《機械・制御》〈自動制御〉[R04:問4]フィードバック制御系の定常偏差に関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

図に示すフィードバック制御系について,次の問に答えよ。ただし, R(s) は目標値, Y(s) は制御量, E(s) は制御偏差, Z(s) は積分器の出力であり,時間信号 r(t)  y(t)  e(t)  z(t) をそれぞれラプラス変換したものである。また, K1  K2 は定数である。

(1) 目標値 R(s) から制御量 Y(s) までの伝達関数 TYR(s) を求めよ。

(2)  TYR(s) を二次遅れ要素の標準形で表したときの減衰係数を ζ=0.5 ,固有角周波数を ωn=10 rad/s とするための K1  K2 の値を求めよ。

(3) 目標値 R(s) から制御偏差 E(s) までの伝達関数 TER(s) を求めよ。このとき,小問(2)の K1  K2 を用いよ。

(4) 小問(3)の結果を用いて,目標値 R(s) を単位ランプ変化させたときの定常速度偏差 ev をラプラス変換の最終値の定理を適用して求めよ。

(5) 小問(3)の結果を用いて,目標値 R(s) を単位ランプ変化させたときの制御偏差の時間応答 e(t) を計算せよ。その上で, e() を求め,小問(4)で求めた ev と一致することを確かめよ。

【ワンポイント解説】

フィードバック制御系に関する問題です。
伝達関数を導出して,二次遅れ標準形と比較したり,最終値の定理を使用する等 1 種の自動制御の問題としては珍しいオーソドックスな問題でした。
ぜひ本問は完答を目指すようにしましょう。

1.基本的なラプラス変換
 f(t) のラプラス変換を F(s) とすると以下のような関係があります。
f(t)F(s)δ(t)1u(t)1sKKst1s2eat1sasinωtωs2+ω2  cosωt    ss2+ω2  

2.減衰係数 ζ と固有角周波数 ωn 
二次遅れの伝達関数 W(s) の一般式は,減衰係数 ζ ,固有角周波数 ωn とすると,
W(s)=ω2ns2+2ζωns+ω2n で表されます。

3.最終値の定理
 f(t) のラプラス変換を F(s) とすると, f(t) の定常値は,
limtf(t)=lims0sF(s) で求められます。

【解答】

(1)目標値 R(s) から制御量 Y(s) までの伝達関数 TYR(s) 
問題図における R(s)  Y(s)  E(s)  Z(s) の関係式は,
R(s)Y(s)=E(s)  K1sE(s)=Z(s)  {Z(s)K2Y(s)}1s+1=Y(s)   となり,    に代入すると,
   K1s{R(s)Y(s)}=Z(s)   となるので,    に代入して整理すると,
[K1s{R(s)Y(s)}K2Y(s)]1s+1=Y(s)K1s{R(s)Y(s)}K2Y(s)=(s+1)Y(s)K1{R(s)Y(s)}K2sY(s)=s(s+1)Y(s)K1R(s)=s2Y(s)+sY(s)+K1Y(s)+K2sY(s)K1R(s)={s2+(K2+1)s+K1}Y(s)Y(s)R(s)=K1s2+(K2+1)s+K1TYR(s)=K1s2+(K2+1)s+K1 と求められる。

(2)減衰係数を ζ=0.5 ,固有角周波数を ωn=10 rad/s とするための K1  K2 の値
(1)解答式を二次遅れ標準形と比較すると,ワンポイント解説「2.減衰係数 ζ と固有角周波数 ωn 」の通り,
2ζωn=K2+1=10K2=9ω2n=K1=100 と求められる。

(3)目標値 R(s) から制御偏差 E(s) までの伝達関数 TER(s) 
(1)解答式より,
Y(s)=K1s2+(K2+1)s+K1R(s) であるから,これを  に代入して整理すると,
R(s)K1s2+(K2+1)s+K1R(s)=E(s)s2+(K2+1)ss2+(K2+1)s+K1R(s)=E(s)E(s)R(s)=s2+(K2+1)ss2+(K2+1)s+K1TER(s)=s2+(K2+1)ss2+(K2+1)s+K1 となるので,これに K1=100  K2=9 を代入すれば,
TER(s)=s2+(9+1)ss2+(9+1)s+100=s2+10ss2+10s+100 と求められる。

(4)目標値 R(s) を単位ランプ変化させたときの定常速度偏差 ev 
(3)解答式より,
E(s)=s2+10ss2+10s+100R(s) であり,ワンポイント解説「1.基本的なラプラス変換」の通り,ランプ関数のラプラス変換は 1s2 であるから,
E(s)=s2+10ss2+10s+1001s2=s+10s3+10s2+100s    となる。これに最終値の定理を適用させ定常速度偏差 ev を求めると,ワンポイント解説「3.最終値の定理」の通り,
limte(t)=lims0sE(s)=lims0(ss+10s3+10s2+100s)=lims0(s+10s2+10s+100)=0.1 と求められる。

(5)目標値 R(s) を単位ランプ変化させたときの制御偏差の時間応答 e(t) 及び e() 
  について,部分分数分解をするため,
s+10s3+10s2+100s=As+Bs+cs2+10s+100 とおき,右辺を計算していくと,
As+Bs+Cs2+10s+100=A(s2+10s+100)+s(Bs+C)s3+10s2+100s=(A+B)s2+(10A+C)s+100As3+10s2+100s となるので,係数比較すれば,
A+B=010A+C=1100A=10 であるから, A=0.1  B=0.1  C=0 となる。よって,
E(s)=0.1s0.1ss2+10s+100=0.1s0.1s(s+5)2+75=0.1s0.1(s+5)0.5(s+5)2+75=0.1s0.1(s+5)(s+5)2+75+0.5(s+5)2+75=0.1s0.1(s+5)(s+5)2+(53)2+0.1353(s+5)2+(53)2=0.1{1ss+5(s+5)2+(53)2+1353(s+5)2+(53)2} となるから,逆ラプラス変換すると,ワンポイント解説「1.基本的なラプラス変換」の通り,
e(t)=0.1(1e5tcos53t+13e5tsin53t) と求められる。また,上式より e() は,
e()=limt{0.1(1e5tcos53t+13e5tsin53t)}=0.1×(10+0)=0.1 となり,(4)で求めた ev と一致する。



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