《電力》〈水力〉[H30:問2]水車の比速度に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次の文章は,水車の比速度に関する記述である。

比速度とは,任意の水車の形(幾何学的形状)と運転状態(水車内の流れの状態)とを\(\fbox {  (ア)  }\)変えたとき,\(\fbox {  (イ)  }\)で単位出力(\(1 \mathrm {kW}\))を発生させる仮想水車の回転速度のことである。

水車では,ランナの形や特性を表すものとしてこの比速度が用いられ,水車の\(\fbox {  (ウ)  }\)ごとに適切な比速度の範囲が存在する。

水車の回転速度を\(\ n \ \mathrm {[min ^{-1}]} \ \),有効落差を\(\ H \ \mathrm {[m]} \ \),ランナ1個当たり又はノズル1個当たりの出力を\(\ P \ \mathrm {[kW]} \ \)とすれば,この水車の比速度\(\ n_{\mathrm {s}} \ \)は,次の式で表される。
\[
\begin{eqnarray}
n_{\mathrm {s}} &=&n \cdot \frac {\displaystyle P^{\frac {1}{2}}}{\displaystyle H^{\frac {5}{4}}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] 通常,ペルトン水車の比速度は,フランシス水車の比速度より\(\fbox {  (エ)  }\)。

比速度の大きな水車を大きな落差で使用し,吸出し管を用いると,放水速度が大きくなって,\(\fbox {  (オ)  }\)やすくなる。そのため,各水車には,その比速度に適した有効落差が決められている。

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ),(エ)及び(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
\[
\begin{array}{cccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) & (オ) \\
\hline
(1) & \displaystyle {一定に保って}\atop \displaystyle {有効落差を} & 単位流量( 1 \ \mathrm {m^{3}/s} ) & 出力 & 大きい & 高い効率を得 \\
\hline
(2) & \displaystyle {一定に保って}\atop \displaystyle {有効落差を} & 単位落差( 1 \ \mathrm {m} ) & 種類 & 大きい & \displaystyle {キャビテーション}\atop \displaystyle {が生じ} \\
\hline
(3) & \displaystyle {相似に保って}\atop \displaystyle {大きさを} & 単位流量( 1 \ \mathrm {m^{3}/s} ) & 出力 & 大きい & 高い効率を得 \\
\hline
(4) & \displaystyle {相似に保って}\atop \displaystyle {大きさを} & 単位落差( 1 \ \mathrm {m} ) & 種類 & 小さい & \displaystyle {キャビテーション}\atop \displaystyle {が生じ} \\
\hline
(5) & \displaystyle {相似に保って}\atop \displaystyle {大きさを} & 単位流量( 1 \ \mathrm {m^{3}/s} ) & 出力 & 小さい & 高い効率を得 \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

比速度の定義に関する問題です。式は比較的与えられていることが多いですが,覚えておいた方が良い重要公式です。キャビテーションも非常に重要な内容となりますので,よく理解しておくようにして下さい。

1.比速度の定義
水車の形状を相似に保ったまま大きさを小さくし,\( \ 1 \ \mathrm {[m]} \ \)の有効落差で\( \ 1 \ \mathrm {[kW]} \ \)の出力を発生するときの回転速度を言います。定格回転数を\( \ n \ \mathrm {[min^{-1}]} \ \),水車の出力を\( \ P \ \mathrm {[kW]} \ \),有効落差を\( \ H \ \mathrm {[m]} \ \)とすると,比速度\( \ n_{\mathrm {s}} \ \mathrm {[m\cdot kW]} \ \)は,
\[
\begin{eqnarray}
n_{\mathrm {s}} &=&n \cdot \frac {\displaystyle P^{\frac {1}{2}}}{\displaystyle H^{\frac {5}{4}}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。

2.キャビテーション
水車中の水の圧力が,その時の蒸気圧以下に低下すると,水が水蒸気になり気泡が発生します。その気泡が再び圧力が高い場所に行くと液化し,気泡が崩壊する現象を言います。
キャビテーションにより,衝動水車ではニードル弁の浸食(エロ―ジョン),反動水車ではランナの浸食,各部の振動,騒音の発生等が発生します。

【解答】

解答:(4)
(ア)
(イ)
ワンポイント解説「1.比速度の定義」の通り,比速度は水車の形を相似に保って大きさを小さく変えた時,\( \ 1 \ \mathrm {[m]} \ \)の有効落差で\( \ 1 \ \mathrm {[kW]} \ \)の出力を発生するときの回転速度を言います。

(ウ)
(エ)
比速度の適切な範囲は水車の種類によって異なり,ペルトン水車が一番小さく,フランシス水車→斜流(デリア)水車→プロペラ(カプラン)水車の順に高くなります。

(オ)
ワンポイント解説「2.キャビテーション」にもある通り,水車の比速度を大きくし過ぎると,キャビテーションが発生しやすくなります。