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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,雷撃及び避雷器の施設に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
a) 電気工作物への落雷に起因する雷撃には,直撃雷と\( \ \fbox { (1) } \ \)とがある。
b) 直撃雷を受けると,多くの電気工作物は物理的に損壊するが,架空送電線路は物理的な損壊を極力防止する設計となっているため,\( \ \fbox { (2) } \ \)が成功することが多い。
c) こう長\( \ 10 \ \mathrm {km} \ \)の\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)架空送電線\( \ 2 \ \)回線から受電して\( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)に降圧する配電用変電所がある。\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)送電線については,その\( \ \fbox { (3) } \ \)に避雷器を施設する義務がある。この避雷器には,\( \ \fbox { (4) } \ \)接地工事を施さなければならない。
d) \( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)架空配電線から電気の供給を受ける需要家の受電電力が\( \ \fbox { (5) } \ \mathrm {kW} \ \)以上の場合,その需要場所の\( \ \fbox { (3) } \ \)に避雷器を施設する義務がある。
〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& \mathrm {A} \ 種 &(ロ)& 500 &(ハ)& \mathrm {B} \ 種 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 50 &(ホ)& 接続点 &(ヘ)& フラッシオーバ \\[ 5pt ]
&(ト)& 受電点 &(チ)& 故障区間判別 &(リ)& 伝導雷 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 負荷遮断 &(ル)& 再閉路 &(ヲ)& 1 \ 000 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 誘導雷 &(カ)& 引込口 &(ヨ)& \mathrm {C} \ 種 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
落雷により発生する過電圧及び電気設備の技術基準の解釈第37条からの出題です。
電気施設管理と電気設備技術基準を組み合わせた複合問題となっています。
\( \ 2 \ \)種では二次試験を含め,高い総合力が求められますので,様々な知識を幅広く習得するようにしましょう。
1.落雷により発生する過電圧
①直撃雷
図1のように送電線や機器に直接落雷する現象です。
過電圧の大きさは非常に大きく\( \ 100 \ \)万\( \ \mathrm {V} \ \)以上になり,がいしの絶縁耐力を超えフラッシオーバが発生します。
フラッシオーバをしないと機器に過電圧が加わるので,がいしの連結個数は適切にする必要があります。
②誘導雷
図2のように,帯電した雷雲(一般に夏季雷は負極性)が送電線に近づくと静電誘導により反対の極性の電荷が雷雲付近に集まり,落雷等で放電されると送電線に蓄えられていた電荷が一気に解放され,大きな電荷の移動が起こる現象です。
雷過電圧の中で最も発生数が多い特徴があります。
③逆フラッシオーバ
図3のように鉄塔や架空地線に落雷したときに,がいしの絶縁耐力を超え,送電線側に過電圧が侵入する現象です。
【解答】
(1)解答:ワ
題意より解答候補は,(ヘ)フラッシオーバ,(リ)伝導雷,(ワ)誘導雷,になると思います。
ワンポイント解説「1.落雷により発生する過電圧」の通り,電気工作物への落雷に起因する雷撃は直撃雷と誘導雷となります。
(2)解答:ル
題意より解答候補は,(チ)故障区間判別,(ヌ)負荷遮断,(ル)再閉路,になると思います。
架空送電線路は直撃雷が発生したとしても物理的な損壊を極力防止する設計になっているので,一旦故障区間を切り離し再閉路すれば問題なく送電が継続できる場合が多いです。
(3)解答:カ
電気設備の技術基準の解釈第37条第1項第1号及び第3号の通り,引込口となります。
(4)解答:イ
電気設備の技術基準の解釈第37条第3項の通り,\( \ \mathrm {A} \ \)種となります。
(5)解答:ロ
電気事業法第47条第1項の通り,\( \ \mathrm {500} \ \mathrm {kW} \ \)となります。
<電気設備の技術基準の解釈第37条>
高圧及び特別高圧の電路中,次の各号に掲げる箇所又はこれに近接する箇所には,避雷器を施設すること。
一 発電所又は変電所若しくはこれに準ずる場所の架空電線の(3)引込口(需要場所の引込口を除く。)及び引出口
二 架空電線路に接続する,第26条に規定する配電用変圧器の高圧側及び特別高圧側
三 高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力が(5)\( \ \color {red}{\underline {500}} \ \)\(\mathrm {kW} \ \)以上の需要場所の(3)引込口
四 特別高圧架空電線路から電気の供給を受ける需要場所の引込口
2 次の各号のいずれかに該当する場合は,前項の規定によらないことができる。
一 前項各号に掲げる箇所に直接接続する電線が短い場合
二 使用電圧が\( \ 60,000 \ \mathrm {V} \ \)を超える特別高圧電路において,同一の母線に常時接続されている架空電線路の数が,回線数が\( \ 7 \ \)以下の場合にあっては\( \ 5 \ \)以上,回線数が\( \ 8 \ \)以上の場合にあっては\( \ 4 \ \)以上のとき。これらの場合において,同一支持物に2回線以上の架空電線が施設されているときは,架空電線路の数は\( \ 1 \ \)として計算する。
3 高圧及び特別高圧の電路に施設する避雷器には,(4)\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {A}}} \ \)種接地工事を施すこと。ただし,高圧架空電線路に施設する避雷器(第1項の規定により施設するものを除く。)の\( \ \mathrm {A} \ \)種接地工事を日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は,第17条第1項第一号の規定によらないことができる。