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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,電力系統の需給運用に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。
日々の電力需要は,季節,曜日,\( \ \fbox { (1) } \ \)の変化に応じて大きく変化する。そこで翌日の需要予想は,これまでの需要実績と\( \ \fbox { (1) } \ \)の変化,季節的特徴や祝日などの特異日などをベースに作成する。
これに対し,供給力は各発電所の運転状況について,水力発電の出水状況,発電所の定期運転,電気設備の故障,他社受電などを勘案して総合的に積み上げる。供給力は需要に対し若干の余裕を持つ必要があるが,これを\( \ \fbox { (2) } \ \)と呼び,次のように分類される。
a.待機予備力
待機中の火力発電所など,起動してから発電するまでに\( \ \fbox { (3) } \ \)以上を要し,需給の急変時には対応できないが,発電後は長時間継続して発電可能な予備力。
b.運転予備力
天候急変などによる需要の急増や,短期間の系統の不足電力に対応するための,\( \ \fbox { (4) } \ \)負荷運転中の発電機の出力の余力,停止待機中の水力など数分間で供給力増加が可能な予備力。
c.\( \ \fbox { (5) } \ \)予備力
電源脱落時の周波数低下に対して系統の周波数が許容値を超えないよう即座に出力増加が図られる。調速機運転分余力のような予備力。
〔問7の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 必要予備力 &(ロ)& 部 分 &(ハ)& 数十分 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 短時間 &(ホ)& 常 時 &(ヘ)& 自 動 \\[ 5pt ]
&(ト)& 供給予備力 &(チ)& 瞬 動 &(リ)& 気 温 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 定 格 &(ル)& 数 日 &(ヲ)& 湿 度 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 数時間 &(カ)& 雨 量 &(ヨ)& 見込み予備力 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
電力需給の予備力に関する問題で,電力会社に勤める方であれば日常的に使用されている内容であると思います。2010年代前半までは夏場等になると運転予備力が少なくなり節電を呼びかけるCMが多かったですが,近年は太陽光発電等の普及もしくはエアコンの効率向上によるものか,気温が高くてもあまり節電と言わなくなりました。
1.供給予備力の種類
電力会社で日常的に用いられる供給予備力としては以下の\( \ 3 \ \)種類があります。
① 待機予備力
主に火力発電所,特に石油火力発電所等で,発電機を停止して,数時間後に立ち上げられるような状態にしておくものを言います。電源系統や送電系統の不具合等により計画的に停止しなければならない場合等に立ち上げることがあります。
② 運転予備力
部分負荷中の火力発電,ダム式や揚水式水力等数分後に供給力を上げることができる発電設備の割合であり,不具合等で電源を即時停止しなければならない場合等に立ち上げることがあります。一般的に運転予備力は\( \ 8 ~10 \ \mathrm {%} \ \)程度あることが望ましいとされています。
③ 瞬動予備力
ガバナフリー運転時の余力等があり,\( \ 10 \ \)秒以内に急速に出力を上昇して,部分負荷運転中の火力発電が出力上昇するまで,系統周波数を許容範囲内に維持する予備力となります。
【解答】
(1)解答:リ
題意より,解答候補は(リ)気温,(ヲ)湿度,(カ)雨量,等になると思います。湿度等も影響はありますが,最も影響があるのは気温であると思います。
(2)解答:ト
題意より,解答候補は(イ)必要予備力,(ト)供給予備力,(ヨ)見込み予備力,になると思います。名称として適当なのは供給予備力となります。
(3)解答:ワ
題意より,解答候補は(ハ)数十分,(ル)数日,(ワ)数時間,等になると思います。ワンポイント解説「1.供給予備力の種類」の通り,待機予備力は数時間後に起動できる火力発電所等が該当します。
(4)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)部分,(ヌ)定格,等になると思います。運転予備力として対応可能なのは部分負荷運転中の火力発電となります。
(5)解答:チ
題意より,解答候補は(ニ)短時間,(ホ)常時,(ヘ)自動,(チ)瞬動,等になると思います。ワンポイント解説「1.供給予備力の種類」の通り,調速機運転分余力のような予備力を瞬動予備力と呼びます。