《機械》〈照明〉[H28:問6] 照度計と照度測定に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,照度計と照度測定に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

一般形の照度計は,①斜め入射光補正グローブ,②感度補正フィルタ,③光電変換素子で基本的に構成される。
照度を正しく測るには,次に示すような特性の照度計を用いる。
 a 光の入射角特性が,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)に合っていること。
 b 感度補正フィルタの光の波長に対する特性が,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)に一致していること。
 c 点光源からの距離に対する表示値が,\( \ \fbox {  (3)  } \ \)に従うこと。
照度には,法線照度,水平面照度,鉛直面照度などがある。床面や机上面の水平面照度の測定は,照度計の受光部を\( \ \fbox {  (4)  } \ \)になるように置いて,測定者の影などが入らないように行う。また,JIS C 1609-1では,基準・規定の適合性評価などにおける,照度の信頼性が要求される場での照度測定には,\( \ \fbox {  (5)  } \ \)以上のクラスの照度計を使用することを推奨している。

〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 分光放射特性       &(ロ)& 標準分光視感効率       &(ハ)& 測定面に垂直 \\[ 5pt ] &(ニ)& 逆 \ 2 \ 乗の法則   &(ホ)& 正接法則   &(ヘ)& 光源に正対 \\[ 5pt ] &(ト)& 立体角投射法   &(チ)& 境界積分の法則   &(リ)& 精密級 \\[ 5pt ] &(ヌ)& \mathrm {A} \ 級   &(ル)& 余弦法則    &(ヲ)& \mathrm {AA} \ 級 \\[ 5pt ] &(ワ)& 正弦法則   &(カ)& 空間周波数特性   &(ヨ)& 測定面に平行
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

照明に関する基本的な法則や測定方法を問う問題となっています。三種では計算問題が出題されることが多い問題ですが,二種では計算問題はほとんど出題されないという特徴があります。

【用語の解説】

(イ)分光放射特性 
 ある放射体の放射発散度とその放射体と同温度の黒体の放射発散度との比を波長毎にどの程度であるかを示したもの
(ロ)標準分光視感効率
 人間の感じる光の明るさが下図のように波長によって異なります。この特性のことを標準分光視感効率と言います。

(ニ)逆\( \ 2 \ \)乗の法則
 光度\( \ I \ \mathrm { [ cd ] } \ \)から距離\( \ r \ \mathrm { [ m ] } \ \)離れた球面上の照度\( \ E \ \mathrm { [ lx ] } \ \)が,\( \ \displaystyle E=\frac {I}{r^{2}} \ \)となるという法則
(ホ)正接法則,(ル)余弦法則, (ワ)正弦法則
 正弦は\( \ \sin \ \),余弦は\( \ \cos \ \),正接は\( \ \tan \ \)を指します。下図に示すように,水平面照度\( \ E_{\mathrm {h}} \ \)が法線照度\( \ E_{\mathrm {n}} \ \)に対し,\( \ E_{\mathrm {h}}=E_{\mathrm {n}}\cos \theta \ \)となる法則を余弦法則と言います。

(ト)立体角投射法
 輝度\( \ L \ \)の面光源による照度\( \ E \ \)が,立体角を半径\( \ 1 \ \)の球で切り取り受照面に投射した面積\( \ S \ \) に対し,\( \ E=LS \ \)という関係があるという法則
(チ)境界積分の法則
 面光源から線積分を用いて水平面照度を求めることができる法則
(リ)精密級,(ヌ)\( \ \mathrm {A} \ \)級,(ヲ)\( \ \mathrm {AA} \ \)級
 照度計の性能によって分けられる階級で,上位の物から精密級>\( \ \mathrm {AA} \ \)級>\( \ \mathrm {A} \ \)級となります。
(カ)空間周波数特性
 画像のコントラスト等による鋭敏さを数値的に表したもの

【解答】

(1)解答:ル
解答候補は(ホ)正接法則,(ル)余弦法則, (ワ)正弦法則,等となると思いますが,入射角の特性は余弦法則となります。

(2)解答:ロ
解答候補は(イ)分光放射特性,(ロ)標準分光視感効率,(カ)空間周波数特性,となると思いますが,照度計に求められる波長に対する特性としては,標準分光視感効率となります。

(3)解答:ニ
解答候補は(ニ)逆2乗の法則,(ト)立体角投射法,(チ)境界積分の法則,等となると思います。点光源からの距離に関する法則は,逆2乗の法則となります。

(4)解答:ヨ
解答候補は(ハ)測定面に垂直,(ヘ)光源に正対 ,(ヨ)測定面に平行,となると思います。より正確な照度を測定するためには,測定面と平行となるように置く必要があります。

(5)解答:ヲ
解答候補は(リ)精密級,(ヌ)\( \ \mathrm {A} \ \)級,(ヲ)\( \ \mathrm {AA} \ \)級,となると思います。JIS C 1609-1では, 精密級が「精密測光,光学実験などの研究室レベルで要求される高精度の照度測定」,\( \ \mathrm {AA} \ \)級が「基準・規定の適合性評価などにおける,照度値の信頼性が要求される照明の場での照度測定」,\( \ \mathrm {A} \ \)級が「実用的な照度値が要求される照度測定」と規定されています。



記事下のシェアタイトル