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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
次の文章は,建物の接地に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切な語句又は数値を解答群の中から選びなさい。
a.「電気設備技術基準の解釈」によると, 大地との間の電気抵抗値が\( \ \fbox { (1) } \ \)以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は,これを非接地式高圧電路に施設する機械器具の鉄台若しくは金属製外箱に施す\( \ \fbox { (2) } \ \)接地工事の接地極に使用することができる。
b.\( \ \mathrm {IEC60364} \ \)規格を適用したビル構内の配電系統において,接地方式が電源の接地と,負荷機器の接地を個別に取る\( \ \fbox { (3) } \ \)接地方式の場合,感電保護手段としては漏電遮断器が用いられる。
c.大規模な建物構造体の接地抵抗の測定は,簡易的な接地抵抗計で測定すると誤差が大きくなり正確な値を測定することができない。そこで,正弦波の測定電流\( \ \left( 10~20 \ \mathrm {[A]}\right) \ \)を用いる\( \ \fbox { (4) } \ \)による測定が一般的であり,測定のための補助極としては\( \ \fbox { (5) } \ \)の電極が必要である。
〔問1の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 4 \ 電極法 &(ロ)& 電位差計法 &(ハ)& 3 極 \\[ 5pt ]
&(ニ)& \mathrm {A} 種 &(ホ)& \mathrm {C} 種 &(ヘ)& \mathrm {D} 種 \\[ 5pt ]
&(ト)& \mathrm {TT} &(チ)& \mathrm {TN} &(リ)& \mathrm {IT} \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 2 \ \mathrm {[\Omega ]} &(ル)& 10 \ \mathrm {[\Omega ]} &(ヲ)& 100 \ \mathrm {[\Omega ]} \\[ 5pt ]
&(ワ)& 電圧降下法 &(カ)& 4 極 &(ヨ)& 2 極 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
建物の接地に関する問題です。
電気設備技術基準のみでなく,接地方式や電気工事士の内容も含むやや発展的な問題であったかなと思います。
接地抵抗測定に関する計算問題は理論科目の平成27年問8に出題されており,勉強になると思いますので合わせて見ておくと良いでしょう。
1.接地方式の種類
電力系統と機器の接地の取り方の違いにより大きく分けて\( \ \mathrm {TN} \ \)接地方式,\( \ \mathrm {TT} \ \)接地方式,\( \ \mathrm {IT} \ \)接地方式があります。
第一文字目の記号が電力系統の一点を大地と直接接続する\( \ \left( \mathrm {T}\right) \ \)か,絶縁もしくインピーダンスを介して接続する\( \ \left( \mathrm {I}\right) \ \)か,第二文字目の記号が電力系統の接地と機器の接地を同じにする\( \ \left( \mathrm {N}\right) \ \)か個別にする\( \ \left( \mathrm {T}\right) \ \)かです。
専門書を紐解けば,それぞれのメリットやデメリット等も紹介されていますが,日本では下図に示すようなそれぞれ個別に接地を取る\( \ \mathrm {TT} \ \)接地方式が採用されているので,基本的に空欄で出題される場合は\( \ \mathrm {TT} \ \)接地方式のみと思っていれば良いと思います。
【解答】
(1)解答:ヌ
電気設備の技術基準の解釈第18条第2項の通り,\( \ 2 \ \mathrm {\Omega } \ \)となります。
(2)解答:ニ
電気設備の技術基準の解釈第18条第2項1号の通り,\( \ \mathrm {A} \ \)種となります。
(3)解答:ト
題意より解答候補は,(ト)\( \ \mathrm {TT} \ \),(チ)\( \ \mathrm {TN} \ \),(リ)\( \ \mathrm {IT} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.接地方式の種類」の通り,接地方式が電源の接地と,負荷機器の接地を個別に取る接地方式を\( \ \mathrm {TT} \ \)接地方式といいます。
(4)解答:ワ
題意より解答候補は,(イ)\( \ 4 \ \)電極法,(ロ)電位差計法,(ワ)電圧降下法,になると思います。
接地抵抗の精密な測定を実施する場合,下図に示すような\( \ 3 \ \)電極法が用いられますが,建物構造体においては電圧降下法による測定が一般的となります。
出典:電気工学ハンドブック(第7版) 一般社団法人電気学会 オーム社 P.274
(5)解答:ヨ
題意より解答候補は,(ハ)\( \ 3 \ \)極,(カ)\( \ 4 \ \)極,(ヨ)\( \ 2 \ \)極,になると思います。
接地抵抗測定において補助極となるのは\( \ \mathrm {P} \ \)極と\( \ \mathrm {C} \ \)極の\( \ 2 \ \)極となります。
<電気設備の技術基準の解釈第18条(抜粋)>
2 大地との間の電気抵抗値が(1)\( \ \color{red}{\underline {2 \ \mathrm {\Omega }}} \ \)以下の値を保っている建物の鉄骨その他の金属体は,これを次の各号に掲げる接地工事の接地極に使用することができる。
一 非接地式高圧電路に施設する機械器具等に施す(2)\( \ \color{red}{\underline {\mathrm {A}}} \ \)種接地工事
二 非接地式高圧電路と低圧電路を結合する変圧器に施す\( \ \mathrm {B} \ \)種接地工事