《法規》〈電気設備技術基準〉[R3:問8]住宅及び住宅以外の場所の屋内電路の対地電圧に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

「電気設備技術基準の解釈」に基づく住宅及び住宅以外の場所の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く。以下同じ)の対地電圧の制限に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 住宅の屋内電路の対地電圧を\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)以下とすること。

(2) 住宅と店舗,事務所,工場等が同一建造物内にある場合であって,当該住宅以外の場所に電気を供給するための屋内配線を人が触れるおそれがない隠ぺい場所に金属管工事により施設し,その対地電圧を\( \ 400 \ \mathrm {V} \ \)以下とすること。

(3) 住宅に設置する太陽電池モジュールに接続する負荷側の屋内配線を次により施設し,その対地電圧を直流\( \ 450 \ \mathrm {V} \ \)以下とすること。
 ・電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設する。
 ・ケーブル工事により施設し,電線に接触防護措置を施す。

(4) 住宅に常用電源として用いる蓄電池に接続する負荷側の屋内配線を次により施設し,その対地電圧を直流\( \ 450 \ \mathrm {V} \ \)以下とすること。
 ・直流電路に接続される個々の蓄電池の出力がそれぞれ\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)未満である。
 ・電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設する。
 ・人が触れるおそれのない隠ぺい場所に合成樹脂管工事により施設する。

(5) 住宅以外の場所の屋内に施設する家庭用電気機械器具に電気を供給する屋内電路の対地電圧を,家庭用電気機械器具並びにこれに電気を供給する屋内配線及びこれに施設する配線器具に簡易接触防護措置を施す場合(取扱者以外の者が立ち入らない場所を除く。),\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下とすること。

【ワンポイント解説】

電気設備の技術基準の解釈第143条からの出題です。
本条文の数値を全て把握することは勉強方法として現実的ではありません。電圧の基準が\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \),\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \),\( \ 450 \ \mathrm {V} \ \),\( \ 600 \ \mathrm {V} \ \)といった規定が多いこと等から正答を導き出せれば十分かと思います。

【解答】

解答:(2)
(1)正しい
電気設備の技術基準の解釈第143条第1項の通り,住宅の屋内電路の対地電圧は\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)以下とすることが規定されています。

(2)誤り
電気設備の技術基準の解釈第143条第1項第2号の通り,住宅と店舗,事務所,工場等が同一建造物内にある場合であって,当該住宅以外の場所に電気を供給するための屋内配線を人が触れるおそれがない隠ぺい場所に金属管工事により施設することは問題ありませんが,その対地電圧は\( \ \color{red}{\underline {300 \ \mathrm {V}}} \ \)以下とする必要があります。

(3)正しい
電気設備の技術基準の解釈第143条第1項第3号の通り,住宅に設置する太陽電池モジュールに接続する負荷側の屋内配線を,
 ・電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設する。
 ・ケーブル工事により施設し,電線に接触防護措置を施す。
により施設し,その対地電圧を直流\( \ 450 \ \mathrm {V} \ \)以下とすることが規定されています。

(4)正しい
電気設備の技術基準の解釈第143条第1項第4号の通り,住宅に常用電源として用いる蓄電池に接続する負荷側の屋内配線を,
 ・直流電路に接続される個々の蓄電池の出力がそれぞれ\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)未満である。
 ・電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設する。
 ・人が触れるおそれのない隠ぺい場所に合成樹脂管工事により施設する。
により施設し,その対地電圧を直流\( \ 450 \ \mathrm {V} \ \)以下とすることが規定されています。

(5)正しい
電気設備の技術基準の解釈第143条第2項の通り,住宅以外の場所の屋内に施設する家庭用電気機械器具に電気を供給する屋内電路の対地電圧を,家庭用電気機械器具並びにこれに電気を供給する屋内配線及びこれに施設する配線器具に簡易接触防護措置を施す場合(取扱者以外の者が立ち入らない場所を除く。),\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下とすることが規定されています。

<電気設備の技術基準の解釈第143条(抜粋)>
(1)住宅の屋内電路(電気機械器具内の電路を除く。以下この項において同じ。)の対地電圧は、\( \ \color{blue}{\underline {150 \ \mathrm {V}}} \ \)以下であること。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

一 定格消費電力が\( \ 2 \ \mathrm {kW} \ \)以上の電気機械器具及びこれに電気を供給する屋内配線を次により施設する場合

 イ 屋内配線は、当該電気機械器具のみに電気を供給するものであること。

 ロ 電気機械器具の使用電圧及びこれに電気を供給する屋内配線の対地電圧は、\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。

 ハ 屋内配線には、簡易接触防護措置を施すこと。

 ニ 電気機械器具には、簡易接触防護措置を施すこと。ただし、次のいずれかに該当する場合は、この限りでない。

 (イ) 電気機械器具のうち簡易接触防護措置を施さない部分が、絶縁性のある材料で堅ろうに作られたものである場合

 (ロ) 電気機械器具を、乾燥した木製の床その他これに類する絶縁性のものの上でのみ取り扱うように施設する場合

 ホ 電気機械器具は、屋内配線と直接接続して施設すること。

 ヘ 電気機械器具に電気を供給する電路には、専用の開閉器及び過電流遮断器を施設すること。ただし、過電流遮断器が開閉機能を有するものである場合は、過電流遮断器のみとすることができる。

 ト 電気機械器具に電気を供給する電路には、電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次に適合する場合は、この限りでない。

 (イ) 電気機械器具に電気を供給する電路の電源側に、次に適合する変圧器を施設すること。

  (1) 絶縁変圧器であること。

  (2) 定格容量は\( \ 3 \ \mathrm {kV\cdot A} \ \)以下であること。

  (3) \( \ 1 \ \)次電圧は低圧であり、かつ、\( \ 2 \ \)次電圧は\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。

 (ロ) (イ)の規定により施設する変圧器には、簡易接触防護措置を施すこと。

 (ハ) (イ)の規定により施設する変圧器の負荷側の電路は、非接地であること。

(2)二 当該住宅以外の場所に電気を供給するための屋内配線を次により施設する場合

 イ 屋内配線の対地電圧は、\( \ \color{red}{\underline {300 \ \mathrm {V}}} \ \)以下であること。

 ロ 人が触れるおそれがない隠ぺい場所に合成樹脂管工事、金属管工事又はケーブル工事により施設すること。

(3)三 太陽電池モジュールに接続する負荷側の屋内配線(複数の太陽電池モジュールを施設する場合にあっては、その集合体に接続する負荷側の配線)を次により施設する場合

 イ 屋内配線の対地電圧は、直流\( \ \color{blue}{\underline {450 \ \mathrm {V}}} \ \)以下であること。

 ロ 電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次に適合する場合は、この限りでない。

 (イ) 直流電路が、非接地であること。

 (ロ) 直流電路に接続する逆変換装置の交流側に絶縁変圧器を施設すること。

 (ハ) 太陽電池モジュールの合計出力が、\( \ 20 \ \mathrm {kW} \ \)未満であること。ただし、屋内電路の対地電圧が\( \ 300 \ \mathrm {V} \ \)を超える場合にあっては、太陽電池モジュールの合計出力は\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)以下とし、かつ、直流電路に機械器具(太陽電池モジュール、第200条第2項第一号ロ及びハの器具、直流変換装置、逆変換装置並びに避雷器を除く。)を施設しないこと。

 ハ 屋内配線は、次のいずれかによること。

 (イ) 人が触れるおそれのない隠ぺい場所に、合成樹脂管工事、金属管工事又はケーブル工事により施設すること。

 (3)(ロ) ケーブル工事により施設し、電線に接触防護措置を施すこと。

四 燃料電池発電設備又は(4)常用電源として用いる蓄電池に接続する負荷側の屋内配線を次により施設する場合

 イ 直流電路を構成する燃料電池発電設備にあっては、当該直流電路に接続される個々の燃料電池発電設備の出力がそれぞれ\( \ \color{blue}{\underline {10 \ \mathrm {kW}}} \ \)未満であること。

 ロ 直流電路を構成する蓄電池にあっては、当該直流電路に接続される個々の蓄電池の出力がそれぞれ\( \ 10 \ \mathrm {kW} \ \)未満であること。

 ハ 屋内配線の対地電圧は、直流\( \ \color{blue}{\underline {450 \ \mathrm {V}}} \ \)以下であること。

 ニ 電路に地絡が生じたときに自動的に電路を遮断する装置を施設すること。ただし、次に適合する場合は、この限りでない。

 (イ) 直流電路が、非接地であること。

 (ロ) 直流電路に接続する逆変換装置の交流側に絶縁変圧器を施設すること。

 ホ 屋内配線は、次のいずれかによること。

 (イ) 人が触れるおそれのない隠ぺい場所に、合成樹脂管工事、金属管工事又はケーブル工事により施設すること。

 (ロ) ケーブル工事により施設し、電線に接触防護措置を施すこと。

2 (5)住宅以外の場所の屋内に施設する家庭用電気機械器具に電気を供給する屋内電路の対地電圧は、\( \ 150 \ \mathrm {V} \ \)以下であること。ただし、家庭用電気機械器具並びにこれに電気を供給する屋内配線及びこれに施設する配線器具を、次の各号のいずれかにより施設する場合は、\( \ \color{blue}{\underline {300 \ \mathrm {V}}} \ \)以下とすることができる。

一 前項第1号ロからホまでの規定に準じて施設すること。

二 簡易接触防護措置を施すこと。ただし、取扱者以外の者が立ち入らない場所にあっては、この限りでない。