《法規》〈電気施設管理〉[H26:問5] 電力系統の中性点接地方式に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,電力系統の中性点接地方式に関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

a.中性点が接地されていない非接地方式は,対地静電容量を無視すると,一線地絡時の健全相対地電圧が\(\fbox {  (1)  }\)倍に上昇し,機器の絶縁を脅かしたり,故障検出が確実でないなどの欠点がある。

b.一線地絡時の健全相対地電圧の上昇が\(\fbox {  (2)  }\)倍以下になる接地方式を有効接地というが,中性点を導体で接地する直接接地方式がこれに当たる。しかしながら,他の接地方式より\(\fbox {  (3)  }\)が低下するため,地絡故障継続時間を極力短くする必要がある。

c.中性点を抵抗で接地する抵抗接地方式は,非接地方式と直接接地方式の中間に位置付けられ,我が国では,\( \ 22 \ \mathrm {kV} \ \)から\(\fbox {  (4)  } \ \mathrm {kV} \ \)の電力系統に適用されている。

d.消弧リアクトル接地方式は,中性点をリアクトルで接地し,そのインダクタンスと送電線の対地静電容量を並列共振させることにより,\(\fbox {  (5)  }\)インピーダンスを無限大にして,一線地絡時の故障点アークを自然消弧させるものである。実際には,地絡電流を\(\fbox {  (6)  }\)にするために過補償にし,アーク消弧後の電圧回復を緩やかにしている。

e.電路の所要絶縁性能は,中性点接地方式により異なる。「電気設備技術基準の解釈」で規定している絶縁耐力試験電圧は,高圧の電路では,最大使用電圧の\( \ 1.5 \ \)倍であり,直接接地の発変電所の電路では,整流器に接続される以外は,最大使用電圧の\(\fbox {  (7)  }\)倍である。

〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 1.2   &(ロ)& 過渡安定度   &(ハ)& 定態安定度 \\[ 5pt ] &(ニ)& 零 相   &(ホ)& \sqrt {2}   &(ヘ)& 1.3 \\[ 5pt ] &(ト)& 0.64   &(チ)& 187   &(リ)& 誘導性 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 容量性   &(ル)& 0.92   &(ヲ)& 逆 相 \\[ 5pt ] &(ワ)& 0.72   &(カ)& 共振性   &(ヨ)& 動態安定度 \\[ 5pt ] &(タ)& 2   &(レ)& \sqrt {3}   &(ソ)& 154 \\[ 5pt ] &(ツ)& 275   &(ネ)& 正 相 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

中性点接地方式に関する内容と電気設備技術基準の解釈からの出題を合わせたような問題となっています。中性点接地方式は四種類の特徴と使用される電圧階級は電力科目や二次試験を含め非常によく出題されますので,よく理解するようにして下さい。

1.中性点接地方式の種類と特徴
各中性点接地方式の特徴は下表の通りです。高電圧では線路や機器絶縁にコストがかかるので直接接地を採用し,合わせて高速遮断や高速再閉路が採用されている,低電圧では中性点接地を不要とした\(\Delta -\Delta \)結線を採用できるようにした等,丸暗記ではなくなぜそうするのかも理解しておくと良いと思います。
\[
\begin{array}{|c|c|c|c|c|}
\hline
& 非接地 & 抵抗接地 & 消弧リアクトル接地 & 直接接地 \\
\hline
地絡電流 & 小 & 中 & 最小 & 最大 \\
\hline
健全相電圧上昇 & 大 & 中 & 大 & 小 \\
\hline
リレー検出 & 難 & 容易 & 難 & 確実 \\
\hline
コスト & 少 & 中 & 大 & 少 \\
\hline
電圧階級 & ~33 \ \mathrm {kV} & 22~154 \ \mathrm {kV} & 66~77 \ \mathrm {kV} & 187 \ \mathrm {kV}~ \\
\hline
\end{array}
\]

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  中性点接地方式の種類と特徴

【解答】

(1)解答:レ
非接地方式は一相が地絡すると,他の相が線間電圧まで上昇するので,健全相対地電圧が\(\sqrt {3}\)倍となります。

(2)解答:ヘ
一線地絡時の健全相対地電圧が\(1.3\)倍以下になる接地方式を有効接地と言います。

(3)解答:ロ
直接接地は健全相対地電圧がほとんど上昇しませんが,地絡電流が最も大きく過渡安定度が低下するので,高速遮断や高速再閉路を合わせて採用します。

(4)解答:ソ
ワンポイント解説「1.中性点接地方式の種類と特徴」の通り,抵抗接地方式は,\(22~154 \ \mathrm {kV}\)の電力系統で採用されています。

(5)解答:ニ
一線地絡時の抵抗を大きくすることになるので,零相インピーダンスとなります。

(6)解答:リ
\(LC\)回路が容量性になると,地絡時の健全相電圧上昇が大きくなるので,常に誘導性となるように過補償とします。

(7)解答:ト
電気設備技術基準の解釈第15条15-1表の通り,直接接地の発変電所の電路では,整流器に接続される以外の試験電圧は「\(0.64\)倍」となります。個人的にはこれを暗記させる必要は果たしてあるものかと思いますが。

<電気設備技術基準の解釈第15条(抜粋)>
高圧又は特別高圧の電路(第13条各号に掲げる部分、次条に規定するもの及び直流電車線を除く。)は、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。

一 15-1表に規定する試験電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。

二 電線にケーブルを使用する交流の電路においては、15-1表に規定する試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間(多心ケーブルにあっては、心線相互間及び心線と大地との間)に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。



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