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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
次の文章は,突極形同期機の制動巻線に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。
突極形同期機の回転子の\( \ \fbox { (1) } \ \)に設けたスロットに\( \ \fbox { (2) } \ \)又は黄銅棒を挿入し,かご形誘導電動機の\( \ \fbox { (3) } \ \)巻線のように短絡環によって相互に接続して構成する巻線を制動巻線という。負荷の急変に伴う同期機の過渡運転の状態において回転子の回転速度に動揺が起こると,電源(系統)周波数で決まる同期速度との間に滑りが生じ,この巻線に誘導電動機としてのトルクが発生する。このトルクは速度変動を抑える方向に働く。
この巻線は,電機子巻線と界磁巻線の磁路中に介在する\( \ \fbox { (4) } \ \)インピーダンス巻線であるため,制動の機能以外に三相不平衡負荷に起因する逆相磁界又は負荷電流のひずみなどに起因する\( \ \fbox { (5) } \ \)を吸収する効果がある。
〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 銅 棒 &(ロ)& 継 鉄 &(ハ)& 一 次 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 高 &(ホ)& 低 &(ヘ)& 過 大 \\[ 5pt ]
&(ト)& 電機子鉄心 &(チ)& 鉄 棒 &(リ)& 正相磁界 \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 磁極頭部 &(ル)& 励 磁 &(ヲ)& ステンレス鋼棒 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 高調波磁界 &(カ)& 二 次 &(ヨ)& 零相磁界 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
出題内容がやや細かい部分であり,一種の問題に出題されそうな問題です。制動巻線は負荷急変時等の同期外れを防止する以外にも自己始動法による始動に使用する場合もあります。
1.同期機の制動巻線
制動巻線は図1のように回転子鉄心の磁極の末端に設けられます。制動巻線の末端はかご形誘導電動機の二次巻線の短絡環のような形となっています。制動巻線の目的は以下の通りです。
① 負荷急変時,もしくは界磁磁束急変時の同期外れの防止
② 不平衡負荷運転状態で逆相電流が流れる際に発生する逆相回転磁界及び負荷電流のひずみによる高調波磁界を吸収する
② 誘導電動機と同様に始動させる(自己始動法)
【解答】
(1)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ロ)継鉄,(ト)電機子鉄心,(ヌ)磁極頭部,になると思います。図1のように制動巻線は磁極頭部に設けられる巻線となります。
(2)解答:イ
題意より,解答候補は(イ)銅棒,(チ)鉄棒,(ヲ)ステンレス鋼棒,になると思います。制動巻線は磁極頭部に設けたスロットに銅棒を挿入するのが一般的です。
(3)解答:カ
題意より,解答候補は(ハ)一次,(ル)励磁,(カ)二次,になると思います。制動巻線はかご形誘導電動機の二次巻線のように短絡環で相互に接続しています。
(4)解答:ホ
題意より,解答候補は(ニ)高,(ホ)低,になると思います。制動巻線は低インピーダンス巻線です。
(5)解答:ワ
題意より,解答候補は(リ)正相磁界,(ワ)高調波磁界,(ヨ)零相磁界,になると思います。ワンポイント解説「1.同期機の制動巻線」の通り,制動巻線が吸収するのは逆相磁界と高調波磁界となります。