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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
次の文章は,室内照明設計に関する記述である。文中の\( \ \fbox{$\hskip3em\Rule{0pt}{0.8em}{0em}$} \ \)に当てはまる最も適切なものを解答群の中から選べ。
室の天井面に複数の照明器具(同一機種のもの)を規則的に配置して,室内全体の照明を行い,所望の照度を得ることを考える。\( \ \fbox { (1) } \ \)を用いて,室の作業面の平均照度(設計値) \( \ E \ \mathrm {[lx]} \ \)は次式によって求めることができる。
\[
\begin{eqnarray}
E &=& \ \fbox { (2) } \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
ここで,
\( \ E \ \):平均照度(設計値)\( \ \mathrm {[lx]} \ \)(室の作業面の水平面照度の室内全体の平均)
\( \ \mathit {\Phi } \ \):ランプ\( \ 1 \ \)灯の定格光束\( \ \mathrm {[lm]} \ \)
\( \ N \ \):ランプの灯数
\( M \ \):\( \ \fbox { (3) } \ \)(新設時の平均照度に対する,ある一定期間使用した後の平
均照度の比。ランプは使用しているうちに光束がしだいに減少し,照明
器具は汚れによって器具効率が低下する。このために,設計の際に光束
にあらかじめ余裕をもたせておくための係数)
\( \ A \ \):室の床面積\( \ \mathrm {[m^{2}]} \ \)(室の間口\( \ X \ \mathrm {[m]} \ \)と奥行き\( \ Y \ \mathrm {[m]} \ \)の積)
\( \ U \ \):\( \ \fbox { (4) } \ \)(ランプの光束が作業面に届く割合を表し,照明器具の配光,
器具効率,室の寸法(\( \ X \ \)と\( \ Y \ \)),作業面からランプまでの高さ,室内面
(天井,壁,床)の反射率によって決まる係数)
である。
次に,間口\( \ X=7 \ \mathrm {m} \ \),奥行き\( \ Y=14 \ \mathrm {m} \ \)の室を考える。使用する照明器具は天井埋め込み式で,ランプ面と天井面とが一致するタイプのものである。照明器具には\( \ 1 \ \)台あたりランプ\( \ 2 \ \)灯が取りつけられており,ランプ\( \ 1 \ \)灯の定格光束は\( \ \mathit {\Phi }=3 \ 500 \ \mathrm {lm} \ \)である。また,この室における,この照明器具の\( \ \fbox { (4) } \ \)は\( \ U=0.55 \ \)と与えられ,\( \ \fbox { (3) } \ \)は\( \ M=0.74 \ \)とする。
以上の条件を適用すると,この室の作業面の平均照度(設計値)を\( \ 750 \ \mathrm {lx} \ \)以上に保つために最小限必要となる照明器具の台数は\( \ \fbox { (5) } \ \)台となる。
〔問5の解答群〕
\[
\begin{eqnarray}
&(イ)& 発光効率 &(ロ)& \frac {\mathit {\Phi} NU}{MA} &(ハ)& 残存率 \\[ 5pt ]
&(ニ)& 照明率 &(ホ)& 光線追跡法 &(ヘ)& \frac {\mathit {\Phi} NUM}{A} \\[ 5pt ]
&(ト)& 光束維持率 &(チ)& 26 &(リ)& \frac {\mathit {\Phi} NM}{UA} \\[ 5pt ]
&(ヌ)& 照射効率 &(ル)& 29 &(ヲ)& 逐点法 \\[ 5pt ]
&(ワ)& 光束法 &(カ)& 52 &(ヨ)& 保守率 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
【ワンポイント解説】
目標平均照度から最小限必要となる照明器具の台数を求める問題です。
3 種では何年かに一回は出題されている問題ですが,\( \ 2 \ \)種での出題はあまり多くありませんでした。
\( \ 3 \ \)種受験後間もない受験生が有利な問題であったかもしれません。
1.光束法による平均照度\( \ E \ \)の計算
間口\( \ X \ \mathrm {[m]} \ \),奥行\( \ Y \ \mathrm {[m]} \ \)の部屋において,光源1個あたりの光束を\( \ \mathit {\Phi} \ \mathrm {[lm]} \ \),光源の個数を\( \ N \ \mathrm {[個]} \ \)とすると,空間内の全光束\( \ F \ \mathrm {[lm]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
F&=&\mathit {\Phi}N \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,照明率(光源の光束が作業面に届く割合)を\( \ U \ \),保守率(新設時の平均照度を\( \ 1 \ \)としたときの一定期間使用した後の平均照度)を\( \ M \ \)とすると,照射面積は\( \ XY \ \mathrm {[m^{2}]} \ \)なので,平均照度\( \ E \ \mathrm {[lx]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
E&=&\frac {FUM}{XY} \\[ 5pt ]
&=&\frac {\mathit {\Phi} NUM}{XY} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
と求められます。
【解答】
(1)解答:ワ
題意より解答候補は,(ホ)光線追跡法,(ヲ)逐点法,(ワ)光束法,になると思います。
ワンポイント解説「1.光束法による平均照度\( \ E \ \)の計算」の通り,本問の内容は光束法を説明しています。
(2)解答:ヘ
題意より解答候補は,(ロ)\( \ \displaystyle \frac {\mathit {\Phi} NU}{MA} \ \),(ヘ)\( \ \displaystyle \frac {\mathit {\Phi} NUM}{A} \ \),(リ)\( \ \displaystyle \frac {\mathit {\Phi} NM}{UA} \ \),になると思います。
ワンポイント解説「1.光束法による平均照度\( \ E \ \)の計算」の通り,室の作業面の平均照度(設計値) \( \ E \ \mathrm {[lx]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
E &=&\frac {\mathit {\Phi} NUM}{A} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
で求められます。
(3)解答:ヨ
題意より解答候補は,(イ)発光効率,(ハ)残存率,(ニ)照明率,(ト)光束維持率,(ヌ)照射効率,(ヨ)保守率,になると思います。
ワンポイント解説「1.光束法による平均照度\( \ E \ \)の計算」の通り,新設時の平均照度に対する,ある一定期間使用した後の平均照度の比を記号\( \ M \ \)を用いて保守率と言います。
(4)解答:ニ
題意より解答候補は,(イ)発光効率,(ハ)残存率,(ニ)照明率,(ト)光束維持率,(ヌ)照射効率,(ヨ)保守率,になると思います。
ワンポイント解説「1.光束法による平均照度\( \ E \ \)の計算」の通り,ランプの光束が作業面に届く割合を記号\( \ U \ \)を用いて照明率と言います。
(5)解答:チ
\[
\begin{eqnarray}
A &=&XY \\[ 5pt ]
&=&7\times 14 \\[ 5pt ]
&=&98 \ \mathrm {[m^{2}]} \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
であるから,(2)解答式に各値を代入すると,
\[
\begin{eqnarray}
E &=&\frac {\mathit {\Phi} NUM}{A} \\[ 5pt ]
750&=&\frac {3 \ 500\times N \times 0.55\times 0.74}{98} \\[ 5pt ]
N&=&\frac {750\times 98}{3 \ 500 \times 0.55\times 0.74} \\[ 5pt ]
&≒&51.6 → 52 \\[ 5pt ]
\end{eqnarray}
\]
となり,照明器具\( \ 1 \ \)台あたりランプ\( \ 2 \ \)灯が取りつけられているので,照明器具の台数は\( \ 26 \ \)台と求められる。