《電力・管理》〈送電〉[H26:問3]架空送電線の電線の太さに関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

架空送電線の電線の太さの選定について,次の問に答えよ。

架空送電線の電線の太さの選定にあたっては,様々な要因を考慮する必要があるが,その要因としては,電気的要因,機械的要因(強度・重量・耐振性・工事上の取り扱いなど)や価格などがある。

(1) 太さの選定に関係する主要な電気的要因を4項目挙げて,その概要を説明せよ。

(2) 上記の文章で説明されている要因のうち,機械的強度,重量,価格に上記(1)で挙げた各項目を加えた7項目の要因それぞれに関して,電線の太さが太い方が望ましいか細い方が望ましいかを理由を付して述べよ。

【ワンポイント解説】

電線の太さの基本としては電気的には太い方が望ましいですが,太くするとその分電線の重量が重くなるため,電線の材料費や鉄塔の建設費の増大が懸念されます。したがって,電力会社では本問に関する内容や電力安定性,経済性を含め総合的に判断し,電線の太さの選定を行っています。

【解答】

(1)太さの選定に関係する主要な電気的要因を4項目
(ポイント)
・許容電流,電力損失,コロナ,電圧降下が挙げられます。電圧,電流,インピーダンス,電力等電気に関わる部分から想像することが肝要となります。
・あくまで本問は架空送電線に関することなので,誘電損やシース損の話は入れない方が良いと思います。

(試験センター解答例)
許容電流,電力損失,コロナ,電圧降下のような項目が挙げられる。そこで以下には,これらの項目について記す。

①許容電流
一般に電線に電流が流れると温度が上昇し,ある限度以上に高くなると引張強さなどの性能が低下するので,電線の性能に悪影響を及ぼさない温度限度(最高許容温度)以下で使用しなければならない。この限度の電流を許容電流といい,電線の材質,構造,表面の状況,周囲温度,日射状態,風雨などにより異なる。

②電力損失
電線の径が小さい場合,抵抗\(R\)が大きくなる。抵抗\(R\)の電線に電流\(I\)が流れると\(I^{2}R\)に相当する電力損失が発生するが,エネルギー輸送の観点から望ましいことではない。

③コロナ
特に高電圧の送電線において電線の径が小さい場合,周囲の電界強度が高くなり,これが過大な場合にはコロナ放電が発生し電力損失,ラジオ雑音,近接通信線の誘導障害などを与えるので,これが発生しない範囲(AC 21 kV/cm 程度)で使用しなければならない。

④ 電圧降下
電線の径が小さい場合,抵抗\(R\)と作用インダクタンス\(L\)が共に大きくなるので,直列インピーダンスも大きくなる。直列インピーダンスの電線に電流を流すとの電圧降下が生じるが,送配電機器や負荷の電圧は可能なかぎり定格値近くで運用する方が望ましい。すなわち,電圧降下が過大にならないようにしなければならない。

(2)機械的強度,重量,価格に上記(1)で挙げた各項目を加えた7項目の要因それぞれに関して,電線の太さが太い方が望ましいか細い方が望ましいか
(ポイント)
・電気的には太い方が良いことは当然として,最終的には経済性との争点が重要となります。したがって,電気事業法の第一条にも「電気事業の運営を適正かつ合理的にならしめることによって,電気の使用者の利益を保護」することが規定されています。

(試験センター解答例)
①機械的強度
電線の材質が同じであれば電線が太い方が,引張強さが向上するため有利である。

②重量
電線の材質が同じであれば電線が細い方が軽量化できるため有利である。

③価格
電線の材質が同じであれば電線が細い方が安価であり有利である。

④許容電流
電線の材質が同じであれば電線が太い方が許容電流は大きく有利である。

⑤電力損失
電線の材質が同じであれば電線が太い方が低抵抗となり電力損失は小さく有利である。

⑥コロナ
同一の材質の電線を単導体で比較すれば電線が太い方が電界強度が低くなり,コロナ発生は小さく有利である。ただし多導体を採用する場合には実効的な電界強度によって性能が左右される。

⑦電圧降下
電線の材質が同じであれば電線が太い方が抵抗,リアクタンスが低くなるため,電圧降下が小さくなるので有利である。



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