《法規》〈電気施設管理〉[H18:問9]高圧受電設備の地絡保護協調に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,高圧受電設備の地絡保護協調に関する記述である。(「高圧受電設備規程」による。)

\( \ \mathrm {a.} \ \)高圧電路に地絡が生じたとき,\( \ \fbox {  (ア)  } \ \)に電路を遮断するため,必要な箇所に地絡遮断装置を施設すること。

\( \ \mathrm {b.} \ \)地絡遮断装置は,電気事業者の配電用変電所の地絡保護装置との\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)をはかること。

\( \ \mathrm {c.} \ \)地絡遮断装置の\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \)整定にあたっては,電気事業者の配電用変電所の地絡保護装置との\( \ \fbox {  (イ)  } \ \)をはかるため,電気事業者と協議すること。

\( \ \mathrm {d.} \ \)地絡遮断装置から\( \ \fbox {  (エ)  } \ \)の高圧電路における対地静電容量が大きい場合は,地絡方向継電装置を使用することが望ましい。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  機械的  &  動作協調    &  感 度   &  \mathrm {C} 種  \\
\hline
(2) &  自動的  &  短絡強度協調  &  感 度   &  \mathrm {D} 種  \\
\hline
(3) &  自動的  &  動作協調    &  動作時限  &  \mathrm {D} 種  \\
\hline
(4) &  機械的  &  動作協調    &  動作時限  &  \mathrm {D} 種  \\
\hline
(5) &  機械的  &  短絡強度協調  &  動作時限  &  \mathrm {C} 種  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

高圧受電設備の地絡保護協調に関する問題です。
問題文冒頭で「高圧受電設備規程による」となっていますが,内容は現場の実務で学習する内容といって良いでしょう。
継電器の保護協調における動作特性曲線に関する問題が令和5年下期問13に出題されているので,そちらも一緒に学習しておくことをおすすめします。

1.受電設備の保護協調
高圧受電設備は,変電所からの配電線に複数の需要家が連なっているので,需要家構内の事故により変電所で遮断することになると他の需要家の停電等が起こる波及事故に繋がります。
したがって,受電設備の遮断器から負荷側の事故に対しては,直ちに事故を検出し需要家内の遮断器で遮断する必要があり,これを保護協調といいます。
受電設備の保護協調には,過電流保護と地絡保護があります。

①過電流保護
構内事故発生時に配電用変電所の過電流保護装置より速く動作しなければならない一方,変圧器の励磁突入電流や電動機の始動電流等正常運転時に動作しないようにする必要があります。したがって,構内の機械器具や電線を保護しかつ変電所の保護装置と動作電流及び動作時限の協調を行える整定値としなければなりません。
主遮断装置として高圧交流遮断器を用い保護リレー装置などとの組み合わせによって保護を行う\( \ \mathrm {CB} \ \)形と,限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせて保護を行う\( \ \mathrm {PF\cdot S} \ \)形があります。

②地絡保護
構内地絡事故発生時に確実に動作し,構外地絡事故に対し動作しないようにする必要があります。
地絡継電器方式と地絡方向継電器方式があり,以下に説明するように主に需要家構内のケーブルが短い場合は地絡継電器方式,長い場合は地絡方向継電器方式が採用されます。

例えば、図1に示すような需要家があった場合,図1の構外の地点で地絡事故が発生したとすると,零相変流器に流れる電流\( \ I_{\mathrm {ZCT}} \ \mathrm {[A]} \ \)は,分流の法則より,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {ZCT}}&=&\frac {\displaystyle \frac {1}{\mathrm {j}2\pi f\cdot 3C_{1}}}{\displaystyle \frac {1}{\mathrm {j}2\pi f\cdot 3C_{1}}+\frac {1}{\mathrm {j}2\pi f\cdot 3C_{2}}}I_{\mathrm {g}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\displaystyle \frac {1}{C_{1}}}{\displaystyle \frac {1}{C_{1}}+\frac {1}{C_{2}}}I_{\mathrm {g}} \\[ 5pt ] &=&\frac {C_{2}}{C_{1}+C_{2}}I_{\mathrm {g}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。需要家構内の線路が短く静電容量が小さい場合は上式の\( \ C_{2} \ \)の値が非常に小さくなり零相変流器にはほとんど電流が流れませんが,長いケーブルを使用する等で静電容量が大きくなると,構外の地絡事故による不必要動作が発生してしまいます。したがって,このような例では地絡継電器ではなく地絡方向継電器を設置することになります。

【解答】

解答:(3)
(ア)
地絡遮断装置は一般に事故発生時に自動的に電路を遮断する装置です。

(イ)
ワンポイント解説「1.受電設備の保護協調」の通り,地絡遮断装置は事故発生影響の最小化を図るため,上位である配電用変電所の遮断器よりも先に直近上位の需要家の遮断装置を動作させるように動作協調を図り,停電範囲を少なくします。

(ウ)
(イ)の空欄で説明したように地絡遮断装置は配電用変電所の地絡保護装置との動作協調を図るため,動作時限整定にあたっては,一般送配電事業者と協議する必要があります。

(エ)
ワンポイント解説「1.地絡方向継電器の原理」の通り,地絡遮断装置から負荷側の高圧電路における対地静電容量が大きい場合,誤動作を防止するために地絡方向継電装置を使用することが望ましいです。