《電力》〈送電〉[R08:問6]架空送電線の電線配列及び絶縁間隔に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,架空送電線の電線配列及び絶縁間隔に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

電線の配列については,支持物の構造や回線数及び経過地の気象条件などを考慮して経済的な配列が決められる。配列方法としては以下の\( \ 3 \ \)種がある。

\( \ \mathrm {a)} \ \)三角配列
主に\( \ 1 \ \)回線の送電線路に用いられ,比較的電圧の低い送電線に多い。

\( \ \mathrm {b)} \ \)水平配列
電線に付着した氷雪が脱落することにより電線がはね上がり接触する\( \ \fbox {  (1)  } \ \)のおそれがある着氷雪の多い地方や,長径間箇所などに適している。

\( \ \mathrm {c)} \ \)垂直配列
\( \ 2 \ \)回線以上の鉄塔に多く用いられ,日本では最もこの配列が多い。垂直配列で同じ縦列にある上,中,下各電線の水平間隔を\( \ \fbox {  (2)  } \ \)といい,風が強く電線の吹き上げられる箇所で垂直配列とする場合には電線の混触を防ぐために\( \ \fbox {  (2)  } \ \)を大きくとったり,電線に\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を取り付けたりする。\( \ 500 \ \mathrm {kV} \ \),\( \ 275 \ \mathrm {kV} \ \)送電線では,通信線や線下の通行人に対し静電誘導障害を防止するために\( \ \fbox {  (4)  } \ \)とする場合が多い。

電線はがいし取付箇所で絶縁されている他は,周囲の空気によって他物と絶縁されているので,電線の対地絶縁間隔はがいしの絶縁強度以下とならないようにする必要がある。絶縁間隔には,標準絶縁間隔,最小絶縁間隔,\( \ \fbox {  (5)  } \ \)と腕金との間隔,異常時絶縁間隔の\( \ 4 \ \)種があり,このうち,標準絶縁間隔は\( \ \fbox {  (6)  } \ \)の有無により値が異なる。一般に,\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)以上の送電線では,がいし装置に\( \ \fbox {  (6)  } \ \)を取り付ける。また,最小絶縁間隔は\( \ \fbox {  (7)  } \ \)に対して十分な絶縁間隔で,台風などでがいし連が振れたときに保持すべきものとしている。

〔問6の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 架空地線     &(ロ)& フラッシオーバ電圧 \\[ 5pt ] &(ハ)& ギャロッピング     &(ニ)& 逆相配置 \\[ 5pt ] &(ホ)& 引留クランプ     &(ヘ)& アレスタ \\[ 5pt ] &(ト)& クリアランスダイアグラム         &(チ)& 地絡電圧 \\[ 5pt ] &(リ)& オフセット     &(ヌ)& 相間スペーサ \\[ 5pt ] &(ル)& 直線スリーブ     &(ヲ)& 内部異常電圧 \\[ 5pt ] &(ワ)& ジャンパ線     &(カ)& 併架線路 \\[ 5pt ] &(ヨ)& スリートジャンプ     &(タ)& 協調間隔 \\[ 5pt ] &(レ)& アークホーン     &(ソ)& コロナ振動 \\[ 5pt ] &(ツ)& アーマロッド     &(ネ)& 懸垂クランプ \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

架空送電線の設計に関わる電線配列と絶縁間隔に関する問題です。
内容自体は少し専門性が強いですが,語群から選択肢を絞れば文脈や電験での重要知識からある程度正答できそうな問題かと思います。
\( \ 1 \ \)種では今のところ出題は少ないですが,着氷雪等による電線の振動も電験では重要項目となりますので,説明できる程度に準備しておくようにして下さい。

1.架空送電線の電線配列
架空送電線路では,用地幅,回線数,気象条件(強風・氷雪など),建設コスト等を考慮して最適な電線配列が選定されます。代表的な配列方式は以下の\( \ 3 \ \)種類となります。

①三角配列
主に\( \ 1 \ \)回線の送電線路や比較的電圧の低い送電線に採用されやすい配列方式です。各相の電線を三角形の頂点に配置するため,線間距離を均等に保ちやすく,各相におけるインピーダンスの不平衡が比較的小さいというメリットがあります。ただし,鉄塔の構造設計がやや複雑になりやすいです。

②水平配列
着氷雪の多い多雪地域や,長径間箇所,超高圧送電線路の門型鉄塔などに適した配列方式です。すべての電線が同一水平面上に横一列で並ぶため,スリートジャンプ等の電線の上下動に伴う混触の可能性が低いです。一方で,電線を横に並べる分鉄塔の全幅が広くなり,広大な用地幅が必要となるほか,鉄塔重量や建設コストが増大しやすいという点があります。

③垂直配列
\( \ 2 \ \)回線以上の多回線鉄塔に広く用いられ,日本で最も多く採用されている配列方式です。電線を上下に並べる構造上,鉄塔の横幅および敷地幅を狭く抑えることができ,同一鉄塔で\( \ 2 \ \)回線構成をコンパクトに集約できるメリットがあります。ただし,上・中・下の電線が同一縦列に並ぶため,氷雪脱落時の跳ね上がりによるスリートジャンプで電線同士が接触し,混触が発生するおそれがあります。そのため,腕金の長さを変えて水平方向にずらし間隔を設けるオフセットを設けたり,相間に一定間隔を保つ相間スペーサを取り付けたりする等の対策が取られます。また,各相から大地までの距離が異なるので,超高圧系統においては,通信線等に対する静電誘導障害を防止するために,\( \ 2 \ \)回線の相順を逆にする逆相配列とする場合が多いです。

2.架空送電線の絶縁間隔
架空送電線路では,電線が支持物のがいし取付箇所で絶縁されているだけでなく,周囲の空気によって大地や鉄塔と絶縁されています。そのため,がいしの絶縁強度を下回らないよう,想定される気象条件や系統の過電圧の種類に応じて,\( \ 4 \ \)種類の絶縁間隔が規定されています。

①標準絶縁間隔
落雷を想定したがいし連が直立しているときに確保すべき基本的な絶縁間隔です。雷サージ発生時,電線鉄塔間等でフラッシオーバしないよう,がいし連で確実にフラッシオーバを起こさせる設計とします。一般に\( \ 66 \ \mathrm {kV} \ \)以上の送電線ではがいし装置に放電ギャップであるアークホーンが取り付けられるので,アークホーン間でフラッシオーバを起こさせる設計とします。

②最小絶縁間隔
台風などの激しい強風下でがいし連が鉄塔側へ大きく傾いたときでも,系統内で生じる開閉サージ等の内部異常電圧に対してフラッシオーバを起こさないよう,保持しなければならない絶縁間隔です。台風や強風時,がいし連が風圧によって設計上の最大傾斜角まで大きく振れた状態での間隔を指します。

③ジャンパ線と腕金との間隔
がいし連で引き留めた電線を次径間へ接続・中継するたるみを持った電線をジャンパ線といいますが,ジャンパ線は風の影響を受けて揺れやすいため,風圧で腕金骨材に最接近した状態であっても,内部異常電圧に耐えうる所定の絶縁間隔を維持するよう設計されます。

④異常時絶縁間隔
台風の設計基準風速を一時的に超えるような局所的突風,あるいはがいしの一部破損といった異常事態が生じた場合でも,平常の常規対地電圧に対して地絡事故に至らず送電を維持できる限度の絶縁間隔です。

【解答】

(1)解答:ヨ
題意より解答候補は,(ハ)ギャロッピング,(ヨ)スリートジャンプ,(ソ)コロナ振動,等になると思います。
ワンポイント解説「1.架空送電線の電線配列」の通り,水平配列は電線に付着した氷雪が脱落することにより電線がはね上がり接触するスリートジャンプのおそれがある着氷雪の多い地方に採用される配列です。

(2)解答:リ
題意より解答候補は,(ト)クリアランスダイアグラム,(リ)オフセット,等になると思います。
ワンポイント解説「1.架空送電線の電線配列」の通り,垂直配列で同じ縦列にある上,中,下各電線の水平間隔をオフセットといい,風が強く電線の吹き上げられる箇所で垂直配列とする場合には電線の混触を防ぐためにオフセットを大きくとることがあります。

(3)解答:ヌ
題意より解答候補は,(ホ)引留クランプ,(ヘ)アレスタ,(ヌ)相間スペーサ,(ル)直線スリーブ,(ワ)ジャンパ線,(レ)アークホーン,(ツ)アーマロッド,(ネ)懸垂クランプ,等になると思います。
ワンポイント解説「1.架空送電線の電線配列」の通り,垂直配列とする場合に電線の混触を防止するために設けられるのは相間スペーサとなります。

(4)解答:ニ
題意より解答候補は,(ニ)逆相配置,(カ)併架線路,(タ)協調間隔,等になると思います。
ワンポイント解説「1.架空送電線の電線配列」の通り,\( \ 500 \ \mathrm {kV} \ \),\( \ 275 \ \mathrm {kV} \ \)送電線においては静電誘導障害を防止するため逆相配置とする場合が多いです。

(5)解答:ワ
題意より解答候補は,(ホ)引留クランプ,(ヘ)アレスタ,(ヌ)相間スペーサ,(ル)直線スリーブ,(ワ)ジャンパ線,(レ)アークホーン,(ツ)アーマロッド,(ネ)懸垂クランプ,等になると思います。
ワンポイント解説「2.架空送電線の絶縁間隔」の通り,絶縁間隔としてあるのはジャンパ線と腕金との間隔となります。

(6)解答:レ
題意より解答候補は,(ホ)引留クランプ,(ヘ)アレスタ,(ヌ)相間スペーサ,(ル)直線スリーブ,(ワ)ジャンパ線,(レ)アークホーン,(ツ)アーマロッド,(ネ)懸垂クランプ,等になると思います。
ワンポイント解説「2.架空送電線の絶縁間隔」の通り,落雷を想定した標準絶縁間隔はアークホーンの有無により値が異なります。

(7)解答:ヲ
題意より解答候補は,(ロ)フラッシオーバ電圧,(チ)地絡電圧,(ヲ)内部異常電圧,になると思います。
ワンポイント解説「2.架空送電線の絶縁間隔」の通り,最小絶縁間隔は内部異常電圧に対して十分な絶縁間隔で,台風などでがいし連が振れたときに保持すべきものとなります。



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