《機械》〈同期機〉[R05:問1]同期発電機の効率と損失に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,同期発電機の効率と損失に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

同期発電機の効率は発電機への機械入力に対する発電機の電気出力の比で表される。
\[
\begin{eqnarray}
発電機効率 \ \mathrm {[%]} \ &=&\frac {電気出力}{機械入力}\times 100 \ \mathrm {[%]} \ =\frac {電気出力}{電気出力+ \ \fbox {  (1)  } \ }\times 100 \ \mathrm {[%]} \ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] 発電機の効率を求める場合,工場で組み立てられる発電機では,規格によって規定された方法に従って諸量を測定して各種損失を算出し,これらから\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を求めて,上式により発電機効率を求めることが一般的であり,このようにして求めた効率を\( \ \fbox {  (2)  } \ \)という。また,発電機の各種損失とは以下のとおりである。

 ① 機械損:風損,軸受及びブラシ(ブラシがある場合)の摩擦損の合計

 ② 無負荷鉄損:変動磁界によって電機子鉄心と他の金属部分で発生する損失

 ③ 電機子銅損(又は直接負荷損):電機子巻線の抵抗損

 ④ \( \ \fbox {  (3)  } \ \):電機子電流による,電機子銅損を除いた導体内の損失,及び,導体以外の金属部分と鉄心に生じる損失の合計

 ⑤ \( \ \fbox {  (4)  } \ \):界磁巻線の抵抗損,励磁装置の損失,及びブラシの電気損(ブラシがある場合)の合計

これらの損失の中で,負荷電流(電機子電流)に依存しない①と②を\( \ \fbox {  (5)  } \ \)と呼び,負荷電流に依存するものとして③,④を負荷損(又は短絡損)と呼ぶ。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 定常損     &(ロ)& 規約効率     &(ハ)& 標準効率 \\[ 5pt ] &(ニ)& 励磁回路損       &(ホ)& 電気損     &(ヘ)& 表皮効果損 \\[ 5pt ] &(ト)& 界磁銅損     &(チ)& 規約損失     &(リ)& 全損失 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 規定損失     &(ル)& 漂遊負荷損       &(ヲ)& 補機回路損 \\[ 5pt ] &(ワ)& 約定効率     &(カ)& 誘導負荷損     &(ヨ)& 固定損 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

同期発電機の効率と損失に関する問題です。
同期発電機の損失の名称はなかなか全部は覚えられないかもしれませんが,語群から選べるようになれば良いので,なんとなく覚えてしまえば語群から類推することができるようになります。

1.実測効率と規約効率
一般に効率は\( \ \displaystyle \frac {出力}{入力}\times 100 \ \mathrm {[%]} \ \)で求められます。

①実測効率
実測効率は回転機に実負荷をかけて入力と出力を測定し,効率を求めるものです。
しかしながら,大容量機では実際に定格負荷をかけることが困難であったり,発電機や電動機のような入出力の一方が機械的な入出力である場合等は正確な測定が困難である場合があります。

②規約効率
大容量機等実測効率を適用することが困難な場合には,規定された方法で入力もしくは出力と損失を測定し効率を算出します。
規約効率での効率は,\( \ \displaystyle \frac {出力}{出力+損失}\times 100 \ \mathrm {[%]} \ \)もしくは\( \ \displaystyle \frac {入力-損失}{入力}\times 100 \ \mathrm {[%]} \ \)で求められます。

2.同期機の損失
一般的な同期機の損失は図1の通りです。その他,測定困難な損失も一部ありますが,覚えておくのはこれだけで十分かと思います。

【解答】

(1)解答:リ
題意より解答候補は,(チ)規約損失,(リ)全損失,(ヌ)規定損失,等になると思います。
ワンポイント解説「1.実測効率と規約効率」の通り,効率は\( \ \displaystyle \frac {出力}{出力+損失}\times 100 \ \mathrm {[%]} \ \)で求められ,この損失は全損失といいます。

(2)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)規約効率,(ハ)標準効率,(ワ)約定効率,になると思います。
ワンポイント解説「1.実測効率と規約効率」の通り,全損失を求めて\( \ \displaystyle \frac {電気出力}{電気出力+全損失}\times 100 \ \mathrm {[%]} \ \)により求める効率を規約効率といいます。

(3)解答:ル
題意より解答候補は,(イ)定常損,(ニ)励磁回路損,(ホ)電気損,(ヘ)表皮効果損,(ト)界磁銅損,(ル)漂遊負荷損,(ヲ)補機回路損,(カ)誘導負荷損,(ヨ)固定損,になると思います。
ワンポイント解説「2.同期機の損失」の通り,電機子電流による,電機子銅損(直接負荷損)を除いた導体内の損失,及び,導体以外の金属部分と鉄心に生じる損失の合計は漂遊負荷損といいます。

(4)解答:ニ
題意より解答候補は,(イ)定常損,(ニ)励磁回路損,(ホ)電気損,(ヘ)表皮効果損,(ト)界磁銅損,(ル)漂遊負荷損,(ヲ)補機回路損,(カ)誘導負荷損,(ヨ)固定損,になると思います。
ワンポイント解説「2.同期機の損失」の通り,界磁巻線の抵抗損,励磁装置の損失,及びブラシの電気損(ブラシがある場合)の合計は励磁回路損(励磁損)といいます。

(5)解答:ヨ
題意より解答候補は,(イ)定常損,(ニ)励磁回路損,(ホ)電気損,(ヘ)表皮効果損,(ト)界磁銅損,(ル)漂遊負荷損,(ヲ)補機回路損,(カ)誘導負荷損,(ヨ)固定損,になると思います。
ワンポイント解説「2.同期機の損失」の通り,機械損と無負荷鉄損は固定損といいます。



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