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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
汽力発電設備の復水・給水系統に設置されている各設備に関して,次の問に答えよ。
(1) 復水装置(復水器と復水器真空ポンプ)について,その役割と仕組みを\( \ 150 \ \)字程度以内で述べよ。
(2) 脱気器について,その役割と仕組みを\( \ 100 \ \)字程度以内で述べよ。
【ワンポイント解説】
汽力発電設備に使用される復水装置と脱気器に関する問題です。
汽力発電のプラントを運転・保守されている方であれば知っている内容ですが,ほとんどの電験受験生が知らない問題であったかと思います。
一般的な電験の参考書にはほぼ記載がない内容なので,ワンポイント解説の内容を理解したら,他の問題を優先した方が良いかもしれません。
1.復水器の構造と役割
復水器はタービンで仕事をした排気蒸気を水にするために,海水等の冷却水と熱交換させる機器で,汽力発電設備における重要な役割を果たす機器の一つです。一般に汽力発電設備では冷却水の配管を通して熱交換をさせる表面復水器が用いられ,内部の真空を保持することで,タービンでのエネルギー落差(圧力差)を大きくし,より多くのエネルギーをタービンで得ることができます。
しかしながら,復水器で失われるエネルギーは非常に大きく,汽力発電設備の約半分に相当するエネルギーが復水器で失われます。
復水器の真空保持には水封式の復水器真空ポンプと空気エゼクタという機器を組み合わせて使用されます。(詳細は割愛しますが,家庭でも使用されるサイクロン掃除機のようなイメージで十分です。)タービン排気に含まれる不凝縮性ガスを連続的に排気することで,復水器の真空を保持します。
出典:電験戦士教本「火力発電」 P.78
URL:https://denkenia-archives.stores.jp/
2.脱気器の構造と役割
脱気器は給水中の溶存酸素等の不凝縮性ガスを除去する装置で,配管や機器の金属部の腐食を防止する役割があります。給水を噴霧しトレイに流し,さらにタービンの抽気を供給し,給水を飽和温度まで加熱して溶存酸素を除去します。一般に図1に示すように,溶存酸素を除去する脱気室と給水を貯水しておく脱気タンクから構成されています。
【解答】
(1)復水装置(復水器と復水器真空ポンプ)の役割と仕組み
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.復水器の構造と役割」の通りです。
・\( \ 150 \ \)字程度なので,タービンの蒸気を海水等の冷却水を用いて復水に凝縮することと復水器真空ポンプで真空を保持していることを記載すれば十分に部分点は貰えるかと思います。
(試験センター解答例)
役割は,蒸気タービンで仕事をした蒸気を水に戻して再び復水として利用すること,及び発電設備の熱効率を向上させることである。仕組みは,蒸気タービンの排気室に直結した復水器で,蒸気を海水などの冷却水と間接接触させて凝縮させる。また,残留する不凝縮性のガスは,復水器真空ポンプで系外に排出する。
(2)脱気器の役割と仕組み
(ポイント)
・ワンポイント解説「2.脱気器の構造と役割」の通りです。
・溶存酸素を除去することとタービン抽気を供給していることを記載すれば高得点が得られるかと思います。
(試験センター解答例)
役割は,ボイラや付属設備の腐食を未然に防ぐことである。仕組みは,タービンの抽気などの蒸気を給水に直接接触させ,給水を飽和温度まで加熱し,給水中の溶存酸素などを分離させて大気中に放出する。