《電力・管理》〈電気施設管理〉[R07:問5]電路の絶縁材料及び技術に関する空欄穴埋・論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

電路の絶縁に関する以下の問に答えよ。

(1) 電路に使用される絶縁材料の状態は,\( \ \mathrm {a)} \ \)気体,\( \ \mathrm {b)} \ \)液体,\( \ \mathrm {c)} \ \)固体に分類される。特別高圧の電路で使用される代表的な絶縁物を,それぞれ一つずつ答えよ。

(2) 電路の絶縁性能について,「電気設備の技術基準の解釈」に基づき,次の\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(A)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)から\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(E)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)の空欄に当てはまる適切な語句又は数値を答えよ。

\( \ \mathrm {a)} \ \) 使用電圧が\( \ 1 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)を超え\( \ 500 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)未満の電路の最大使用電圧は,使用電圧\( \ \times ( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(A)}$ $\hskip 0.6em $} \ / \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(B)}$ $\hskip 0.6em $} \ ) \ \)である。

\( \ \mathrm {b)} \ \) 高圧又は特別高圧の電路(接地工事を施す場合の接地点,絶縁できないことがやむを得ない部分,機械器具等の電路及び直流電車線を除く。)が適合すべき絶縁性能には次のものがある。
 「電気設備の技術基準の解釈」において電路の種類に応じて規定された試験電圧を電路と\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(C)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)との間(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(C)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)との間)に連続して\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(D)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)分間加えたとき,これに耐える絶縁性能を有すること。
 電線にケーブルを使用する交流の電路においては,上記の試験電圧の\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(E)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)倍の直流電圧を電路と\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(C)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)との間(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(C)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)との間)に連続して\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(D)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。
 特別高圧の電路においては,日本電気技術規格委員会が承認した規格「電路の絶縁耐力の確認方法」に規定する方法により絶縁耐力を確認したものであること。

(3) 電路の絶縁性能を判定するための試験方法である誘電正接測定試験について,次の問に答えよ。

\( \ \mathrm {a)} \ \) 誘電正接を,誘電損角\( \ \delta \ \)を用いて表せ。

\( \ \mathrm {b)} \ \) この試験において,\( \ \delta \ \),\( \ V \ \),\( \ I_{\mathrm {r}} \ \),\( \ I_{\mathrm {C}} \ \),\( \ I \ \)の関係を図示せよ。ただし,
  \( \ V \ \) :絶縁物に印加する交流電圧
  \( \ I_{\mathrm {r}} \ \) :電圧\( \ V \ \)の位相と同位相である絶縁物の損失電流
  \( \ I_{\mathrm {C}} \ \):電圧\( \ V \ \)の位相に対して\( \ 90^{\circ } \ \)進みの絶縁物の充電電流
  \( \ I\) :\( \ I_{\mathrm {C}} \ \)と\( \ I_{\mathrm {r}} \ \)の合成電流
 とする。

\( \ \mathrm {c)} \ \) この試験における電力損失\( \ W \ \)を,\( \ \delta \ \),\( \ V \ \),\( \ C \ \),\( \ \omega \ \)を用いて表せ。ただし,
  \( \ C \ \):絶縁物の静電容量
  \( \ \omega \ \ \):印加する交流電源の角周波数
 とする。

\( \ \mathrm {d)} \ \) 小問\( \ \mathrm {c)} \ \)の結果を用いて,誘電正接を測定することにより電路の絶縁性能が確認できることを\( \ 50 \ \)字程度で説明せよ。

【ワンポイント解説】

電路の絶縁材料,技術基準,誘電正接測定試験といった広範囲の内容からの出題です。
いずれもテキストで一度は学習した内容かと思いますので,多くの受験生が選択し高得点を取得した問題かと思います。
本問のような問題を確実に得点できることで合格が一気に近づきます。

1.誘電体損
ケーブルは誘電体を金属で挟んだコンデンサのような構造をしているため,損失分も合わせ一相分等価回路は図1のように抵抗\( \ R \ \mathrm {[\Omega ]} \ \)と静電容量\( \ C \ \mathrm {[F]} \ \)の並列回路となり,図2のベクトル図に示すような電流が流れます。ただし,\( \ \dot E \ \mathrm {[V]} \ \)はケーブルに加わる電圧の相電圧となります。
この時のコンデンサ分に流れる電流\( \ I_{\mathrm {C}} \ \mathrm {[A]} \ \)に対する抵抗分に流れる電流\( \ I_{\mathrm {R}} \ \mathrm {[A]} \ \)の割合\( \ \displaystyle \frac {I_{\mathrm {R}}}{I_{\mathrm {C}}}=\tan \delta \ \)を誘電正接と呼び,ケーブルが劣化してくると大きくなります。
ケーブルの誘電体損\( \ W_{\mathrm {d}} \ \mathrm {[W]} \ \)は,ケーブルに加わる電圧(線間電圧)を\( \ V \ \mathrm {[V]} \ \),周波数を\( \ f \ \mathrm {[Hz]} \ \),角周波数を\( \ \omega =2\pi f \ \mathrm {[rad / s]} \ \)とすると,
\[
\begin{eqnarray}
W_{\mathrm {d}}&=&3\frac {V}{\sqrt {3}}I_{\mathrm {R}} \\[ 5pt ] &=&3\frac {V}{\sqrt {3}}I_{\mathrm {C}}\tan \delta \\[ 5pt ] &=&3\frac {V}{\sqrt {3}}\left( \omega C\frac {V}{\sqrt {3}}\right) \tan \delta \\[ 5pt ] &=&\omega CV^{2}\tan \delta \\[ 5pt ] &=&2\pi f CV^{2}\tan \delta \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となり,誘電体損は電圧\( \ V \ \mathrm {[V]} \ \)の\( \ 2 \ \)乗に比例し,周波数\( \ f \ \mathrm {[Hz]} \ \),誘電正接\( \ \tan \delta \ \)に比例することがわかります。

【解答】

(1)特別高圧の電路で使用される代表的な絶縁物
\( \ \mathrm {a)} \ \)気体:空気(\( \ \mathrm {SF_{6}} \ \)など)
\( \ \mathrm {b)} \ \)液体:絶縁油(鉱油など)
\( \ \mathrm {c)} \ \)固体:がいし(架橋ポリエチレンなど)

(2)\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(A)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)から\( \ \fbox {$\hskip 0.6em $ $\mathrm {(E)}$ $\hskip 0.6em $} \ \)の空欄に当てはまる適切な語句又は数値
\( \ \mathrm {(A)} \ \)\( 1.15 \ \)
\( \ \mathrm {(B)} \ \)\( 1.1 \ \)
\( \ \mathrm {(C)} \ \)大地
\( \ \mathrm {(D)} \ \)\( 10 \ \)
\( \ \mathrm {(E)} \ \)\( 2 \ \)

(3)\( \ \mathrm {a)} \ \)誘電正接を,誘電損角\( \ \delta \ \)を用いて表す
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.誘電体損」の通りです。
・数学で\( \ \tan \ \)を正接といいます。

(試験センター解答例)
\( \ \tan \delta \ \)

(3)\( \ \mathrm {b)} \ \)\( \ \delta \ \),\( \ V \ \),\( \ I_{\mathrm {r}} \ \),\( \ I_{\mathrm {C}} \ \),\( \ I \ \)の関係を図示
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.誘電体損」の通りです。

(試験センター解答例)

(3)\( \ \mathrm {c)} \ \)電力損失\( \ W \ \)を,\( \ \delta \ \),\( \ V \ \),\( \ C \ \),\( \ \omega \ \)を用いて表す
(ポイント)
・ワンポイント解説「1.誘電体損」の通りです。

(試験センター解答例)
損失\( \ W=VI_{\mathrm {r}} \ \),\( \ I_{\mathrm {r}}=I_{\mathrm {C}}\tan \delta \ \),\( \ I_{\mathrm {C}}=\omega CV \ \)より,
\[
\begin{eqnarray}
W&=&VI_{\mathrm {r}}=VI_{\mathrm {C}}\tan \delta =V\omega CV\tan \delta =\omega CV^{2}\tan \delta \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

(3)\( \ \mathrm {d)} \ \)誘電正接を測定することにより電路の絶縁性能が確認できることを\( \ 50 \ \)字程度で説明
(ポイント)
・\( \ \omega =2\pi f \ \),\( \ C \ \),\( \ V \ \)は基本的に変化しないことを利用し説明すれば高得点が取得可能と考えられます。

(試験センター解答例)
\( \ \omega CV^{2} \ \)が一定の場合,損失\( \ W \ \)は誘電正接\( \ \tan \delta \ \)に比例するので,\( \ \tan \delta \ \)を測定して管理すれば絶縁性能が確認できる。

<電気設備の技術基準の解釈第1条(抜粋)>
この解釈において、次の各号に掲げる用語の定義は、当該各号による。

二 最大使用電圧 次のいずれかの方法により求めた,通常の使用状態において電路に加わる最大の線間電圧

 イ 使用電圧が,電気学会電気規格調査会標準規格\( \ \mathrm {JEC-0222-2009} \ \)「標準電圧」の「3.1 公称電圧が\( \ 1,000 \ \mathrm {V} \ \)を超える電線路の公称電圧及び最高電圧」又は「3.2 公称電圧が\( \ 1,000 \ \mathrm {V} \ \)以下の電線路の公称電圧」に規定される公称電圧に等しい電路においては、使用電圧に、1-1表に規定する係数を乗じた電圧

               1-1表
\[
\begin{array}{|c|c|}
\hline
 使用電圧の区分  &  係数  \\
\hline
 1,000 \ \mathrm {V} \ 以下  &  1.15  \\
\hline
 1,000 \ \mathrm {V} \ を超え500,000 \ \mathrm {V} \ 未満  &  \color {red} {\underline {\mathrm {(A)} \ 1.15}}/\color {red} {\underline {\mathrm {(B)} \ 1.1}}  \\
\hline
 500,000 \ \mathrm {V} \   &  1.05、1.1又は1.2  \\
\hline
 1,000,000 \ \mathrm {V} \   &  1.1  \\
\hline
\end{array}
\]

<電気設備の技術基準の解釈第15条(抜粋)>
高圧又は特別高圧の電路(第13条各号に掲げる部分,次条に規定するもの及び直流電車線を除く。)は,次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること。

一 15-1表に規定する試験電圧を電路と\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {(C)}}} \ \)大地との間(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {(C)}}} \ \)大地との間)に連続して\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {(D)} \ 10}} \ \)分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。

二 電線にケーブルを使用する交流の電路においては,15-1表に規定する試験電圧の\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {(E)} \ 2}} \ \)倍の直流電圧を電路と\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {(C)}}} \ \)大地との間(多心ケーブルにあっては,心線相互間及び心線と\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {(C)}}} \ \)大地との間)に連続して\( \ \color {red}{\underline {\mathrm {(D)} \ 10}} \ \)分間加えたとき,これに耐える性能を有すること。



記事下のシェアタイトル