《電力》〈配電〉[H29:問4]地中配電線路のケーブル布設方法に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,地中配電線路のケーブル布設方法に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

地中配電線路のケーブルの布設方法には,一般に直接埋設式,管路式及び\( \ \fbox {  (1)  } \ \)式がある。直接埋設式は埋設条数の少ない本線部分や引込線部分で用いられ,土中に\( \ \fbox {  (2)  } \ \)を並べケーブルを引き入れてから埋設する方式で,ケーブル取り替えの場合には再掘削が必要となる。管路式は,交通量や舗装などの関係から再掘削が困難な場所に求められる方式で,地中箱などの間を複数条のパイプで結んだものであり,ケーブルの引入れ,引抜き,接続などのケーブル工事に伴う再掘削は不要である。\( \ \fbox {  (1)  } \ \)式はあらかじめトンネル状の構造物を作っておき,その側壁に設けた受棚上にケーブルを布設する方式である。特に幹線道路やビル街などでは道路の反復掘削防止や地下空間の有効利用などを目的に,電力,通信,ガス,水道,下水などを一括して収納する\( \ \fbox {  (3)  } \ \)が用いられる。このうち配電線等のように需要家供給を目的とした設備だけ収容するものは供給管\( \ \fbox {  (3)  } \ \)と呼ばれ,主として\( \ \fbox {  (4)  } \ \)部分に設けられる。
一方,地中設備の建設費用は架空設備と比べて格段に高額なものになることから,現在ではより経済的で施工しやすい施設方式が広く採用されている。例えば,\( \ \fbox {  (5)  } \ \)は\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の一種であり,主として\( \ \fbox {  (4)  } \ \)の下にふた掛け式の大形U字構造物を設置してこの中に電力・通信・その他ケーブルを布設する方式である。ケーブルの工事や維持補修はふたの開閉によって行われ,そのために必要な最小限の作業スペースが確保されている。

〔問4の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 共同溝   &(ロ)& 暗きょ   &(ハ)& 歩道 \\[ 5pt ] &(ニ)& オーガ   &(ホ)& 車道   &(ヘ)& 需要家敷地 \\[ 5pt ] &(ト)& マンホール   &(チ)& 沈埋洞道   &(リ)& 防護物 \\[ 5pt ] &(ヌ)& プレハブ多孔管        &(ル)& ハンドホール       &(ヲ)& 添架管路 \\[ 5pt ] &(ワ)& ピット   &(カ)& 沈埋   &(ヨ)& \mathrm{ CAB(Cable Box)}
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

地中送電の場合には,ケーブルに関する問題が最も多く出題されますが,本問は埋設方法の比較の問題です。(3)と(5)は非常に迷う問題です。直接埋設式,管路式,暗きょ式のメリットデメリットを押さえておきましょう。

1.地中ケーブルの布設方法
①直接埋設式・・・線路を直接埋設する方式
 メリット :工期が短く,工事費も安価。熱拡散が多い。
 デメリット:増設が困難。外部事故が多い。保守点検が困難。事故復旧に掘削が必要。
②管路式・・・十数条のケーブルダクトをあらかじめ作っておき,マンホールから引き
       入れて布設する方式
 メリット :増設が簡単。外部事故が少ない。保守点検が容易。事故復旧も容易。
       (直接埋設式と逆)
 デメリット:直接埋設式に比べ、工事費用が高い。熱拡散が悪い。
③暗きょ式・・・地下に暗きょを作り,そこへケーブルを布設する。
 メリット :熱拡散が多い。増設が簡単。外部事故が少ない。保守点検が容易。
       事故復旧が容易。
 デメリット:工期が長く,工事費も最も高くなる。したがって,条数が少ない
       時は採用不可。

【用語の解説】

(イ)共同溝
電気配線だけでなく,電話線,ガス,水道,下水道まで共同で地下に設置する方法。
(ロ)暗きょ
ワンポイント解説「1.地中ケーブルの布設方法」の通りです。
(ニ)オーガ
工事の重機にオーガというものがあります。掘削するものです。
(チ)沈埋洞道,(カ)沈埋
海底トンネルを建設する方法のようです。
(ヌ)プレハブ多孔管
プレハブで作った多孔管で,(1)の誤答の選択肢と思われます。
(ル)ハンドホール 
マンホールは人が入れるぐらいの穴ですが,ハンドホールは腕が入るぐらいの小さい大きさの穴を言います。
(ヲ)添架管路
ケーブルラック上や橋などに添架して布設する管路です。
(ワ)ピット
穴や窪地を意味します。
(ヨ)\(\mathrm{ CAB(Cable Box)}\)
問題文の通りです。主として歩道の下にふた掛け式の大形U字構造物を設置してこの中に電力・通信・その他ケーブルを布設する方式。

【解答】

(1)解答:ロ
(ロ)暗きょが正答となります。

(2)解答:リ
直接埋設式は主にコンクリートを使用した防護物を並べケーブルを引き入れます。

(3)解答:イ
様々なユーティリティを共同に設置する暗きょを共同溝と言います。

(4)解答:ハ
題意より解答候補は(ハ)歩道,(ホ)車道(ヘ)需要家敷地になると思います。車道では上に車が走るので,外部事故が増えてしまいます。また需要家敷地では所有者の許可が必要です。

(5)解答:ヨ
暗きょには,洞道,共同溝,\( \ \mathrm{CAB} \ \)などがありますが,問題文でケーブルを指定しているので\( \ \mathrm{CAB} \ \)が最も適当となります。



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