《電力》〈配電〉[R07下:問7] 6.6 kV 非接地方式配電線及び高圧受電設備の保護に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★★☆☆(普通)

\( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)非接地方式配電線及び高圧受電設備の保護に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

(1) 高圧受電設備における地絡保護装置は,零相変流器により零相電流を検出して動作させる地絡過電流継電器や,接地用変圧器により零相電圧を検出して零相電流と零相電圧を組み合わせて動作させる地絡方向継電器が用いられる。

(2) 配電線の保護方式として,故障遮断による供給支障を極力少なくする目的で,故障遮断後に電源側から健全な区間を選別して再送電する時限順送式故障区間分離方式がある。

(3) 高圧受電設備における地絡保護装置において,地絡過電流継電器は無方向性のため,構内の高圧ケーブルのこう長が短い場合は外部事故時に大きな零相電流が流れて不要動作することがある。

(4) 地絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に地絡方向継電器と地絡過電圧継電器を組み合わせて設置される。

(5) 短絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に過電流継電器が設置される。

【ワンポイント解説】

\( \ 6.6 \ \mathrm {kV} \ \)非接地方式配電線及び高圧受電設備の保護に関するに関する問題です。
本問は過去問からの再出題ではありませんが,誤りの選択肢の内容は電験でも何度も出題されている内容なので,必ず理解するようにして下さい。

1.受電設備の保護協調
高圧受電設備は,変電所からの配電線に複数の需要家が連なっているので,需要家構内の事故により変電所で遮断することになると他の需要家の停電等が起こる波及事故に繋がります。
したがって,受電設備の遮断器から負荷側の事故に対しては,直ちに事故を検出し需要家内の遮断器で遮断する必要があり,これを保護協調といいます。
受電設備の保護協調には,過電流保護と地絡保護があります。

①過電流保護
構内事故発生時に配電用変電所の過電流保護装置より速く動作しなければならない一方,変圧器の励磁突入電流や電動機の始動電流等正常運転時に動作しないようにする必要があります。したがって,構内の機械器具や電線を保護しかつ変電所の保護装置と動作電流及び動作時限の協調を行える整定値としなければなりません。
主遮断装置として高圧交流遮断器を用い保護リレー装置などとの組み合わせによって保護を行う\( \ \mathrm {CB} \ \)形と,限流ヒューズと高圧交流負荷開閉器を組み合わせて保護を行う\( \ \mathrm {PF\cdot S} \ \)形があります。

②地絡保護
構内地絡事故発生時に確実に動作し,構外地絡事故に対し動作しないようにする必要があります。
地絡継電器方式と地絡方向継電器方式があり,以下に説明するように主に需要家構内のケーブルが短い場合は地絡継電器方式,長い場合は地絡方向継電器方式が採用されます。

例えば、図1に示すような需要家があった場合,図1の構外の地点で地絡事故が発生したとすると,零相変流器に流れる電流\( \ I_{\mathrm {ZCT}} \ \mathrm {[A]} \ \)は,分流の法則より,
\[
\begin{eqnarray}
I_{\mathrm {ZCT}}&=&\frac {\displaystyle \frac {1}{\mathrm {j}2\pi f\cdot 3C_{1}}}{\displaystyle \frac {1}{\mathrm {j}2\pi f\cdot 3C_{1}}+\frac {1}{\mathrm {j}2\pi f\cdot 3C_{2}}}I_{\mathrm {g}} \\[ 5pt ] &=&\frac {\displaystyle \frac {1}{C_{1}}}{\displaystyle \frac {1}{C_{1}}+\frac {1}{C_{2}}}I_{\mathrm {g}} \\[ 5pt ] &=&\frac {C_{2}}{C_{1}+C_{2}}I_{\mathrm {g}} \\[ 5pt ] \end{eqnarray}
\] となります。需要家構内の線路が短く静電容量が小さい場合は上式の\( \ C_{2} \ \)の値が非常に小さくなり零相変流器にはほとんど電流が流れませんが,長いケーブルを使用する等で静電容量が大きくなると,構外の地絡事故による不必要動作が発生してしまいます。したがって,このような例では地絡継電器ではなく地絡方向継電器を設置することになります。

2.時限順送方式
配電線のどこかで故障があった場合,直近の遮断器を開放し,故障の復旧を行います。
図2の例では,例えば図の\( \ \mathrm {F} \ \)点で故障があった場合,
①配電用変電所の遮断器を開放します。同時に自動開閉器を開放します。
②一定時間経過後に遮断器を投入します。
③数秒後,自動開閉器\( \ 1 \ \)を自動投入します。
④数秒後,自動開閉器\( \ 2 \ \)を自動投入します。
⑤再度,故障が発生した場合には遮断器を開放し,自動開閉器\( \ 2 \ \)はロックします。
その後②~③を繰り返し,対応の必要な最小区間のみを停止することになります。

【解答】

解答:(3)
(1)正しい
問題文の通り,高圧受電設備における地絡保護装置は,零相変流器により零相電流を検出して動作させる地絡過電流継電器や,接地用変圧器により零相電圧を検出して零相電流と零相電圧を組み合わせて動作させる地絡方向継電器が用いられます。

(2)正しい
ワンポイント解説「2.時限順送方式」の通り,配電線の保護方式として,故障遮断による供給支障を極力少なくする目的で,故障遮断後に電源側から健全な区間を選別して再送電する時限順送式故障区間分離方式があります。

(3)誤り
ワンポイント解説「1.受電設備の保護協調」の通り,地絡過電流継電器は無方向性のため,構内の高圧ケーブルのこう長が長い場合に外部事故時に大きな零相電流が流れて不要動作することがあります。

(4)正しい
問題文の通り,地絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に地絡方向継電器と地絡過電圧継電器を組み合わせて設置されます。

(5)正しい
ワンポイント解説「1.受電設備の保護協調」の通り,短絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に過電流継電器が設置されます。