《法規》〈電気事業法〉[R01:問3]移動用電気工作物の取扱いに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,移動用電気工作物の取扱いに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

台風や地震による停電時に,避難所や病院等に電気を供給する高圧発電機車など,車載式や貨物自動車等で移設して使用する電気工作物を移動用電気工作物といい,移動用発電設備,非自航船用電気設備,移動用変電設備,移動用\( \ \fbox {  (1)  } \ \)の四つに分類される。このうち,移動用\( \ \fbox {  (1)  } \ \)とは,二つ以上の発電所,変電所又は需要設備に移設して使用することを目的とする\( \ \fbox {  (1)  } \ \)をいう。

移動用発電設備は,発電所,変電所等の\( \ \fbox {  (2)  } \ \)として使用するもの以外のものは,電気事業法において発電所として取り扱われる。したがって,移動用発電設備として内燃力(ディーゼル)発電装置を倉庫に保管し,電源のない建設現場に移設して使用しようとする場合,使用電圧が\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \)以下であって出力\( \ \fbox {  (3)  } \ \)未満の小出力発電設備であれば,電気事業法上の手続きは不要であるが,出力が\( \ \fbox {  (3)  } \ \)以上の場合は,使用電圧が\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \)以下であっても,主任技術者選任の届出又は申請と\( \ \fbox {  (4)  } \ \)の届出を,移動用発電設備を\( \ \fbox {  (5)  } \ \)場所を管轄する産業保安監督部長(当該場所が二つ以上の産業保安監督部の管轄区域にある場合は,経済産業大臣)に提出しなければならない。

〔問3の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 特殊変圧器     &(ロ)& 非常用補機電源設備       &(ハ)& 使用前自己確認する \\[ 5pt ] &(ニ)& 10 \ \mathrm {kW}     &(ホ)& 保管する     &(ヘ)& 常用変圧器 \\[ 5pt ] &(ト)& 20 \ \mathrm {kW}     &(チ)& 保安規程     &(リ)& 非常用予備発電設備 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 工事計画     &(ル)& 非常用所内電源設備     &(ヲ)& 使用前自己確認結果 \\[ 5pt ] &(ワ)& 使用する     &(カ)& 50 \ \mathrm {kW}     &(ヨ)& 予備変圧器 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

平成28年6月17日に通達された移動用電気工作物の取扱いからの出題です。近年,電気事業法からの出題はストレートに出題されることが少なく,このような通達を使用して出題されることが多くなっています。とはいえ,(3)~(5)は電気事業法の知識をきちんと有していれば解ける問題となっていますので,基本は確実に理解しておくようにして下さい。

【解答】

(1)解答:ヨ
移動用電気工作物の取扱いについて 1.定義 (4)に規定されている通り,予備変圧器となります。

(2)解答:リ
移動用電気工作物の取扱いについて 2.移動用電気工作物の取扱い (1)①に規定されている通り,非常用予備発電設備となります。

(3)解答:ニ
電気事業法施行規則第48条第4項の4に規定されている通り,\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)となります。

(4)解答:チ
電気事業法第42条第1項に規定されている通り,出力が\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)以上の場合,事業用電気工作物に該当するため,保安規程の届出を行う必要があります。

(5)解答:ワ
移動用電気工作物の取扱いについて 2.移動用電気工作物の取扱い (2)①に規定されている通り,使用する場所となります。

<移動用電気工作物の取扱いについて(抜粋)>
1.定義

この通達において、次の各号に掲げる用語の定義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1)「移動用発電設備」とは、発電機その他の発電機器並びにその発電機器と一体となって発電の用に供される原動力設備及び電気設備の総合体(以下「発電設備」という。)であって、貨物自動車等に設置されるもの(電気事業法施行令(昭和40年政令第206号)第1条に掲げるものを除く。)又は貨物自動車等で移設して使用することを目的とする発電設備をいう。ただし、非自航船用電気設備を除く。

(2)「非自航船用電気設備」とは、非自航船に設置される発電設備又は需要設備をいう。

(3)「移動用変電設備」とは、変電の用に供される電気設備の総合体であって、貨物自動車等で移設して使用することを目的とする変電設備をいう。ただし、移動用予備変圧器を除く。

(4)「移動用(1)予備変圧器」とは、二以上の発電所、変電所又は需要設備に移設して使用することを目的とする(1)予備変圧器をいう。

(5)「移動用電気工作物」とは、移動用発電設備、非自航船用電気設備、移動用変電設備及び移動用予備変圧器をいう。

2.移動用電気工作物の取扱い

(1)次の各号に掲げる設備については、当該各号に定める設備として取り扱うこととする。

① 移動用発電設備であって、発電所、変電所、開閉所、電力用保安通信設備又は需要設備の(2)非常用予備発電設備として使用するもの:発電所、変電所、開閉所、電力用保安通信設備又は需要設備に属する非常用予備発電装置

② 移動用発電設備であって①以外のもの:発電所

(2)移動用電気工作物に係る法第42条の規定に基づく保安規程の届出並びに法第43条及び電気事業法施行規則(平成7年通商産業省令第77号。以下「規則」という。)第52条の規定に基づく主任技術者選任の届出及び申請の運用に当たっては、次のとおり取り扱うこととする。

① 法第42条の規定に基づく保安規程の届出
法第42条の規定に基づく保安規程の届出は、移動用電気工作物を設置して使用する者が、当該移動用電気工作物の工事、維持及び運用(修理、改造、保管、点検、整備、使用、据付等)の方法並びに移動する区域について保安規程を作成し、当該移動用電気工作物を(5)使用する場所を管轄する産業保安監督部長(産業保安監督部の支部長、中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署長及び那覇産業保安監督事務所長を含む。以下同
じ。)に提出するものとする。なお、当該保安規程で定める移動する区域が二以上の産業保安監督部の管轄区域にある場合は、経済産業大臣に届出を行うものとする。

② 法第43条及び規則第52条の規定に基づく主任技術者選任の届出及び申請
法第43条及び規則第52条の規定に基づく主任技術者選任の届出及び申請は、移動用電気工作物を設置して使用する者が、使用する場所又はこれを直接統括する事業場に主任技術者を選任(規則第52条第2項の承認にあっては、同項の委託契約を締結)し、当該移動用電気工作物を(5)使用する場所を管轄する産業保安監督部長に提出するものとする。なお、当該使用する場所が二以上の産業保安監督部の管轄区域にある場合は、経済産業大臣に届出及び申請を行うものとする。

<電気事業法第42条>
(4)事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、主務省令で定めるところにより、保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに(4)保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用(第五十一条第一項の自主検査又は第五十二条第一項の事業者検査を伴うものにあつては、その工事)の開始前に、主務大臣に(4)届け出なければならない。

2 事業用電気工作物を設置する者は、保安規程を変更したときは、遅滞なく、変更した事項を主務大臣に届け出なければならない。

3 主務大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規程を変更すべきことを命ずることができる。

4 事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。

<電気事業法第43条>
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、主務省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、主任技術者を選任しなければならない。

2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の規定にかかわらず、主務大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として選任することができる。

3 事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したとき(前項の許可を受けて選任した場合を除く。)は、遅滞なく、その旨を主務大臣に届け出なければならない。これを解任したときも、同様とする。

4 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。

5 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

<電気事業法施行規則第48条(抜粋)>
2 法第三十八条第一項第一号の経済産業省令で定める電圧は、六百ボルトとする。

3 法第三十八条第二項の経済産業省令で定める電圧は、六百ボルトとする。

4 法第三十八条第二項の経済産業省令で定める発電用の電気工作物は、次のとおりとする。ただし、次の各号に定める設備であって、同一の構内に設置する次の各号に定める他の設備と電気的に接続され、それらの設備の出力の合計が五十キロワット以上となるものを除く。

一 太陽電池発電設備であって出力五十キロワット未満のもの

二 風力発電設備であって出力二十キロワット未満のもの

三 次のいずれかに該当する水力発電設備であって、出力二十キロワット未満のもの

イ 最大使用水量が毎秒一立方メートル未満のもの(ダムを伴うものを除く。)

ロ 特定の施設内に設置されるものであって別に告示するもの

四 内燃力を原動力とする火力発電設備であって出力(3)十キロワット未満のもの

五 次のいずれかに該当する燃料電池発電設備であって、出力十キロワット未満のもの

イ 固体高分子型又は固体酸化物型の燃料電池発電設備であって、燃料・改質系統設備の最高使用圧力が〇・一メガパスカル(液体燃料を通ずる部分にあっては、一・〇メガパスカル)未満のもの

ロ 道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)第二条第二項に規定する自動車(二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車、大型特殊自動車、小型特殊自動車並びに被牽引自動車を除く。)に設置される燃料電池発電設備(当該自動車の動力源として用いる電気を発電するものであって、圧縮水素ガスを燃料とするものに限る。)であって、道路運送車両の保安基準(昭和二十六年運輸省令第六十七号)第十七条第一項及び第十七条の二第三項の基準に適合するもの

六 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令(平成九年通商産業省令第五十一号)第七十三条の二第一項に規定するスターリングエンジンで発生させた運動エネルギーを原動力とする発電設備であって、出力十キロワット未満のもの



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