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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」に基づく分散型電源の系統連系設備に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
a) \( \ \fbox { (1) } \ \)とは,分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において,当該分散型電源が発電を継続し,線路負荷に有効電力を供給している状態をいう。
b) 高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は,分散型電源を連系する配電用変電所の配電用変圧器において,\( \ \fbox { (2) } \ \)を生じさせないこと。ただし,当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分散型電源と電力系統との\( \ \fbox { (3) } \ \)をとることができる場合は,この限りではない。
c) 特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合(スポットネットワーク受電方式で連系する場合を除く。),一般送配電事業者が運用する電線路等の事故時等に,他の電線路等が\( \ \fbox { (4) } \ \)になるおそれがあるときは,系統の変電所の電線路引出口等に\( \ \fbox { (4) } \ \)検出装置を施設し,電線路等が\( \ \fbox { (4) } \ \)になったときは,同装置からの情報に基づき,分散型電源の設置者において,分散型電源の\( \ \fbox { (5) } \ \)を適切に抑制すること。
〔問3の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 単独運転 &(ロ)& 無負荷 &(ハ)& 協調 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 出力 &(ホ)& 電圧 &(ヘ)& 連絡 \\[ 5pt ]
&(ト)& 逆向きの潮流 &(チ)& 軽負荷 &(リ)& 並列運転 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 周波数 &(ル)& 自立運転 &(ヲ)& 同期 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 温度上昇 &(カ)& 横流 &(ヨ)& 過負荷 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
電気設備の技術基準の解釈第220条,第228条及び第230条からの出題です。
分散型電源からの出題は,近年2種3種では毎年のように出題されている内容なので,十分に準備できていた受験生も多かったと思います。ページ数もそれほど多くないので,必ず全文目を通し得点できるように準備しておきましょう。
また,条文が見直される可能性もあるので,必ず毎年受験前に技術基準の解釈の原文を見直すようにしましょう。
【解答】
(1)解答:イ
電気設備の技術基準の解釈第220条第1項5号に規定されている通り,単独運転となります。
(2)解答:ト
電気設備の技術基準の解釈第228条に規定されている通り,逆向きの潮流となります。
(3)解答:ハ
電気設備の技術基準の解釈第228条に規定されている通り,協調となります。
(4)解答:ヨ
電気設備の技術基準の解釈第230条第1項1号に規定されている通り,過負荷となります。
(5)解答:ニ
電気設備の技術基準の解釈第230条第1項1号に規定されている通り,出力となります。
<電気設備の技術基準の解釈第220条>
この解釈において用いる分散型電源の系統連系設備に係る用語であって、次の各号に掲げるものの定義は当該各号による。
一 発電設備等 発電設備又は電力貯蔵装置であって、常用電源の停電時又は電圧低下発生時にのみ使用する非常用予備電源以外のもの
二 分散型電源 電気事業法(昭和39年法律第170号)第38条第4項第四号に掲げる事業を営む者以外の者が設置する発電設備等であって、一般送配電事業者が運用する電力系統に連系するもの
三 解列 電力系統から切り離すこと。
四 逆潮流 分散型電源設置者の構内から、一般送配電事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れ
五 (1)単独運転 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、当該分散型電源が発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態
六 逆充電 分散型電源を連系している電力系統が事故等によって系統電源と切り離された状態において、分散型電源のみが、連系している電力系統を加圧し、かつ、当該電力系統へ有効電力を供給していない状態
七 自立運転 分散型電源が、連系している電力系統から解列された状態において、当該分散型電源設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態
八 線路無電圧確認装置 電線路の電圧の有無を確認するための装置
九 転送遮断装置 遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し、別の構内に設置された遮断器を動作させる装置
十 受動的方式の単独運転検出装置 単独運転移行時に生じる電圧位相又は周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
十一 能動的方式の単独運転検出装置 分散型電源の有効電力出力又は無効電力出力等に平時から変動を与えておき、単独運転移行時に当該変動に起因して生じる周波数等の変化により、単独運転状態を検出する装置
十二 スポットネットワーク受電方式 2以上の特別高圧配電線(スポットネットワーク配電線)で受電し、各回線に設置した受電変圧器を介して2次側電路をネットワーク母線で並列接続した受電方式
十三 二次励磁制御巻線形誘導発電機 二次巻線の交流励磁電流を周波数制御することにより可変速運転を行う巻線形誘導発電機
<電気設備の技術基準の解釈第228条>
高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合は、分散型電源を連系する配電用変電所の配電用変圧器において、(2)逆向きの潮流を生じさせないこと。ただし、当該配電用変電所に保護装置を施設する等の方法により分散型電源と電力系統との(3)協調をとることができる場合は、この限りではない。
<電気設備の技術基準の解釈第230条>
特別高圧の電力系統に分散型電源を連系する場合(スポットネットワーク受電方式で連系する場合を除く。)は、次の各号によること。
一 一般送配電事業者が運用する電線路等の事故時等に、他の電線路等が(4)過負荷になるおそれがあるときは、系統の変電所の電線路引出口等に(4)過負荷検出装置を施設し、電線路等が(4)過負荷になったときは、同装置からの情報に基づき、分散型電源の設置者において、分散型電源の(5)出力を適切に抑制すること。
二 系統安定化又は潮流制御等の理由により運転制御が必要な場合は、必要な運転制御装置を分散型電源に施設すること。
三 単独運転時において電線路の地絡事故により異常電圧が発生するおそれ等があるときは、分散型電源の設置者において、変圧器の中性点に第19条第2項各号の規定に準じて接地工事を施すこと。(関連省令第10条、第11条)
四 前号に規定する中性点接地工事を施すことにより、一般送配電事業者が運用する電力系統内において電磁誘導障害防止対策や地中ケーブルの防護対策の強化等が必要となった場合は、適切な対策を施すこと。