《機械》〈電気化学〉[R02:問4]リチウムイオン二次電池の特徴に関する計算・空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,リチウムイオン二次電池に関する記述である。文中の  に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

リチウムイオン二次電池は軽量,コンパクトであることからモバイル機器から電気自動車まで広く用いられている。この電池は,公称電圧が約  (1)  の高性能電池である。正極にはコバルト酸リチウムなどのリチウム  (2)  酸化物,負極にはカーボン,電解質には高い電圧でも分解しない有機物系の材料を用いる。放電時には,正極の活物質が  (3)  して電解質中のリチウムイオンが取り込まれ,同時に負極のカーボンにインターカレーションしているリチウムイオンが放出される。大きな出力が必要な場合,通常より大電流放電されるが,この時のセル電圧は公称電圧  (4)  。電池は応用システムの電流や電圧の要求に従って直並列に接続した電池システムとして用いられる。ある電池の重量エネルギー密度が 175 Wh/kg であり,平均電圧 3.5 V  500 mA での放電を 10 h 行えるとすると,この電池の重量は約  (5)  となる。

〔問4の解答群〕
       1.2 V      1.5 V              50 g            3.7 V              150 g            100 g

【ワンポイント解説】

リチウムイオン電池に関する問題です。
近年は電力科目や機械科目で蓄電池に関する出題が非常に増えています。基本的な知識は必須項目となっていると言えると思います。
令和2年度では電力科目にも出題されているという珍しい現象も起きています。
本問の(5)は二種らしい出題で受験生が公式を暗記しているのではなく,中身を理解しているかを問う問題となっています。

1.リチウムイオン電池
リチウムイオンが移動することにより充放電を行うことから「リチウムイオン電池」と呼ばれます。エネルギー密度が非常に高く高い起電力を得ることができ,常温で使用可能なので,パソコンや携帯電話等日常的に扱うものにも多く採用されています。

①材料(反応式は暗記不要です)
 正 極: LiCoO2 
 負 極:黒鉛等
 電解質:有機電解質

②特徴
・エネルギー密度が高く(鉛蓄電池の約 5 倍),公称電圧も 3.63.7 V と高い。
・浅い充電と放電を繰り返すことで電池の容量が減ってしまうメモリー効果という現象が発生しない。
 500 回以上の充放電が可能で,高寿命である。
・高速充電が可能で,充放電効率も良い。
・液体を使用せず凍ることがないため,氷点下から 60 ℃の高温まで使用可能である。
・充放電時における材料の不安定化により,発火・爆発等の危険性があるため,充放電時の監視保護が別に必要となる。

【解答】

(1)解答:リ
題意より解答候補は,(ロ) 1.2 V ,(ハ) 1.5 V ,(リ) 3.7 V ,になると思います。
ワンポイント解説「1.リチウムイオン電池」は公称電圧約 3.7 V で高いという特徴があります。

(2)解答:ヌ
題意より解答候補は,(イ)貴金属,(チ)軽金属,(ヌ)遷移金属,になると思います。
コバルト酸リチウム等の材料はリチウム遷移金属酸化物と呼びます。遷移金属とは周期表の3族~11族元素の金属のことをいいます。(周期表は検索するとすぐに出てくるので確認してみて下さい。)
貴金属は金や銀等,軽金属はマグネシウムやアルミニウム等がありますが,いずれもリチウムイオン電池の材料とはなりません。

(3)解答:ホ
題意より解答候補は,(ニ)酸化,(ホ)還元,(ヘ)中和,になると思います。
放電時,正極ではリチウムイオンが取り込まれる,すなわち電子とリチウムイオンが化合する還元反応が起こります。
負極では電子を放出する酸化反応が起こります。

(4)解答:カ
題意より解答候補は,(ル)と等しい,(ヲ)より高い,(カ)より低い,になると思います。
大電流が放電されると,セルの電圧は公称電圧より低くなります。
 
(5)解答:ヨ
平均電圧 V=3.5 [V]  I=500 [mA] での放電を行うと,出力 P [W] は,
P=VI=3.5×0.5=1.75 [W]

であるから, t=10 [h] 放電をしたときの放電量 W [Wh] は,
W=Pt=1.75×10=17.5 [Wh]
となる。したがって,重量エネルギー密度 E=175 [Wh/kg] であるから,電池の重量 M [kg] は,
M=WE=17.5175=0.1 [kg]
となる。以上から,電池の重量は 100 g と求められる。



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