《電力・管理》〈変電〉[H21:問2]地下変電所の設計において考慮すべき事項に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

地下変電所の設計に当たり,次の\( \ 2 \ \)点について,考慮すべき事項を説明せよ。

(1) 機器配置

(2) 変圧器と電力ケーブルの防火対策

【ワンポイント解説】

地下変電所の設計において考慮すべき事項に関する問題です。
地下変電所は掘削等の工事を含むことから,広大な安い土地があれば,地上に設置するよりも費用がかかります。それでも地下にする理由を考えるとゴールが見えてくるかと思います。

1.地下変電所の設計時の注意点
地下変電所は大都市のビルの地下等に設置する変電所で,立地上の観点から,よりコンパクトで安全性能が高い設計が求められます。具体的には以下の方法が取られます。
・安全性が高く,省スペースとなるガス絶縁変圧器やガス絶縁開閉装置\( \ \left( \mathrm {GIS} \right) \ \)を採用する
・複数のユニットに分け,ユニット毎に電気的・機械的に絶縁し,事故発生時に災害の極小化を図る
・変圧器や\( \ \mathrm {GIS} \ \)等の重要機器は,地盤面が直接重量を受けることができる最下層に配置する
・機器の高さが同じ程度のものを同一階に配置する等できるだけデットスペースを少なくする
・難燃性の電力ケーブルを採用する,回線毎に不燃材で区画された洞道やピットを布設する
・浸水対策を実施する 等


出典:電気工学ハンドブック(第7版) 一般社団法人電気学会 オーム社 P.1484

【解答】

(1)機器配置
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.地下変電所の設計時の注意点」の通りです。
・模範解答には記載がありませんが,搬入搬出やメンテナンスのスペース等を記載しても加点されるかと思います。

(試験センター解答)
地下変電所は電力需要密度や建設コストが高い都市部に建設されるため,一般の変電所に比べ,高信頼度かつ変電所スペースの縮小化を考慮した機器配置が必要である。

①信頼度
 事故が発生した場合は局限化することを基本に,電気的,機械的に隔離区分した機器配置(ユニット化)にすることが多い。

②変電所スペースの縮小化:
 変電所スペースの縮小化は,一般ビル地下での設置など立地面から必要である。
 具体的には
 ・ガス絶縁機器\( \ \left( \mathrm {GIS} \right) \ \)やガス変圧器などの縮小形機器を採用する。
 ・機器高さの近い機器を同一階に配置する。
 ・主要変圧器などの重量機器は,最下層に配置する。
 ・地上構造物により地下階の構造に制約がある場合があり,運転保守性,最終形態を考え,デッドスペースの少ない機器配置とする。

(2)変圧器と電力ケーブルの防火対策
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.地下変電所の設計時の注意点」の通りです。
・屋外変電所では油入変圧器及び架空送電線を使用している場合が多いので,その辺りの比較を記載していると良いかと思います。

(試験センター解答)
①変圧器:
 系統の短絡・地絡電流に耐える防火性能を有する変圧器仕様とする。短絡・地絡電流が大きい超高圧などの系統に,油入変圧器を適用する場合は,高信頼度の保護・制御装置とすると共に,変圧器内部事故時のタンク内圧上昇でタンク破壊に至らないような対策が必要である。
 ・圧力上昇を低減するため,避圧空間をコンサベータ部に確保
 ・上部・下部タンク接続フランジ部を補強し,タンク強度を向上。
また,変圧器室は,耐火構造の壁や床で区画し,自動消火設備を備え,絶縁油が噴出した場合の処理のための集油槽を設ける。
従来の絶縁油に代わり,\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)ガスにて絶縁し,不燃化を図るガス絶縁変圧器の適用も有効である。

②電力ケーブル:
電力ケーブルは回線ごとに区画された洞道やピットに布設し,防火区画の貫通部はすべて不燃材で埋める。



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