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【問題】
【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)
図は,汽力発電所の基本的な熱サイクルの過程を,体積\( \ V \ \)と圧力\( \ P \ \)の関係で示した\( \ PV \ \)線図である。
図の汽力発電の基本的な熱サイクルを\( \ \fbox { (ア) } \ \)という。\( \ \mathrm {A→B} \ \)は,給水が給水ポンプで加圧されボイラに送り込まれる\( \ \fbox { (イ) } \ \)の過程である。\( \ \mathrm {B→C} \ \)は,この給水がボイラで加熱され,飽和水から乾き飽和蒸気となり,さらに加熱され過熱蒸気となる\( \ \fbox { (ウ) } \ \)の過程である。\( \ \mathrm {C→D} \ \)は,過熱蒸気がタービンで仕事をする\( \ \fbox { (エ) } \ \)の過程である。\( \ \mathrm {D→A} \ \)は,復水器で蒸気が水に戻る\( \ \fbox { (オ) } \ \)の過程である。
上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。
\[
\begin{array}{cccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & ランキンサイクル & 断熱圧縮 & 等圧受熱 & 断熱膨張 & 等圧放熱 \\
\hline
(2) & ブレイトンサイクル & 断熱膨張 & 等圧放熱 & 断熱圧縮 & 等圧放熱 \\
\hline
(3) & ランキンサイクル & 等圧受熱 & 断熱膨張 & 等圧放熱 & 断熱圧縮 \\
\hline
(4) & ランキンサイクル & 断熱圧縮 & 等圧放熱 & 断熱膨張 & 等圧受熱 \\
\hline
(5) & ブレイトンサイクル & 断熱圧縮 & 等圧受熱 & 断熱膨張 & 等圧放熱 \\
\hline
\end{array}
\]
【ワンポイント解説】
汽力発電所の基本的な熱サイクルに関する問題です。
電気の範囲と異なり,設備をイメージすることが重要となる機械の内容です。ぜひお湯を沸かして湯気が出るようなイメージを膨らませて理解するようにして下さい。
1.汽力発電所の基本サイクル
図1及び図2に汽力発電所の基本サイクルであるランキンサイクルのフローと\( \ PV \ \)線図を示します。
図1に示すように低温・低圧の給水(図の\( \ \mathrm {A} \ \))は給水ポンプで昇圧され,低温・高圧の水(図の\( \ \mathrm {B} \ \))となり,ボイラに供給されます。
ボイラでは燃料の燃焼により加熱され高温・高圧の蒸気(図の\( \ \mathrm {C} \ \))となり,タービンへ送られます。
タービンでは,蒸気の持つ運動エネルギーと圧力エネルギーによりタービンを回転させ圧力と温度を失い(図の\( \ \mathrm {D} \ \)),復水器により蒸気から水へ凝縮され,再び給水として給水ポンプへ送られます。
その圧力と体積の関係を示したのが図2であり,\( \ PV \ \)線図と呼ばれます。
\( \ \mathrm {A}→\mathrm {B} \ \)が,給水ポンプによる断熱圧縮の過程であり,体積は大きく変化しませんが圧力が上昇します。
\( \ \mathrm {B}→\mathrm {C} \ \)が,ボイラによる等圧受熱の過程であり,水が液体から気体に変わることにより体積が膨張します。
\( \ \mathrm {C}→\mathrm {D} \ \)が,タービンによる断熱膨張の過程であり,蒸気の持つエネルギーをタービンを回転させるエネルギーにします。
\( \ \mathrm {D}→\mathrm {A} \ \)が,復水器による等圧放熱の過程であり,蒸気を水に戻します。
【解答】
解答:(1)
(ア)
ワンポイント解説「1.汽力発電所の基本サイクル」の通り,汽力発電の基本的なサイクルをランキンサイクルといいます。ブレイトンサイクルはガスタービンのサイクルとなります。
(イ)
ワンポイント解説「1.汽力発電所の基本サイクル」の通り,給水ポンプは給水を昇圧する断熱圧縮の過程となります。
(ウ)
ワンポイント解説「1.汽力発電所の基本サイクル」の通り,ボイラで水を蒸気にするのは等圧受熱の過程となります。
(エ)
ワンポイント解説「1.汽力発電所の基本サイクル」の通り,タービンで仕事をするのは断熱膨張の過程となります。
(オ)
ワンポイント解説「1.汽力発電所の基本サイクル」の通り,復水器で蒸気を水にするのは等圧放熱の過程となります。