ 50 \ \mathrm {kW} \ \)未満,風力\( \ 20 \ \mathrm {kW} \ \)未満)の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)である。

b) 電気保安統計によれば,太陽電池発電設備については,事故件数や\( \ \fbox {  (2)  } \ \)ともに増加している。また,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を含む再生可能エネルギー発電設備の事故が社会的影響を及ぼした事案も発生している。

c) 再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保が不可欠であり,事故情報を収集し事故原因の究明や\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を講じることが必要である。

d) このため,新たに,太陽電池発電設備(\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)以上\( \ 50 \ \mathrm {kW} \ \)未満)及び風力発電設備(\( \ 20 \ \mathrm {kW} \ \)未満)の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)についても,それらの所有者や占有者には,令和\( \ 3 \ \)年\( \ 4 \ \)月\( \ 1 \ \)日から\( \ \fbox {  (4)  } \ \)に基づく事故報告を行うことが義務付けられた。本報告の対象となる事故は,感電などによる死傷事故,電気火災事故,\( \ \fbox {  (5)  } \ \),主要電気工作物の破損事故,の四項目である。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 内燃力     &(ロ)& 死傷者数 \\[ 5pt ] &(ハ)& 崩落事故     &(ニ)& 電気事業法 \\[ 5pt ] &(ホ)& 事故率     &(ヘ)& 垂直展開 \\[ 5pt ] &(ト)& 稼働率     &(チ)& 技術基準 \\[ 5pt ] &(リ)& 小出力発電設備     &(ヌ)& 発電支障事故 \\[ 5pt ] &(ル)& 他の物件への損傷事故             &(ヲ)& 再発防止策 \\[ 5pt ] &(ワ)& 事業用電気工作物      &(カ)& 供給対策 \\[ 5pt ] &(ヨ)& 電気工事士法 &&\\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保に関する問題です。
再生可能エネルギーは近年ニュースでも事故報道があるように,設備の増加とともに事故件数も増えてきています。電力保安統計は経済産業省のHPに掲載されていますので,興味のある方はチェックしてみて下さい。
設備の事故の中では逆変換装置の破損事故が最も多く,自然災害では氷雪による荷重に設備が耐えきれなくなる事故が最も多いので覚えておきましょう。

1.小出力発電設備
電気事業法施行規則第48条に小出力発電設備に関する規定がされており,具体的には発電電圧が\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \)以下の下表の設備が小出力発電設備に該当します。
\[
\begin{array}{|l|l|}
\hline
    発電設備の種類 &   設備の出力   \\ \hline
太陽電池発電設備 & \   \ 50 \ \mathrm {kW} \ 未満 \\ \hline
風力発電設備 & \   \ 20 \ \mathrm {kW} \ 未満 \\ \hline
水力発電設備 & \   \ 20 \ \mathrm {kW} \ 未満 \\ \hline
内燃力発電設備 & \   \ 10 \ \mathrm {kW} \ 未満 \\ \hline
燃料電池発電設備 & \   \ 10 \ \mathrm {kW} \ 未満 \\ \hline
スターリングエンジン発電設備 & \   \ 10 \ \mathrm {kW} \ 未満 \\ \hline
上記設備の組合せ & \   \ 50 \ \mathrm {kW} \ 未満 \\ \hline
\end{array}
\]

【解答】

(1)解答:リ
題意より解答候補は,(イ)内燃力,(リ)小出力発電設備,(ワ)事業用電気工作物,になると思います。
ワンポイント解説「1.小出力発電設備」の通り,太陽電池\( \ 50 \ \mathrm {kW} \ \)未満,風力\( \ 20 \ \mathrm {kW} \ \)未満の設備を小出力発電設備といいます。小出力発電設備は電気事業法においては事業用電気工作物ではなく一般用電気工作物になります。

(2)解答:ホ
題意より解答候補は,(ロ)死傷者数,(ホ)事故率,(ト)稼働率,になると思います。
太陽電池発電設備での死傷者は少なく,増加しているのは事故率となります。

(3)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ヘ)垂直展開,(ヲ)再発防止策,(カ)供給対策,になると思います。
再生可能エネルギーに対する対策の内容を説明しているので,再発防止策が適当となります。

(4)解答:ニ
題意より解答候補は,(ニ)電気事業法,(チ)技術基準,(ヨ)電気工事士法,になると思います。
事故報告は電気関係報告規則に掲載されている内容で,電気関係報告規則は電気事業法第106条に基づき規定されているものとなります。

(5)解答:ル
題意より解答候補は,(ハ)崩落事故,(ヌ)発電支障事故,(ル)他の物件への損傷事故,になると思います。
電気関係報告規則第3条の2第1項3号に規定されている通り,報告対象となる事故は他の物件への損傷事故となります。

<電気関係報告規則第3条の2>
一般用電気工作物(小出力発電設備(太陽電池発電設備(出力\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)以上のものに限る。)及び風力発電設備に限る。)に限る。以下この条において同じ。)の所有者又は占有者は、次の各号に掲げる事故が発生したときは、一般用電気工作物の設置の場所を管轄する産業保安監督部長に報告しなければならない。この場合において、二以上の号に該当する事故であつて報告先の産業保安監督部長が異なる事故は、経済産業大臣に報告しなければならない。
 一 感電又は電気工作物の破損若しくは電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより人が死傷した事故(死亡又は病院若しくは診療所に入院した場合に限る。)
 二 電気火災事故(工作物にあつては、その半焼以上の場合に限る。)
 三 電気工作物の破損又は電気工作物の誤操作若しくは電気工作物を操作しないことにより、(5)他の物件に損傷を与え、又はその機能の全部又は一部を損なわせた事故
 四 一般用電気工作物に属する主要電気工作物の破損事故
2 前項の規定による報告は、事故の発生を知つた時から\( \ 24 \ \)時間以内可能な限り速やかに氏名、事故の発生の日時及び場所、事故が発生した電気工作物並びに事故の概要について、電話等の方法により行うとともに、事故の発生を知つた日から起算して\( \ 30 \ \)日以内に当該事故の詳細を記載した報告書を提出して行わなければならない。



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