《機械》〈同期機〉[H18:問2]三相同期発電機の短絡比に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,三相同期発電機の短絡比に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる語句を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

同期機の特性を示すパラメータの一つに短絡比がある。短絡比とは,定格速度において,無負荷で定格電圧を発生するのに必要な界磁電流と,三相短絡の場合に\( \ \fbox {  (1)  } \ \)電流に等しい短絡電流を発生するのに必要な界磁電流との比である。

短絡比が大きい機械は,同期インピーダンスが\( \ \fbox {  (2)  } \ \)ので電機子反作用の影響が\( \ \fbox {  (2)  } \ \)機械である。このような機械とするには,電機子巻線の巻数を少なくするか,ギャップの長さを大きくするか又は両方である。この場合,一定の誘導起電力を得るには,磁束を増すため界磁起磁力を増やすか又は鉄心断面積を増加させることになり,いずれの場合でも,機械の寸法が大きくなる。所要巻線量(銅量)はほぼ寸法に比例し,所要鉄量は寸法の\( \ \fbox {  (3)  } \ \)に比例する。したがって,短絡比の大きい機械は\( \ \fbox {  (4)  } \ \)といわれ,\( \ \fbox {  (5)  } \ \)が小さく,過負荷耐量も大きく,高価である。

〔問2の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 小さい     &(ロ)& 電磁機械     &(ハ)& 2 乗 \\[ 5pt ] &(ニ)& 大きい     &(ホ)& 3 乗     &(ヘ)& 負 荷 \\[ 5pt ] &(ト)& 鉄機械     &(チ)& 速度調定率       &(リ)& 無負荷 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 等しい     &(ル)& 1.6 乗     &(ヲ)& 定 格 \\[ 5pt ] &(ワ)& 速度変動率       &(カ)& 銅機械     &(ヨ)& 電圧変動率 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

三相同期発電機の短絡比に関する問題です。
短絡比は同期機の概念を理解するためには非常に重要な内容となります。最初は定義が頭に入りにくいと思いますが,定義となりますので,必ず覚えるようにして下さい。

1.同期発電機の無負荷飽和曲線と三相短絡曲線
同期発電機は図1のような無負荷飽和曲線と三相短絡曲線の特性があります。図中の\( \ V_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[V]} \ \)は定格電圧,\( \ I_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[A]} \ \)は定格電流,三相短絡曲線は曲線ですが,ほぼ比例の直線と近似できます。
この時,\( \ I_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[A]} \ \)は定格電圧時の三相短絡電流であり,短絡比\( \ K \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
K &=& \frac {I_{\mathrm {s}}}{I_{\mathrm {n}}}=\frac {I_{\mathrm {f1}}}{I_{\mathrm {f2}}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

2.百分率インピーダンスと短絡比の関係
同期発電機の百分率同期インピーダンスが\( \ %Z \ \mathrm {[%]} \ \),短絡比が\( \ K \ \)であるとき,その関係は,
\[
\begin{eqnarray}
K&=&\frac {100}{%Z} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] の関係があります。

※百分率インピーダンスの定義式等を用いて\( \ \displaystyle I_{\mathrm {s}}=\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}} \ \)から上式を求めることはできますが,試験時には暗記しておいた方が良いと思います。
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {s}}&=&\frac {\displaystyle \frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}}}{Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}} \\[ 5pt ] &=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}} \\[ 5pt ] \frac {I_{\mathrm {s}}}{I_{\mathrm {n}}}&=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}I_{\mathrm {n}}} \\[ 5pt ] K&=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[\Omega ]}I_{\mathrm {n}}\times 100}\times 100 \\[ 5pt ] &=&\frac {100}{%Z_{\mathrm {s}}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

3.短絡比と同期発電機の関係
一般に短絡比が大きいと以下の特徴があります。
・同期インピーダンスが小さい
 →百分率同期インピーダンス(∝同期インピーダンス)が短絡比の逆数となるため
・鉄機械となる
 →インピーダンスが小さい,すなわち巻線の量の割合が小さくなるため
・電圧変動率が小さくなる
 →電圧変動率は\( \ \displaystyle \frac {E_{0}-E}{E} \ \)で定義され,同期インピーダンスが小さい程誘導起電力\( \ E_{0} \ \mathrm {[V]} \ \)と端子電圧\( \ E \ \mathrm {[V]} \ \)の差が小さくなるため
・発電機の安定度が良い
 →同期インピーダンスが小さいと電圧変動率が小さくなるため
・発電機の外形寸法,重量が大きくなる
 →鉄心が割合が多くなるため
・鉄損及び機械損が大きい
 →鉄心が多く,寸法も大きいため
・安定度が良くなる
 →同期インピーダンスが小さくなり同期化力\( \ \left( \displaystyle ∝ \frac {1}{X}\right) \ \)が向上するため

【解答】

(1)解答:ヲ
題意より,解答候補は(ヘ)負荷,(リ)無負荷,(ヲ)定格,になると思います。
ワンポイント解説「1.同期発電機の無負荷飽和曲線と三相短絡曲線」の通り,短絡比は,無負荷で定格電圧を発生するのに必要な界磁電流と,三相短絡の場合に定格電流に等しい短絡電流を発生するのに必要な界磁電流との比となります。

(2)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)小さい,(ニ)大きい,(ヌ)等しい,になると思います。
ワンポイント解説「2.百分率インピーダンスと短絡比の関係」の通り,短絡比が大きい機械は,同期インピーダンスが小さいです。電機子反作用は電機子電流による磁束が,界磁磁束に影響を与えることをいうので,短絡比の大きい機械は電機子反作用の影響が小さい機械となります。

(3)解答:ホ
題意より,解答候補は(ハ)\( \ 2 \ \)乗,(ホ)\( \ 3 \ \)乗,(ル)\( \ 1.6 \ \)乗,になると思います。
所要鉄量は設備の体積に比例することから,寸法の\( \ 3 \ \)乗に比例します。

(4)解答:ト
題意より,解答候補は(ロ)電磁機械,(ト)鉄機械,(カ)銅機械,になると思います。
ワンポイント解説「3.短絡比と同期発電機の関係」の通り,短絡比の大きい機械は鉄機械と呼ばれます。

(5)解答:ヨ
題意より,解答候補は(チ)速度調定率,(ワ)速度変動率,(ヨ)電圧変動率,になると思います。
ワンポイント解説「3.短絡比と同期発電機の関係」の通り,短絡比の大きい機械は電圧変動率が小さいという特徴があります。



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