《電力》〈原子力〉[H20:問5]ウラン燃料の特徴と原子燃料サイクルに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,原子燃料サイクルに関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切な語句又は数値を解答群の中から選び,その記号をマークシートに記入しなさい。

天然ウラン中には,\( \ {}^{235}\mathrm {U} \ \)は\( \ \fbox {  (1)  } \ \mathrm {[%]} \ \)程度しか含まれておらず,大部分が\( \ {}^{238}\mathrm {U} \ \)である。そのため,燃料としては,\( \ {}^{235}\mathrm {U} \ \)の濃度を\( \ 3~5 \ \mathrm {[%]} \ \)まで濃縮し,\( \ \mathrm {UO}_{2} \ \)に再転換して使用する。原子炉内に挿入された燃料は,通常の運転状態では平均\( \ \fbox {  (2)  } \ \)年間程度熱エネルギーを放出した後,\( \ \fbox {  (3)  } \ \)として取り出され,再処理を経て,転換・濃縮・再転換され燃料として使用される。

再処理によって分離されたプルトニウムをウランと混ぜた混合燃料を\( \ \fbox {  (4)  } \ \)といい,これを現在の原子力発電所の軽水炉で使用することを\( \ \fbox {  (5)  } \ \)という。

〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& キャスク     &(ロ)& ペレット     &(ハ)& \mathrm {MOX} \ 燃料 \\[ 5pt ] &(ニ)& 1~2     &(ホ)& 0.1     &(ヘ)& プルサーマル \\[ 5pt ] &(ト)& 放射性廃棄物       &(チ)& 0.7     &(リ)& \mathrm {ATR} \\[ 5pt ] &(ヌ)& 6~8     &(ル)& 濃縮ウラン燃料       &(ヲ)& 0.4 \\[ 5pt ] &(ワ)& 3~5     &(カ)& \mathrm {FBR}     &(ヨ)& 使用済燃料 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

原子力発電で利用される原子燃料サイクルに関する問題です。
出題割合からどうしても手薄になりやすい原子力発電の分野です。
内容はそれほど難解なものは出題されませんので,\( \ 3 \ \)種の過去問を復習する等して基礎を固めていくようにして下さい。

1.原子燃料サイクル
天然ウランには主にウラン\( \ 235 \ \)とウラン\( \ 238 \ \)がありますが,その\( \ 99 \ \mathrm {%} \ \)以上がウラン\( \ 238 \ \)であり原子力発電の燃料として利用可能なウラン\( \ 235 \ \)の割合は\( \ 0.7 \ \mathrm {%} \ \)程度しかありません。これでは連鎖反応が続かないので,原子力発電では連鎖反応が継続可能な\( \ 3 ~ 5 \ \mathrm {%} \ \)程度にウラン\( \ 235 \ \)を濃縮(低濃縮ウラン)して使用します。
この濃縮過程や再利用する過程を原子燃料サイクルといい,以下のような工程があります。

①精錬
ウラン鉱石を粉砕し精錬しウラン精鉱(イエローケーキ)にします。

②転換
ウラン精鉱(イエローケーキ)を六フッ化ウラン\( \ \left( \mathrm {UF}_{6}\right) \ \)にします。

③濃縮
遠心分離法等によりウラン\( \ 235 \ \)の濃度が\( \ 3 ~ 5 \ \mathrm {%} \ \)程度になるように濃縮します。

④再転換
加工しやすいように粉末状の二酸化ウラン\( \ \left( \mathrm {UO}_{2}\right) \ \)にします。

⑤加工
ペレット状にして燃料集合体に加工します。

⑥再処理
\( \ 3~5 \ \)年程度発電に利用した使用済み燃料からウランとプルトニウムを分離します。

⑦\( \ \mathrm {MOX} \ \)加工
ウランとプルトニウムを混ぜ合わせ\( \ \mathrm {MOX} \ \)燃料にします。これをさらに原子力発電で利用(プルサーマル)します。


出典:電験戦士教本「原子力・その他発電」 P.30
URL:https://denkenia-archives.stores.jp/

【解答】

(1)解答:チ
題意より解答候補は,(ホ)\( \ 0.1 \ \),(チ)\( \ 0.7 \ \),(ヲ)\( \ 0.4 \ \),等になると思います。
ワンポイント解説「1.原子燃料サイクル」の通り,天然ウラン中に含まれる\( \ {}^{235}\mathrm {U} \ \)は\( \ 0.7 \ \mathrm {[%]} \ \)程度となります。

(2)解答:ワ
題意より解答候補は,(ニ)\( \ 1~2 \ \),(ヌ)\( \ 6~8 \ \),(ワ)\( \ 3~5 \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.原子燃料サイクル」の通り,原子力発電では燃料集合体は平均\( \ 3~5 \ \)年程度利用されます。

(3)解答:ヨ
題意より解答候補は,(イ)キャスク,(ト)放射性廃棄物,(ヨ)使用済燃料,等になると思います。
ワンポイント解説「1.原子燃料サイクル」の通り,燃料として原子力発電に利用された後は使用済燃料として取り出され,再処理を経て,転換・濃縮・再転換され燃料として使用されます。キャスクは使用済燃料を入れる容器のことをいいます。

(4)解答:ハ
題意より解答候補は,(ロ)ペレット,(ハ)\( \ \mathrm {MOX} \ \)燃料,(ル)濃縮ウラン燃料,になると思います。
ワンポイント解説「1.原子燃料サイクル」の通り,再処理によって分離されたプルトニウムをウランと混ぜた混合燃料を\( \ \mathrm {MOX} \ \)燃料といいます。

(5)解答:ヘ
題意より解答候補は,(ヘ)プルサーマル,(リ)\( \ \mathrm {ATR} \ \),(カ)\( \ \mathrm {FBR} \ \),等になると思います。
ワンポイント解説「1.原子燃料サイクル」の通り,\( \ \mathrm {MOX} \ \)燃料を原子力発電所の軽水炉で使用することをプルサーマルといいます。\( \ \mathrm {ATR} \ \)は新型転換炉,\( \ \mathrm {FBR} \ \)は高速増殖炉,と言いますが現在は利用されていません。



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