【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,回線選択リレーに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
回線選択リレーは,\( \ 1 \ \),\( \ 2 \ \)号線平衡回路である平行\( \ 2 \ \)回線送電線において,保護区間の\( \ \fbox { (1) } \ \)事故では\( \ 1 \ \),\( \ 2 \ \)号線に等しい電流が流れるが,いずれかの回線で事故が発生すると\( \ 1 \ \),\( \ 2 \ \)号線を流れる電流に不平衡が生じることを利用して事故を検出する送電線保護リレーである。連系された二つの変電所(端子)間の通信回線を必要とせず保護が可能なため,\( \ 66\sim 77 \ \mathrm {kV} \ \)送電線を主体として広く用いられている。
ただし,送電線の事故点が端子に近い場合,\( \ 1 \ \),\( \ 2 \ \)号線の電流の大きさがほぼ等しくなり\( \ \fbox { (2) } \ \)するほか,同一地点の同相で事故が起こった場合に動作できない。
他に回線選択リレーの適用にあたっての留意事項には以下が挙げられる。
① 送電線\( \ 1 \ \)回線停止など,平行運用が解かれたときはリレーをロックする
② 不平衡分岐端子の発電機や負荷の影響
③ \( \ \fbox { (3) } \ \)電流の影響
④ 適用端子数の制限
上述のような制約があるため,回線選択リレーを主保護に用いる場合は,\( \ \fbox { (4) } \ \)などの後備保護と組み合わせて使用することが一般的である。
また,これらの留意点から回線選択リレーの適用が難しい系統には\( \ \mathrm {PCM} \ \)電流差動リレーを用いることが多い。\( \ \mathrm {PCM} \ \)電流差動リレーは,端子間の電流値を相互に伝送し,送電線に流入する全端子の電流和を演算したうえで,\( \ \fbox { (5) } \ \)に基づき事故点の有無を判定する。そのため,通信回線を必要とするが,回線選択リレーで挙げた留意点に関する制約がなく,感度・信頼性も高い保護リレーである。ただし,\( \ \mathrm {PCM} \ \)電流差動リレーにおいても,通信回線が使用できない場合等に備えて後備保護を組み合わせて使用する。
〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 過電圧リレー &(ロ)& 内部 &(ハ)& オームの法則 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 零相循環 &(ホ)& 過負荷 &(ヘ)& 転送遮断リレー \\[ 5pt ]
&(ト)& 事故除去が遅延 &(チ)& 短絡 &(リ)& 距離リレー \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 高調波 &(ル)& キルヒホッフの法則 &(ヲ)& マクスウェルの法則 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 外部 &(カ)& 誤動作 &(ヨ)& 雷撃 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
送電線における保護装置に関する問題です。
本問の内容は\( \ 3 \ \)種では出題されない内容で,\( \ 2 \ \)種を勉強していく中で身に着けていく内容です。
数年に\( \ 1 \ \)回程度出題される印象がありますので,ここでよく理解しておくようにしましょう。
1.距離継電器
距離継電器は系統の電圧,電流を測定して事故点までの距離を測定し,事故点が保護区間内にある場合に動作する継電器です。
送電側の変電所に距離リレーを設置したときの例を図1に示します。
図1の\( \ \mathrm {F} \ \)点にて事故が発生したとすると,計器用変圧器\( \ \mathrm {VT} \ \)を介して変電所母線の電圧\( \ V \ \),変流器\( \ \mathrm {CT} \ \)を介して送電線の電流\( \ I \ \)を測定し,そのインピーダンス\( \ Z \ \)が\( \ \displaystyle \frac {V}{I} \ \)で求められます。距離継電器はこのインピーダンス\( \ Z \ \)の大きさにより変電所から事故点までの距離に応じ,保護範囲であれば動作します。
系統保護における主保護リレー又は後備保護リレーとして使用されています。
2.回線選択継電器
平行\( \ 2 \ \)回線の送電線において,両回線の変流器二次側を交差接続し,その差電流を測定することで事故回線を検出します。
内部事故発生時に,事故相側の電流値が健全相側の電流値より大きくなること,非電源側では事故相側の電流が反対方向となることを利用して事故回線を検出します。変電所母線の電圧\( \ \dot V \ \),各相に流れる電流を\( \ {\dot I}_{\mathrm {a}1} \ \)及び\( \ {\dot I}_{\mathrm {a}2} \ \)とすればそのインピーダンス\( \ \displaystyle \frac {\dot V}{{\dot I}_{\mathrm {a}1}-{\dot I}_{\mathrm {a}2}} \ \)を検出し,保護範囲内であれば動作します。ただし,事故点が送電線の端子の近傍にある場合,反対側の端子から見ると,各線のインピーダンス差が小さくなるので,近端側が先に遮断されるまで,遠端側では差電流が小さすぎ検出できず順次遮断する形となり,事故除去が遅延します。
3.電流差動継電器
図3のように,送電線の入口側と出口側の電流の差を取り,送電線内の事故を検出します。
通常の送電中はキルヒホッフの法則の電流則により差動電流\( \ {\dot I}_{\mathrm {a}}-{\dot I}_{\mathrm {b}} \ \)は零ですが,事故発生時には零でなくなり,整定値以上になったら動作します。事故区間を高速にかつ確実に選択遮断できる方式となっています。
各端子の電流値は\( \ \mathrm {PCM} \ \)変調(パルスコード変調)もしくは\( \ \mathrm {FM} \ \)変調(周波数変調)で信号伝送されますが,現在はディジタル化に伴い\( \ \mathrm {PCM} \ \)変調が主流となっています。
【解答】
(1)解答:ワ
題意より,解答候補は(ロ)内部,(ホ)過負荷,(チ)短絡,(ワ)外部,(ヨ)雷撃,等になると思います。
ワンポイント解説「2.回線選択継電器」及び図4に示す通り,外部事故では,事故点に向かい\( \ 1 \ \),\( \ 2 \ \)号線に等しい電流が流れるので,リレーは動作しません。
(2)解答:ト
題意より,解答候補は(ト)事故除去が遅延,(カ)誤動作,等になると思います。
ワンポイント解説「2.回線選択継電器」の通り,送電線の事故点が端子に近い場合,\( \ 1 \ \),\( \ 2 \ \)号線の電流の大きさがほぼ等しくなり事故除去が遅延します。こちらは「電流の大きさがほぼ等しくなり」の文章から類推できると良いかと思います。
(3)解答:ニ
題意より,解答候補は(ニ)零相循環,(ホ)過負荷,(チ)短絡,(ヌ)高調波,(ヨ)雷撃,等になると思います。
平行\( \ 2 \ \)回線間の相互インダクタンスやねん架の不十分,不平衡負荷等によって常時両回線間に零相成分のループ電流が流れることがあり,これを零相循環電流といいます。
(4)解答:リ
題意より,解答候補は(イ)過電圧リレー,(ヘ)転送遮断リレー,(リ)距離リレー,になると思います。
ワンポイント解説「1.距離継電器」の通り,回線選択リレーを主保護に用いる場合に,後備保護として用いられるのは距離リレーとなります。
(5)解答:ル
題意より,解答候補は(ハ)オームの法則,(ル)キルヒホッフの法則,(ヲ)マクスウェルの法則,になると思います。
ワンポイント解説「3.電流差動継電器」の通り,\( \ \mathrm {PCM} \ \)電流差動リレーは,端子間の電流値を相互に伝送し,キルヒホッフの法則の電流則に基づき事故点の有無を判定します。




【令和8年度版2種一次試験】






