《機械》〈パワーエレクトロニクス〉[H26:問3]無停電電源システムに関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

次の文章は,無停電電源システムとその信頼性向上の方法に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選びなさい。

無停電電源システム(\( \ \mathrm {UPS} \ \))の一つの基本構成である常時インバータ給電方式を単線系統図に示す。この\( \ \mathrm {UPS} \ \)は,図の破線で囲まれた部分をここでは\( \ \mathrm {CVCF ( Constant \ Voltage \ Constant \ Frequency ) } \ \)装置を定義すると,その\( \ \fbox {  (1)  } \ \)回路に蓄電池を接続して,商用電源が停電した際のエネルギー源としている。

図に示すように,蓄電池を整流器とは別の充電器で充電し,サイリスタを用いて蓄電池を\( \ \mathrm {CVCF} \ \)装置と接続する方法は,\( \ \fbox {  (2)  } \ \)と呼ばれることがある。充電器によって蓄電池に適した条件で充電できるので,この方法は大容量の蓄電池をもつシステムなどで使われる。

常時インバータ給電方式の\( \ \mathrm {UPS} \ \)の信頼性を向上する方法には,バイパス方式,\( \ \fbox {  (3)  } \ \)方式などがある。前者は運転している\( \ \mathrm {UPS} \ \)が故障した際には,切換スイッチを使用して商用電源から直接負荷に給電する方法であり,その一例が図に示されている。切換スイッチ\( \ \mathrm {A} \ \)及び\( \ \mathrm {B} \ \)にサイリスタなどを用いた半導体スイッチを使用すると回路を無瞬断で切り換えることができるが,常時のインバータ運転は商用電源\( \ \fbox {  (4)  } \ \)運転であることが必要である。また,後者は,複数台の\( \ \mathrm {UPS} \ \)を用いる方法であり,\( \ 1 \ \)台の\( \ \mathrm {UPS} \ \)が故障した場合に速やかにそれを検出して切り離すことによって,残りの健全な\( \ \mathrm {UPS} \ \)で負荷に給電を続ける方法である。この方式を用いると,必要な負荷容量を複数台(\( \ n \ \)台)の\( \ \mathrm {UPS} \ \)の合計容量で給電する際に,信頼性を向上したシステムが\( \ \fbox {  (5)  } \ \)台だけの\( \ \mathrm {UPS} \ \)で実現できる特長がある。

〔問3の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& より高い周波数の      &(ロ)& 2n \\[ 5pt ] &(ハ)& と同期した      &(ニ)& 商用交流 \\[ 5pt ] &(ホ)& 双方向チョッパ方式        &(ヘ)& 負荷側交流 \\[ 5pt ] &(ト)& 浮動充電方式      &(チ)& 並列冗長 \\[ 5pt ] &(リ)& n+1      &(ヌ)& 直 流 \\[ 5pt ] &(ル)& より低い周波数の      &(ヲ)& 非常電源待機 \\[ 5pt ] &(ワ)& 直流スイッチ方式      &(カ)& 多重化接続 \\[ 5pt ] &(ヨ)& n-1 \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\]

【ワンポイント解説】

\( \ \mathrm {UPS} \ \)は非常時の電源供給システムの一つです。本問の構成はサイリスタの直流スイッチ方式ですが,常時は\( \ \mathrm {A} \ \)側から電源を供給して非常時に\( \ \mathrm {B} \ \)側に切り換えます。そのため,瞬間的に停電が生じるという特徴があります。一方,浮動充電方式は図1のようにコンバータとインバータを利用して,充電池に充電しつつ交流を出力させるので,非常時にも電源が零となることはありません。

【解答】

(1)解答:ヌ
題意より,解答候補は(ニ)商用交流,(ヘ)負荷側交流,(ヌ)直流,になると思いますが,蓄電池に接続するのは直流でなければなりません。

(2)解答:ワ
題意より,解答候補は(ホ)双方向チョッパ方式,(ト)浮動充電方式,(ワ)直流スイッチ方式,になると思います。ワンポイント解説で示した通り,本問の構成はサイリスタを用いた直流スイッチ方式と言います。

(3)解答:チ
題意より,解答候補は(チ)並列冗長,(ヲ)非常電源待機,(カ)多重化接続,となると思います。非常電源は基本的には蓄電池の前に動作させるのが一般的です。また,多重化接続しても電源(電池)の容量が増えないので意味がありません。よって,解答は並列冗長になりますが,冗長化とはシステム自体(蓄電池)が故障した場合にもバックアップさせることができるようにしておくという方法です。

(4)解答:ハ
題意より,解答候補は(イ)より高い周波数の,(ハ)と同期した,(ル)より低い周波数の,になると思います。常時商用周波数と同期していないと,切り換えがうまくいかないので,バイパス方式では商用電源と同期しておく必要があります。

(5)解答:リ
題意より,解答候補は(ロ)\( \ 2n \ \),(リ)\( \ n+1 \ \),(ヨ)\( \ n-1 \ \),になると思います。並列冗長の場合は全体で一つのバックアップがあればよいので,負荷容量が\( \ n \ \)の場合は\( \ n+1 \ \)台の\( \ \mathrm {UPS} \ \)があれば信頼性の確保ができます。



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