《機械》〈電気機器〉[H21:問3]避雷器の特性及び各種性能に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,避雷器に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切な語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

高電圧系統の施設・機器の絶縁を過電圧から保護するための避雷器として近年,主に用いられているのは非直線抵抗体に\( \ \fbox {  (1)  } \ \)素子を用いた避雷器である。

この素子だけで一切のギャップを用いないギャップレス避雷器と,この素子に直列又は並列に何らかのギャップを用いたギャップ付避雷器とがある。

絶縁容器(磁器,ポリマーがい管など)内部を絶縁媒体(気体,液体又は固体)で満たし,この中にこの素子又はこの素子と直列ギャップとを収納した構造のものをその構造から\( \ \fbox {  (2)  } \ \)避雷器と呼ぶ。

この避雷器の保護性能及び復帰性能を表現するために用いる放電電流の規定値を\( \ \fbox {  (3)  } \ \)という。また,放電中,この避雷器の両端子間に発生する電圧を\( \ \fbox {  (4)  } \ \)という。この避雷器が障害を起こすことなく,所定の回数流すことができる所定波形の放電電流波高値の最大限度を\( \ \fbox {  (5)  } \ \)という。

〔問3の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& シリコン     &(ロ)& 動作責務     &(ハ)& サージ電流 \\[ 5pt ] &(ニ)& 制限電圧     &(ホ)& 課電寿命     &(ヘ)& がいし形 \\[ 5pt ] &(ト)& 炭化けい素        &(チ)& アーク電圧        &(リ)& 酸化亜鉛 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 定格電圧     &(ル)& タンク形     &(ヲ)& 公称放電電流 \\[ 5pt ] &(ワ)& 弁 形     &(カ)& 放電耐量     &(ヨ)& 急しゅん波電流 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

避雷器の特性及び各種性能に関する問題です。
避雷器の内容で特に出題が多いのが(1)と(4)の空欄となりますので,その二つは二次試験に出題されても記述できるぐらいに理解しておきましょう。他の空欄は近年出題は少なく日本語の意味を考えると正答できるものもありますが,用語と意味は覚えておくようにして下さい。

1.絶縁協調の考え方
機器は遮断器や開閉器動作時の開閉過電圧をはじめとした内部過電圧には機器の絶縁で耐えられるように設計されますが,落雷等の外部過電圧を耐えるように設計することは経済的にほぼ不可能なので,避雷器等の保護装置を設けます。
避雷器はある一定以上の電圧(制限電圧)になると放電する性質を持ち,かつ放電開始後電圧が低下した後の続流を短時間に遮断できる機能を持つ素子が利用されます。そのため,電路の電圧は制限電圧以上には上昇せず機器は保護されます。

2.避雷器の電圧―電流特性
避雷器に扱われる炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子と酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の電圧―電流特性を図2に示します。
図2のように酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))は一般的な抵抗と異なり電圧と電流が比例せず,非線形抵抗特性と呼ばれます。
炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子単体では通常運転時でも電流が流れてしまう反面,酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の場合通常電圧時では電流が流れないため,近年では酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子が多く採用されています。

【解答】

(1)解答:リ
題意より解答候補は,(イ)シリコン,(ト)炭化けい素,(リ)酸化亜鉛,になると思います。
ワンポイント解説「2.避雷器の電圧―電流特性」の通り,避雷器として現在主に用いられているのは酸化亜鉛素子となります。

(2)解答:ヘ
題意より解答候補は,(ヘ)がいし形,(ル)タンク形,(ワ)弁形,等になると思います。
下図に示すような絶縁容器内部を絶縁媒体で満たし,この中に酸化亜鉛素子を収納した構造のものをがいし形避雷器といいます。


出典:東芝エネルギーシステムズ株式会社 HP 電力用ギャップレス避雷器
URL:https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/transmission/products-technical-services/substation-equipment/arrester.html

(3)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ハ)サージ電流,(ヲ)公称放電電流,(ヨ)急しゅん波電流,になると思います。
避雷器の保護性能及び復帰性能を表現するために用いる放電電流の規定値を公称放電電流といいます。\( \ 8 / 20 \ \mathrm {μs} \ \)波形の電流波高値でギャップ付き避雷器は\( \ 2.5 \ \mathrm {kA} \ \),\( \ 5 \ \mathrm {kA} \ \),ギャップレス避雷器は\( \ 10 \ \mathrm {kA} \ \)で規定されていますが,細かな規定の暗記は不要で本問においても消去法で正答が導き出せれば十分かと思います。

(4)解答:ニ
題意より解答候補は,(ニ)制限電圧,(チ)アーク電圧,(ヌ)定格電圧,になると思います。
ワンポイント解説「1.絶縁協調の考え方」の通り,避雷器の放電中,避雷器の両端子間に発生する電圧を制限電圧といいます。

(5)解答:カ
題意より解答候補は,(ロ)動作責務,(ホ)課電寿命,(カ)放電耐量,になると思います。
避雷器が障害を起こすことなく,所定の回数流すことができる所定波形の放電電流波高値の最大限度を放電耐量といいます。実系統で課せられる責務を果たした後,引き続き使用できることを模擬した試験を動作責務試験いい,常時印加される電圧ストレスの大きさを課電率(連続使用電圧/動作開始電圧)というので,他の選択肢の関連用語として覚えておくと良いかと思います。



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