《機械》〈電動機応用〉[H29:問3] リニアモータに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,リニアモータに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

リニアモータとは,可動体に直線的な運動をさせる力を与える駆動装置で,回転形モータを半径方向に切り開いて展開したものとみなすことができる。近年は工場内輸送装置,鉄道の駆動システムなどの移動体のドライブに実用化されている。
リニア誘導モータ(\( \ \mathrm {LIM} \ \))は,一次側は\( \ \fbox {  (1)  } \ \)に電機子巻線が施され,二次側は磁路を形成するための鉄心の上にアルミニウム,銅等の非磁性導体板をかぶせた構造で,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)プレートと呼ばれている。その動作原理は,一次側巻線の三相交流電流が作る移動磁界に対して二次導体に磁束の変化を妨げる向きに\( \ \fbox {  (3)  } \ \)を生じ,これと移動磁界との相互作用によって推力が発生することにある。電機子は有限長であることから電機子の端部において,端効果と呼ばれる\( \ \fbox {  (4)  } \ \)分布の不均一が生じ,高速になるほど推力特性が低下する。
一方,リニア同期モータ(\( \ \mathrm {LSM} \ \))は,一次側巻線の三相交流電流が作る移動磁界の速度に同期して\( \ \fbox {  (5)  } \ \)のある可動体側が同期速度で移動する。\( \ \mathrm {LSM} \ \)は三相交流周波数を上げて高速とした場合でも推力特性は良好である。
国内の鉄道では,\( \ \mathrm {LIM} \ \)は常電導磁気浮上式鉄道及び小断面地下鉄で,\( \ \mathrm {LSM} \ \)は超電導磁気浮上式鉄道に適用されている。

〔問3の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& ホール素子     &(ロ)& 内鉄形鉄心     &(ハ)& 整流子 \\[ 5pt ] &(ニ)& 界磁磁極     &(ホ)& 塊状鉄心     &(ヘ)& 励磁電流 \\[ 5pt ] &(ト)& 渦電流     &(チ)& リアクション     &(リ)& 磁束 \\[ 5pt ] &(ヌ)& 積層鉄心     &(ル)& プランジャ     &(ヲ)& 速度 \\[ 5pt ] &(ワ)& 周波数     &(カ)& 共振     &(ヨ)& 電機子反作用
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

リニアモータは回転機を開いたようなもので,原理は誘導電動機と同じです。電機子が有限長であることから,端効果が特有の特性となります。都営大江戸線をはじめ,主要都市ですでに実用化されています。

【用語の解説】

(イ)ホール素子 
ホール効果の特徴を利用して磁界を検出する素子。
(ロ)内鉄形鉄心
変圧器の種類で,鉄心が巻線の内側になっているもの言います。外鉄形鉄心というのもあります。
(ハ)整流子
発電機や電動機の回転子と外部回路を繋げる部分にあるもの。
(ニ)界磁磁極
界磁電流が作る磁界の極です。
(ト)渦電流
電動機を回転させるために重要なファクターとなるものです。
(ル)プランジャ
ピストンのようなもので,火力発電所の薬注ポンプ等で使用されます。
(ヨ)電機子反作用
電機子電流による起磁力により磁束の分布が偏る現象。

【解答】

(1)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ロ)内鉄形鉄心,(ホ)塊状鉄心,(ヌ)積層鉄心,となりますが,リニアモータでも電動機と同じように積層鉄心を用います。

(2)解答:チ
二次側はリアクションプレートと呼ばれます。

(3)解答:ト
動作原理は誘導電動機と同様,渦電流が関与しています。

(4)解答:リ
電動機では電機子反作用が発生しますが,リニアモータでは,一次側の長さが有限長であるため,端部の磁束が不均一になります。

(5)解答:ニ
リニアモータでは移動磁界の速度に同期して界磁磁極のある可動体側が同期速度で移動します。この原理により,電車等が動くことになります。



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