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【問題】
【難易度】★☆☆☆☆(易しい)
図に示すように,誘電率\( \ \varepsilon _{0} \ \mathrm {[F/m]} \ \)の真空中に置かれた二つの静止導体球\( \ \mathrm {A} \ \)及び\( \ \mathrm {B} \ \)がある。電気量はそれぞれ\( \ Q_{\mathrm {A}} \ \mathrm {[C]} \ \)及び\( \ Q_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[C]} \ \)とし,図中にその周囲の電気力線が描かれている。
電気量\( \ Q_{\mathrm {A}}=16\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)であるとき,電気量\( \ Q_{\mathrm {B}} \ \mathrm {[C]} \ \)の値として,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) \( \ 16\varepsilon _{0} \ \) (2) \( \ 8\varepsilon _{0} \ \) (3) \(-4\varepsilon _{0} \ \) (4) \(-8\varepsilon _{0} \ \) (5) \( -16\varepsilon _{0} \ \)
【ワンポイント解説】
電気力線の特徴に関する問題です。
朝緊張している受験生を少し惑わす問題かもしれませんが,電気力線の特徴を理解し落ち着いて考えれば解ける問題かと思います。
最も近い年度では令和2年問2にも考え方が似ている問題が出題されていますので,合わせて勉強しておくようにしましょう。
1.電気力線の特徴
電気力線は正電荷から負電荷に向かう仮想の線で,以下のような特徴があります。言葉ではなく図で覚えておいて,内容を理解した方が良いと思います。
①電気力線の本数は電荷\( \ Q \ \mathrm {[C]} \ \),誘電率\( \ \varepsilon \ \mathrm {[F/m]} \ \)を用いると,\( \ \displaystyle \frac {Q}{\varepsilon } \ \)本である。
②電気力線は正電荷から垂直に出て,負電荷に垂直に入る。
③電気力線同士は反発し合う。
④電気力線は枝分かれしたり,交差したりしない。
⑤電気力線の向きは電界の向きと一致し,電気力線の密度は電界の大きさに比例する。
【解答】
解答:(4)
問題図より電気力線は導体球\( \ \mathrm {A} \ \)から出ており,導体球\( \ \mathrm {B} \ \)に一部が入っているため,ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,\( \ Q_{\mathrm {B}} <0 \ \)となる。
また,ワンポイント解説「1.電気力線の特徴」の通り,電気力線の本数は導体球の電気量に比例する。よって,電気量\( \ Q_{\mathrm {A}}=16\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)の導体球\( \ \mathrm {A} \ \)から出ている電気力線の本数が\( \ 16 \ \)本であり,導体球\( \ \mathrm {B} \ \)に入る電気力線の本数が\( \ 8 \ \)本であるため,導体球\( \ \mathrm {B} \ \)の電気量は導体球\( \ \mathrm {A} \ \)の半分となる。
以上から,\( \ Q_{\mathrm {B}}=-8\varepsilon _{0} \ \mathrm {[C]} \ \)と求められる。