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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,絶縁設計に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
電力系統には送電線や変圧器などの機器が接続されているが,これらの絶縁強度はそれぞれの機器単独で決めるべきものではなく,系統に発生する異常電圧を考慮して統一のとれたものでなければならない。絶縁強度は信頼性に関わるため,\( \ \fbox { (1) } \ \)レベルより高くとる必要があるが,逆に強度が高すぎて不経済なものであってもならない。すなわち,電力系統全体の絶縁設計を,発生する過電圧を考慮して\( \ \fbox { (2) } \ \)などの各種\( \ \fbox { (1) } \ \)装置と関連させて合理化し,事故の防止を図るとともに経済的で信頼性のある状態となるよう設計する必要がある。これを\( \ \fbox { (3) } \ \)という。
\( \ \fbox { (3) } \ \)の検討は,次の手順で行われる。
① 運用条件や\( \ \fbox { (2) } \ \)の配置など,系統に発生する過電圧の解析条件を設定する。
② 過去の実績や解析結果に基づいて,系統に生じる各種過電圧(短時間交流過電圧,雷サージ電圧,開閉サージ電圧)の大きさとその\( \ \fbox { (4) } \ \)を予測し,\( \ \fbox { (5) } \ \)値を設定する。
③ 機器の絶縁性能に与える要因とその影響を考慮して,②で求めた過電圧種類ごとの\( \ \fbox { (5) } \ \)値に対する機器の所要耐電圧を決める。
④ 各種過電圧に対して,試験電圧の選定や絶縁設計の条件を決定する。
〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 標準偏差の \ 3 \ 倍の &(ロ)& 避雷器 &(ハ)& 絶縁 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 対策 &(ホ)& リレー &(ヘ)& 最大 \\[ 5pt ]
&(ト)& 放圧装置 &(チ)& 絶縁耐力 &(リ)& 継続時間 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 相互作用 &(ル)& 絶縁解析 &(ヲ)& 発生頻度 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 平均 &(カ)& 保護 &(ヨ)& 絶縁協調 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
電路における絶縁設計に関する問題です。
落雷は発生頻度も多いため,絶縁設計は安全性と経済性を両立しなければならない内容です。日本の停電の少なさは絶縁協調や保護協調がきちんとされているおかげと考えて良いでしょう。
1.絶縁協調の考え方
機器は遮断器や開閉器動作時の開閉過電圧をはじめとした内部過電圧には機器の絶縁で耐えられるように設計されますが,落雷等の外部過電圧を耐えるように設計することは経済的にほぼ不可能なので,避雷器等の保護装置を設けます。
避雷器はある一定以上の電圧(制限電圧)になると放電する性質を持ち,かつ放電開始後電圧が低下した後の続流を短時間に遮断できる機能を持つ素子が利用されます。そのため,電路の電圧は制限電圧以上には上昇せず機器は保護されます。
2.避雷器の電圧―電流特性
避雷器に扱われる炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子と酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の電圧―電流特性を図2に示します。
図2のように酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))は一般的な抵抗と異なり電圧と電流が比例せず,非線形抵抗特性と呼ばれます。
炭化ケイ素(\( \ \mathrm {SiC} \ \))素子単体では通常運転時でも電流が流れてしまう反面,酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子の場合通常電圧時では電流が流れないため,近年では酸化亜鉛(\( \ \mathrm {ZnO} \ \))素子が多く採用されています。
【解答】
(1)解答:カ
題意より解答候補は,(ハ)絶縁,(カ)保護,等になると思います。
ワンポイント解説「1.絶縁協調の考え方」の通り,機器の絶縁強度は保護レベルよりも高くとる必要があり,保護装置と関連させて合理化する必要があります。後ろの空欄の方が正答を導きやすいかと思います。
(2)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)避雷器,(ホ)リレー,(ト)放圧装置,になると思います。
ワンポイント解説「1.絶縁協調の考え方」の通り,過電圧による事故防止とともに経済的で信頼性のある状態となるように設計されるために設けるのは避雷器となります。
(3)解答:ヨ
題意より解答候補は,(ル)絶縁解析,(ヨ)絶縁協調,になると思います。
ワンポイント解説「1.絶縁協調の考え方」の通り,過電圧を考慮して経済的で信頼性のある状態となるように設計することを絶縁協調といいます。
(4)解答:ヲ
題意より解答候補は,(リ)継続時間,(ヲ)発生頻度,になると思います。
ワンポイント解説「2.避雷器の電圧―電流特性」の通り,絶縁協調は各種過電圧の大きさとその発生頻度を予測して設計します。継続時間も関連するかもしれませんので迷うところですが,短時間交流過電圧,雷サージ電圧,開閉サージ電圧,いずれも一時的な過電圧で発生頻度の方がより重要かなという印象です。
(5)解答:ヘ
題意より解答候補は,(イ)標準偏差の\( \ 3 \ \)倍の,(ニ)対策,(ヘ)最大,(チ)絶縁耐力,(ル)絶縁解析,(ワ)平均,になると思います。
機器の保護という観点で,絶縁協調として考慮しなければならないのは電圧の最大値となります。