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【問題】
【難易度】★★★☆☆(普通)
次の文章は,柱上変圧器の事故と保護に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
柱上変圧器の地絡事故は,巻線と変圧器ケース,一次巻線と二次巻線との接触などにより発生する。
変圧器内部の一次巻線の地絡事故は,変電所の\( \ \fbox { (1) } \ \)によって検出され,変電所内の遮断器によって遮断される。また,一次巻線と二次巻線の混触事故は,二次巻線の\( \ \mathrm {B} \ \) 種接地工事を行った接地を通じて,同様に変電所で検出,遮断される。
このような事故は変圧器の構造からして自然に発生するものではなく,\( \ \fbox { (2) } \ \)の繰り返し,雷によるショックなどによって\( \ \fbox { (3) } \ \)劣化し発生する。
また,雷により\( \ \fbox { (4) } \ \)が破損し,一次側リード線と変圧器ケースとが\( \ \fbox { (5) } \ \)することで地絡事故は発生する。
〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 過電流リレー &(ロ)& シーリング &(ハ)& 逆フラッシオーバ \\[ 5pt ]
&(ニ)& 過負荷 &(ホ)& 鉄心 &(ヘ)& 損傷 \\[ 5pt ]
&(ト)& 地絡リレー &(チ)& 腐食 &(リ)& 絶縁 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& フラッシオーバ &(ル)& 風雨 &(ヲ)& 気温変化 \\[ 5pt ]
&(ワ)& \mathrm {GR} \ 付 \ \mathrm {PAS} &(カ)& コイル &(ヨ)& ブッシング \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
柱上変圧器に関する問題です。
配電線路の中でもかなり的を絞った問題で,内容はそれほど難解ではありませんが,選択肢がやや選定しにくい問題であった印象です。
このような問題は,じっくりと選択肢を整理し,消去法で最も合う用語を選択すると正答率が上がると思います。
1.柱上変圧器の構造及び構成要素
柱上変圧器は配電線路の電柱の上に設置される変圧器で,\( \ 6 \ 600 \ \mathrm {V} \ \)の高圧の電気を\( \ 100 \ \mathrm {V} \ \)もしくは\( \ 200 \ \mathrm {V} \ \)の低圧の電気に変圧するもので以下の機器が収納され,中は絶縁油で満たされています。
①変圧器(鉄心及びコイル)
高圧の電気を低圧に変圧します。
②電圧切換タップ
変圧器の巻数比を変え,低圧側の電圧を適正範囲内に調整します。
③高圧ブッシング,低圧ブッシング
変圧器の容器が金属製であるため,ブッシングで電線と容器を絶縁させます。
④放熱板
表面積を大きくして,変圧器の冷却効果を高めます。
出典:中部電力パワーグリッド株式会社 HP
https://www.chuden.co.jp/energy/ene_about/electric/kids_denki/home/hom_kaku/
【解答】
(1)解答:ト
題意より解答候補は,(イ)過電流リレー,(ト)地絡リレー,等になると思います。
事故の種類により変電所で働くリレーは異なり,主に短絡事故であれば過電流リレー,地絡事故であれば地絡リレーが働きます。
(2)解答:ニ
題意より解答候補は,(ニ)過負荷,(ル)風雨,(ヲ)気温変化,になると思います。
これらのうち,最も事故の発生の要因となるのは過負荷です。風雨や気温変化による事故は可能性としては零ではありませんが,通常想定される自然現象は設計の段階で十分に許容されていると考えられます。
(3)解答:リ
題意より解答候補は,(ヘ)損傷,(チ)腐食,(リ)絶縁,になると思います。
雷等による過電圧では絶縁が脅かされ,絶縁劣化します。広義の意味では損傷でもありますが,絶縁劣化により機器の損傷が発生するといった方がより適切かと思います。
(4)解答:ヨ
題意より解答候補は,(ロ)シーリング,(ホ)鉄心,(ワ)\( \ \mathrm {GR} \ \)付\( \ \mathrm {PAS} \ \),(カ)コイル,(ヨ)ブッシング,になると思います。
配電線に落雷が発生した場合には,リード線を通じて柱上変圧器側に過電圧が侵入してくる可能性があります。その際にブッシングが破損し,絶縁が保たれなくなると地絡事故が発生します。
(5)解答:ヌ
題意より解答候補は,(ハ)逆フラッシオーバ,(ヌ)フラッシオーバ,になると思います。
電線路に直接落雷することが原因でがいしの絶縁耐力を超え地絡することをフラッシオーバ,電柱等に落雷したものががいしの絶縁耐力を超え電線路に過電圧が侵入することを逆フラッシオーバといいます。したがって,本問の文章においてはフラッシオーバが適切となります。