《理論》〈電磁気〉[H28:問1] 同心球コンデンサに関する計算問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,三つの導体からなる同心球コンデンサに関する記述である。文中の\(\fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$}\)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

図のように,半径\(a\),\(2a\),\(4a\)の三つの導体球面\(\mathrm {A}\),\(\mathrm {B}\),\(\mathrm {C}\)が同心となるように真空中に置かれている。その厚さは無視できる。導体\(\mathrm {B}\)及び\(\mathrm {C}\)には穴が開けられてそこから導線が引き出されていて,スイッチ\(\mathrm {S_{1}}\)を閉じると導体\(\mathrm {B}\)が接地され,スイッチ\(\mathrm {S_{2}}\)を閉じると導体\(\mathrm {A}\)及び\(\mathrm {C}\)が短絡されるようになっている。
ただし,穴は十分小さく,かつ導線及びスイッチは周りの空間と絶縁されており,その影響は無視できるものとする。また,真空中の誘電率は\(\varepsilon _{0}\)とする。
最初にスイッチ\(\mathrm {S_{1}}\)及び\(\mathrm {S_{2}}\)はともに開いており,導体\(\mathrm {A}\)には電荷\(Q\)が与えられている。このとき,無限遠を接地電位(零)としたときの導体\(\mathrm {A}\)の電位は\(\fbox {  (1)  }\)であり,静電容量は\(\fbox {  (2)  }\)である。また,導体\(\mathrm {A}\)より内側の空間における電界の大きさは\(\fbox {  (3)  }\)である。
次に,スイッチ\(\mathrm {S_{1}}\)を閉じて十分時間が経ったとき,導体\(\mathrm {A}\)の電位は\(\fbox {  (4)  }\)になる。
さらに,スイッチ\(\mathrm {S_{1}}\)を閉じたままスイッチ\(\mathrm {S_{2}}\)を閉じて十分時間が経ったとき,導体\(\mathrm {A}\)に存在する電荷は\(\fbox {  (5)  }\)である。

〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& \frac {Q}{16\pi \varepsilon _{0}a}   &(ロ)& \frac {1}{3}Q   &(ハ)& 4\pi \varepsilon _{0}a \\[ 5pt ] &(ニ)& 0   &(ホ)& \frac {3Q}{8\pi \varepsilon _{0}a}   &(ヘ)& \frac {1}{5}Q \\[ 5pt ] &(ト)& \frac {4}{3}\pi \varepsilon _{0}a   &(チ)& \frac {Q}{8\pi \varepsilon _{0}a}   &(リ)& \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}a} \\[ 5pt ] &(ヌ)& \frac {3Q}{4\pi \varepsilon _{0}a}   &(ル)& \frac {1}{4}Q   &(ヲ)& \frac {16}{3}\pi \varepsilon _{0}a \\[ 5pt ] &(ワ)& \frac {3Q}{4\pi \varepsilon _{0}a^{2}}   &(カ)& \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}a^{2}}   &(ヨ)& \frac {3Q}{16\pi \varepsilon _{0}a}
\end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

ガウスの定理と電位の式を用いる問題です。(1)~(4)は二種~三種レベルの問題となります。一種受験者であれば確実に解けるようにしておきたい問題です。

1.ガウスの定理
\(Q [ \mathrm {C} ] \)から出る電気力線は\(\displaystyle \frac {Q}{\varepsilon }\)本であり,電界\(E\)との関係は,任意の閉曲面において,
\[
\int _{S} \boldsymbol E d\boldsymbol S = \frac {Q}{\varepsilon }
\] となります。閉局面が球面であれば,
\[
\begin{eqnarray}
4\pi r^{2} E &=& \frac {Q}{\varepsilon } \\[ 5pt ] E &=& \frac {Q}{4\pi \varepsilon r^{2}}
\end{eqnarray}
\] となります。

2.空間上の電位差\(v(t)\)
電荷からの距離\(r\)に関する電界\(E_{r}\)が与えられている時,その場所の電位\(V\)は,
\[
V=-\int _{\infty }^{r}Edr
\] で求められます。

【解答】

(1)解答:リ
\(r>a\)における電界\(E\)は,ガウスの定理より,
\[
E = \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}
\] であるから,導体\(\mathrm {A}\)の電位\(V\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V &=& -\int _{\infty }^{a}E dr \\[ 5pt ] &=& -\int _{\infty }^{a} \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}dr \\[ 5pt ] &=& \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}}\left[ \frac {1}{r}\right] _{\infty }^{a}\\[ 5pt ] &=& \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}a}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(2)解答:ハ
(1)の解答式より静電容量\(C\)は
\[
\begin{eqnarray}
C &=& \frac {Q}{V_{A}} \\[ 5pt ] &=& 4\pi \varepsilon _{0}a
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(3)解答:ニ
導体\(\mathrm {A}\)の内側には電荷はなく,電界が現れないので,電界の大きさは\(0\)である。

(4)解答:チ
スイッチ\(\mathrm {S_{1}}\)を閉じて十分時間が経つと,導体\(\mathrm {B}\)の電位は零となるので,その時の導体\(\mathrm {A}\)の電位\(V_{A}^{\prime }\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{A}^{\prime } &=& -\int _{2a }^{a}E dr \\[ 5pt ] &=& -\int _{2a }^{a} \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}dr \\[ 5pt ] &=& \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}}\left[ \frac {1}{r}\right] _{2a}^{a}\\[ 5pt ] &=& \frac {Q}{4\pi \varepsilon _{0}}\left( \frac {1}{a}-\frac {1}{2a}\right) \\[ 5pt ] &=& \frac {Q}{8\pi \varepsilon _{0}a}
\end{eqnarray}
\] と求められる。

(5)解答:ヘ
スイッチ\(\mathrm {S_{1}}\)を閉じたままスイッチ\(\mathrm {S_{2}}\)を閉じて十分時間が経つと,導体\(\mathrm {A}\)と導体\(\mathrm {C}\)の電位が等しくなる。その時,各導体に蓄えらえる電荷を\(Q_{A}\),\(Q_{B}\),\(Q_{C}\)とすると,
\[
Q_{A} +Q_{C} = Q     ・・・・・・・・①
\] であり,導体\(\mathrm {C}\)の電位\(V_{C}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{C} &=& -\int _{\infty }^{4a} \frac {Q_{A} +Q_{B}+Q_{C}}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}dr \\[ 5pt ] V_{C} &=& \frac {Q_{A} +Q_{B}+Q_{C}}{16\pi \varepsilon _{0}a}  ・・・・・・・・②
\end{eqnarray}
\] となり,導体\(\mathrm {B}\)の電位\(V_{B}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{B} &=& -\int _{4a }^{2a} \frac {Q_{A} +Q_{B}}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}dr +V_{C} \\[ 5pt ] &=& \frac {Q_{A} +Q_{B}}{16\pi \varepsilon _{0}a}+\frac {Q_{A} +Q_{B}+Q_{C}}{16\pi \varepsilon _{0}a} \\[ 5pt ] &=& \frac {2Q_{A} +2Q_{B}+Q_{C}}{16\pi \varepsilon _{0}a}
\end{eqnarray}
\] となる。\(V_{B}=0\)であるから,
\[
\begin{eqnarray}
V_{B} &=& 0 \\[ 5pt ] \frac {2Q_{A} +2Q_{B}+Q_{C}}{16\pi \varepsilon _{0}a} &=& 0 \\[ 5pt ] 2Q_{A} +2Q_{B}+Q_{C}&=& 0  ・・・・・・・・③
\end{eqnarray}
\] となる。導体\(\mathrm {A}\)の電位\(V_{A}\)は,
\[
\begin{eqnarray}
V_{A} &=& -\int _{2a }^{a} \frac {Q_{A}}{4\pi \varepsilon _{0}r^{2}}dr \\[ 5pt ] &=& \frac {Q_{A}}{8\pi \varepsilon _{0}a}       ・・・・・・・・④
\end{eqnarray}
\] となる。\(V_{A}=V_{C}\)であるから,②,④より,
\[
\begin{eqnarray}
V_{A} &=& V_{C} \\[ 5pt ] \frac {Q_{A}}{8\pi \varepsilon _{0}a} &=& \frac {Q_{A} +Q_{B}+Q_{C}}{16\pi \varepsilon _{0}a} \\[ 5pt ] -Q_{A} +Q_{B}+Q_{C}&=& 0   ・・・・・・・・⑤
\end{eqnarray}
\] となる。①,③,⑤の連立方程式を解くと,
\[
\begin{eqnarray}
Q_{A} &=& \frac {1}{5}Q \\[ 5pt ] Q_{B} &=& -\frac {3}{5}Q \\[ 5pt ] Q_{C} &=& \frac {4}{5}Q
\end{eqnarray}
\] と求められる。



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