《電力》〈配電〉[R03:問7]配電線の事故の種類と発生要因及び保護に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,配電線の保護に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

我が国の配電線は架空線が多く,年度により若干の差異はあるものの雷,風水害,氷雪,\( \ \fbox {  (1)  } \ \)など自然災害の影響を大きく受けることが多く,約半数を占める。その他の事故に要因としては,設備不備,保守不備や自動車の衝突,クレーン車の接触などの故意過失,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)の接触が主な原因としてあげられる。

一方で,地中線は都市の美観,\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の観点などから都市部を中心に増加しており,主な事故の原因は道路工事における故意過失や設備不備,保守不備があげられる。

下表は,高圧配電線の事故の種類,事故時に動作する保護装置,事故の主な原因についてまとめたものである。

〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& スリートジャンプ     &(ロ)& 支持物     &(ハ)& 混触 \\[ 5pt ] &(ニ)& 雷による碍子の亀裂       &(ホ)& 防犯上     &(ヘ)& 台風によるトラッキング \\[ 5pt ] &(ト)& 雪害による断線     &(チ)& 架空地線     &(リ)& 炭化 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 塩害     &(ル)& 防災上     &(ヲ)& 樹木鳥獣 \\[ 5pt ] &(ワ)& 絶縁体     &(カ)& 経済性     &(ヨ)& トリーイング \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

配電線の保護に関する問題です。(5)の空欄は難解ですが,他の空欄は勉強が進めば比較的正答できそうな問題です。
事故の頻度は架空送電線では雷,風水害,氷雪,塩害等の自然災害が原因となる場合が多く,地中送電線では保守不備や設備不備等による原因が多いです。
配電線の事故原因に関する問題は平成27年電力問7にも出題されているため,そちらも確認しておくと良いと思います。


出典:電気工学ハンドブック(第7版) 一般社団法人電気学会 オーム社 P.1186

1.地中送電の特徴
【長所】
 ・自然災害による影響や他接触物による外部事故が少ない。
 ・都市の景観が保たれる。
 ・露出充電部が少ないので,感電や火災の危険性が低い。
 ・通信線への誘導障害が少ない。

【短所】
 ・工期が長くなり,建設費も高くなる。
 ・事故箇所の特定が難しく,事故復旧に時間がかかる。
 ・放熱性が低いため,導体の太さが同じ場合,送電容量が小さくなる。
 ・ケーブルの場合静電容量が数十倍となり,充電電流が大きい。

【解答】

(1)解答:ヌ
題意より解答候補は,(イ)スリートジャンプ,(ヌ)塩害,(ヨ)トリーイング,等になると思います。
ワンポイント解説内の円グラフの通り,自然災害で発生しやすいのは上記のうち塩害となります。スリートジャンプは氷雪が着氷し落下した際の跳ね上がりにより発生する短絡現象で,トリーイングは\( \ \mathrm {CV} \ \)ケーブルで発生する劣化現象のことです。

(2)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ロ)支持物,(チ)架空地線,(ヲ)樹木鳥獣,等になると思います。
ワンポイント解説内の円グラフの通り,その他の事故に要因としては樹木鳥獣の接触が最も多くなります。

(3)解答:ル
題意より解答候補は,(ホ)防犯上,(ル)防災上,(カ)経済性,になると思います。
ワンポイント解説「1.地中送電の特徴」の通り,地中線は経済性には劣りますが防災上の観点から有利となります。

(4)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)支持物,(チ)架空地線,(ワ)絶縁体,になると思います。
このうち短絡事故が発生する可能性があるのは支持物の倒壊や架空地線の断線ですが,架空地線は倒壊という用語は用いないため,選択肢は支持物の倒壊が正答となります。

(5)解答:ニ
題意より解答候補は,(ニ)雷による碍子の亀裂,(ヘ)台風によるトラッキング,(ト)雪害による断線,になると思います。
異相地絡事故は\( \ 2 \ \)線以上の電線が同時地絡している事故で,雷による碍子の亀裂等により鉄塔の電位が上昇することによる逆フラッシオーバや多重雷事故により同時多発的に発生する地絡等が原因となります。一般に過電流リレーや地絡リレーはそれぞれ個別の事故を保護対象としているため,異相地絡事故の場合は過電流リレーと地絡リレーを組み合わせて動作させる必要があります。



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