《機械》〈回転機〉[R03:問1]同期発電機の励磁方式及び励磁装置に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,原動機で駆動され,電力系統に連系した,一般的な直流励磁の定速同期発電機の励磁方式及び励磁装置に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

小型の同期発電機では界磁に永久磁石を使用することもあるが,中型から大型の同期発電機(以下,主発電機と呼ぶ)では界磁巻線に直流電流を通電して励磁する方法が適用される。

この直流電流(界磁電流)を供給する装置を励磁装置と呼び,近年では交流励磁機方式,又は静止形励磁方式が一般的である。また,この界磁電流の大きさを調整して主発電機の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)や端子電圧を調整することを励磁制御という。

交流励磁機方式は,励磁電源として同期発電機を使用しており,この発電機を交流励磁機と呼ぶ。交流励磁機方式では,主発電機の界磁電流の増減は,交流励磁機の界磁電流の調整によって行われる。交流励磁機の出力は半導体電力変換器で整流されて,主発電機の界磁巻線に供給される。交流励磁機にも励磁が必要であるが,その電源としてさらに小型の発電機をもう一台使用する場合は,この小型の発電機を\( \ \fbox {  (2)  } \ \)と呼ぶ。

交流励磁機方式の一つにブラシレス励磁方式がある。ブラシレス励磁方式の交流励磁機の構造は\( \ \fbox {  (3)  } \ \)形であり,その出力は交流励磁機の回転子と同軸上に設置された半導体電力変換器で整流されて,主発電機の界磁巻線に供給される。このため,この方式では主発電機及び交流励磁機に界磁電流を給電するための\( \ \fbox {  (4)  } \ \)とブラシが不要である。

静止形励磁方式では,サイリスタ素子を使用した電力変換器を使用する方式が近年一般的であり,サイリスタ励磁方式とも呼ばれる。サイリスタ励磁方式では,その電源を励磁変圧器経由で主発電機の出力回路(主回路)から得る\( \ \fbox {  (5)  } \ \)が多く採用されている。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 有効電力       &(ロ)& スリップリング       &(ハ)& 界磁遮断器 \\[ 5pt ] &(ニ)& 他励方式     &(ホ)& 副励磁機     &(ヘ)& 回転界磁 \\[ 5pt ] &(ト)& 整流子     &(チ)& 自励方式     &(リ)& 永久磁石 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 周波数     &(ル)& 無効電力     &(ヲ)& 変圧器励磁方式 \\[ 5pt ] &(ワ)& 主励磁機     &(カ)& 回転電機子     &(ヨ)& 二次励磁発電機 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

同期発電機の励磁方式に関する問題です。
\( \ 3 \ \)種ではあまり出題されない内容ですが,\( \ 2 \ \)種では過去何度か出題されたことがある内容です。
二次試験にも出題される可能性があるため,それぞれの励磁方式の概要を説明できる程度には理解しておくようにしましょう。

1.同期機の\( \ \mathrm {V} \ \)曲線
同期機の界磁電流と電機子電流には図1のような関係があり,これを\( \ \mathrm {V} \ \)曲線と言います。
図の通り界磁電流を増加させると電機子電流は力率\( \ 1 \ \)を最下点として\( \ \mathrm {V} \ \)字に上昇していくという特性があり,これにより無効電力を調整し電圧及び力率を調整することができます。発電機と電動機では遅れと進みが逆になります。

2.励磁方式の種類
①直流励磁機方式
 最も初期から使用されている方法で,直流発電機を励磁機として界磁電流を調整する方式です。ブラシ等保守に手間がかかります。

②交流励磁機方式
 交流発電機の出力を整流して励磁します。発電機を励磁する主励磁機と主励磁機を励磁する副励磁機があります。

③ブラシレス励磁方式
 回転電機子形の励磁用発電機と整流器を発電機と同一上に設置することで,スリップリングやブラシを不要とした方式です。

④静止形励磁方式
 発電機の主回路に接続した励磁用変圧器の出力をサイリスタを用いた整流器で直流へ変換し,励磁電流とする方式です。サイリスタでは点呼角を調整して直流出力電圧を変化させ,発電機の界磁電流を制御します。

【解答】

(1)解答:ル
題意より解答候補は,(イ)有効電力,(ヌ)周波数,(ル)無効電力,になると思います。
ワンポイント解説「1.同期機の\( \ \mathrm {V} \ \)曲線」の通り,界磁電流の大きさを調整することで,主発電機の無効電力を調整することができ,これを励磁制御といいます。

(2)解答:ホ
題意より解答候補は,(ホ)副励磁機,(ワ)主励磁機,(ヨ)二次励磁発電機,等になると思います。
ワンポイント解説「2.励磁方式の種類」の通り,交流励磁機方式において,主励磁機を励磁する小型の発電機を副励磁機といいます。

(3)解答:カ
題意より解答候補は,(ヘ)回転界磁,(リ)永久磁石,(カ)回転電機子,等になると思います。
ワンポイント解説「2.励磁方式の種類」の通り,ブラシレス励磁方式は回転電機子形の交流励磁機となります。

(4)解答:ロ
題意より解答候補は,(ロ)スリップリング,(ハ)界磁遮断器,(ト)整流子,等になると思います。
ワンポイント解説「2.励磁方式の種類」の通り,ブラシレス励磁方式はスリップリングとブラシが不要となる励磁方式です。

(5)解答:チ
題意より解答候補は,(ニ)他励方式,(チ)自励方式,(ヲ)変圧器励磁方式,になると思います。
静止形励磁方式は発電した自前の電力を励磁に使用するため,他励方式の交流励磁機方式と比較して自励方式と呼ばれます。



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