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【問題】
【難易度】★★★★☆(やや難しい)
日本において将来に向けた検討がなされている新型炉に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
(1) 高速増殖炉では,ウラン\( \ 238 \ \)が速度の遅い熱中性子を吸収して核分裂を起こし,プルトニウム\( \ 239 \ \)に転換される。
(2) 高速増殖炉では,燃料の核分裂により消費したプルトニウム\( \ 239 \ \)の量より多くのプルトニウム\( \ 239 \ \)が生成される。
(3) 高温ガス炉では,不活性なヘリウムガスを冷却材,黒鉛を減速材として使用する。
(4) 核融合炉では,ウランなどの核分裂物質ではなく,軽い原子である水素やヘリウムの核融合反応を利用する。
(5) 核融合炉では,プラズマ状態にした重水素の原子核をきわめて高速で衝突させて,核融合反応を利用する。
【ワンポイント解説】
将来に向けた検討がなされている新型炉に関する問題です。
電験ではこれまで出題されてこなかったような内容ですが,「高速増殖炉=高速中性子+核分裂性物質が増殖」であることを知っていれば,正答も選択できたのではないかと予想されます。
新問題でも過去問の知識は十分に役立つので,過去問をしっかりと学習していくようにして下さい。
1.高速増殖炉
核分裂反応で発生する高速中性子を減速させずに利用し,燃料として消費した核分裂性物質以上の核分裂性物質を生成する原子炉です。原子炉内で消費された核分裂性物質の量に対する生成される核分裂性物質の量の比を転換比といい,軽水炉においては\( \ 0.6 \ \)程度ですが,高速増殖炉においては\( \ 1.2 \ \)程度となります。
高速中性子を減速させないようにするため,冷却材には中性子を吸収しにくく,熱伝導率が高い液体ナトリウムが使用されます。
高速増殖炉が実用化すると,ウラン資源を有効に利用することが可能となりますが,ナトリウムの取り扱いが難しく,技術的な難易度が高いため,実用化までの課題が多いのが現状です。
出典:日本原子力発電株式会社 HP
URL:https://www.japc.co.jp/project/approach/research.html
2.高温ガス炉
軽水炉において冷却材や減速材で用いる軽水の代わりに,冷却材にヘリウムガス,減速材に黒鉛を用いる炉です。
軽水炉では発生する蒸気温度が\( \ 300 \ \mathrm {{}^{\circ} C} \ \)程度なのに対し,高温ガス炉では\( \ 900 \ \mathrm {{}^{\circ} C} \ \)程度のガスを発生させ,ガスタービンを回転させます。
したがって,熱効率が高くなり\( \ 45 \ \mathrm {%} \ \)程度と,軽水炉の約\( \ 30 \ \mathrm {%} \ \)より高いのが特徴です。
また,燃料を耐熱性の高いセラミックスで覆うことで冷却機能を失ってもメルトダウンに至らず自然放熱で停止でき,安全性も高いとされています。
出典:国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 HP
URL:https://www.jaea.go.jp/02/press2018/p19012502/
3.核融合炉
重水素や三重水素を燃料とし,ヘリウムを生成する核融合反応によりエネルギーを得る炉です。太陽で生じている反応と同じ原理を利用します。
主に海水中に存在する重水素やリチウムから生成可能な三重水素を利用するため,資源が枯渇するリスクがほぼありません。
また,現在の原子力発電とは異なり,異常発生時に反応が自然に停止し,高レベル放射性物質の発生もないため,安全性が高いとされています。
高温のプラズマを安定して制御・維持する技術や耐熱性材料の課題があり,2026年現在,実用化に向け研究・開発が進められています。
出典:自然科学研究機構 核融合科学研究所 HP
URL:https://www.nifs.ac.jp/ene/slide/002-004.html
【解答】
解答:(1)
(1)誤り
ワンポイント解説「1.高速増殖炉」の通り,高速増殖炉では,ウラン\( \ 238 \ \)が高速中性子を吸収して核分裂を起こし,プルトニウム\( \ 239 \ \)に転換されます。
(2)正しい
ワンポイント解説「1.高速増殖炉」の通り,高速増殖炉では,燃料の核分裂により消費したプルトニウム\( \ 239 \ \)の量より多くのプルトニウム\( \ 239 \ \)が生成されます。
(3)正しい
ワンポイント解説「2.高温ガス炉」の通り,高温ガス炉では,ヘリウムガスを冷却材,黒鉛を減速材として使用します。
(4)正しい
ワンポイント解説「3.核融合炉」の通り,核融合炉では,ウランなどの核分裂反応ではなく,軽い原子である水素やヘリウムの核融合反応を利用します。
(5)正しい
ワンポイント解説「3.核融合炉」の通り,核融合炉では,プラズマ状態にした重水素の原子核をきわめて高速で衝突させて,核融合反応を利用します。

















愛知県出身 愛称たけちゃん
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