《法規》〈電気施設管理〉[R08:問5]電力系統における短絡容量に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,電力系統における短絡容量に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。

短絡容量は,一般に系統規模の拡大により\( \ \fbox {  (1)  } \ \)する。

短絡容量の\( \ \fbox {  (1)  } \ \)を許容する場合の方策には,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)遮断器への交換,変電所母線の\( \ \fbox {  (3)  } \ \)の強化などがある。

また,短絡容量を\( \ \fbox {  (1)  } \ \)させないための方策には,\( \ \fbox {  (4)  } \ \)変圧器の採用,隣接系統との\( \ \fbox {  (5)  } \ \)などがある。

〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 高インピーダンス     &(ロ)& 定格遮断電流の大きな \\[ 5pt ] &(ハ)& 増加     &(ニ)& 系統連系 \\[ 5pt ] &(ホ)& 単巻     &(ヘ)& 系統分割 \\[ 5pt ] &(ト)& 減少     &(チ)& 放熱性能 \\[ 5pt ] &(リ)& 広域運用     &(ヌ)& 定格遮断回数の多い \\[ 5pt ] &(ル)& 予防保全     &(ヲ)& 機械的強度 \\[ 5pt ] &(ワ)& 定格電流の大きな         &(カ)& 低インピーダンス \\[ 5pt ] &(ヨ)& 再閉路が高速な && \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

電力系統における短絡容量対策に関する問題です。
短絡容量→三相短絡電流→系統インピーダンスと連想できると完答が目指せる問題です。しっかりとワンポイント解説の中身を理解して,解説できるぐらいになりましょう。

1.三相短絡事故時の短絡電流及び短絡容量
図1のような負荷に定格電圧\( \ V_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[V]} \ \),定格電流\( \ I_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[A]} \ \)で供給している系統があり,事故点において三相短絡事故が発生したとします。
事故点から電源側をみたインピーダンスを\( \ Z \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)とすると,その単位法におけるインピーダンス\( \ Z \ \mathrm {[p.u.]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
Z \ \mathrm {[p.u.]}&=&\frac {\sqrt {3}Z \ \mathrm {[\Omega ]}I_{\mathrm {n}}}{V_{\mathrm {n}}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] とで定義され,図1より三相短絡電流\( \ I_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[A]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {s}}&=&\frac {\displaystyle \frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}}}{Z \ \mathrm {[\Omega ]}} \\[ 5pt ] &=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z \ \mathrm {[\Omega ]}} \\[ 5pt ] &=&\frac {V_{\mathrm {n}}}{\sqrt {3}Z \ \mathrm {[\Omega ]}I_{\mathrm {n}}}\cdot I_{\mathrm {n}} \\[ 5pt ] &=&\frac {I_{\mathrm {n}}}{Z \ \mathrm {[p.u.]}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。また,短絡容量\( \ P_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \)は,定格容量\( \ P_{\mathrm {n}}=\sqrt {3}V_{\mathrm {n}}I_{\mathrm {n}} \ \mathrm {[V\cdot A]} \ \)とおくと,
\[
\begin{eqnarray}
P_{\mathrm {s}}&=&\sqrt {3}V_{\mathrm {n}}I_{\mathrm {s}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\sqrt {3}V_{\mathrm {n}}I_{\mathrm {n}}}{Z \ \mathrm {[p.u.]}}\\[ 5pt ] &=&\frac {P_{\mathrm {n}}}{Z \ \mathrm {[p.u.]}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] で求められます。したがって,短絡電流及び短絡容量の抑制対策としては,系統のインピーダンスを大きくする方法が有効であることがわかります。

2.短絡容量増大の原因と対策
「1.三相短絡事故時の短絡電流及び短絡容量」で説明したように,短絡容量は系統のインピーダンスが低下した際に増大しますが,具体的には以下の原因により増大します。
 ・広域連系すること等により電力系統が拡大し,並列している発電機数が増加しインピーダンスが低下
 ・ループ運用を採用することにより,需要家からみたリアクタンスが低下
 ・上位系統を採用することにより,需要家からみた線路のリアクタンスが低下

これにより,事故発生時の短絡電流が増大し,過電流遮断器の遮断容量不足,電磁誘導障害,過電流リレーの時限協調の不具合等の懸念があるため,以下の対策を施します。
 ・遮断容量の大きな遮断器への取り替え
 ・需要設備において,受電点に限流リアクトルを挿入
 ・受電用変圧器に高インピーダンス変圧器を採用

【解答】

(1)解答:ハ
題意より,解答候補は(ハ)増加,(ト)減少,になると思います。
ワンポイント解説「2.短絡容量増大の原因と対策」の通り,一般に系統規模の拡大により短絡容量は増加します。

(2)解答:ロ
題意より,解答候補は(ロ)定格遮断電流の大きな,(ヌ)定格遮断回数の多い,(ワ)定格電流の大きな,(ヨ)再閉路が高速な,等になると思います。
ワンポイント解説「2.短絡容量増大の原因と対策」の通り,短絡容量が増加した際には短絡電流が増加するため定格遮断電流の大きな遮断器への交換が有効です。

(3)解答:ヲ
題意より,解答候補は(チ)放熱性能,(ル)予防保全,(ヲ)機械的強度,等になると思います。
短絡容量が増大し,大きな短絡電流が変電所母線などの導体に流れると,平行導体間に働く電磁力が大きくなります。したがって,母線や支持物等の機械的強度を強化する必要があります。

(4)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)高インピーダンス,(ホ)単巻,(カ)低インピーダンス,になると思います。
ワンポイント解説「2.短絡容量増大の原因と対策」の通り,短絡容量を増加させないためには,高インピーダンス変圧器の採用が有効です。

(5)解答:ヘ
題意より,解答候補は(ニ)系統連系,(ヘ)系統分割,(リ)広域運用,になると思います。
ワンポイント解説「2.短絡容量増大の原因と対策」の通り,短絡容量を増加させないためには,インピーダンスを大きくするための系統分割が有効です。



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