《法規》〈電気事業法〉[H29:問10]再生可能エネルギーの建設計画に関する論説問題

【問題】

【難易度】★★☆☆☆(やや易しい)

次のa,b,c及びdの文章は,再生可能エネルギー発電所等を計画し,建設する際に,公共の安全を確保し,環境の保全を図ることなどについての記述である。
これらの文章の内容について,「電気事業法」に基づき,適切なものと不適切なものの組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

a 太陽電池発電所を建設する場合,その出力規模によって設置者は工事計画の届出を行い,使用前自主検査を行うとともに,当該自主検査の実施に係る主務大臣が行う審査を受けなければならない。

b 風力発電所を建設する場合,その出力規模によって設置者は環境影響評価を行う必要がある。

c 小出力発電設備(現:小規模発電設備)を有さない一般用電気工作物の設置者が,その構内に小出力発電設備(現:小規模発電設備)となる水力発電設備を設置し,これを一般用電気工作物の電線路と電気的に接続して使用する場合,これらの電気工作物は自家用電気工作物となる。

d \( \ 66 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)の送電線路と連系するバイオマス発電所を建設する場合,電気主任技術者を選任しなければならない。

\[
\begin{array}{ccccc}
& \mathrm {a} & \mathrm {b} & \mathrm {c} & \mathrm {d} \\
\hline
(1) &  不適切  &  適 切  &  適 切  &  適 切  \\
\hline
(2) &  適 切  &  不適切  &  適 切  &  不適切  \\
\hline
(3) &  適 切  &  適 切  &  不適切  &  不適切  \\
\hline
(4) &  適 切  &  適 切  &  不適切  &  適 切  \\
\hline
(5) &  不適切  &  不適切  &  適 切  &  不適切  \\
\hline
\end{array}
\]

【ワンポイント解説】

電気事業法の重要な条文から多く出題されています。特にaとdは実務で電気主任技術者に認定された場合でも非常に重要な内容です。出題者の意図があるのかわかりませんが,本問もaとdが分かれば解けるようになっています。

【解答】

解答:(4)

a:適切
a 太陽電池発電所を建設する場合,その出力規模によって設置者は工事計画の届出を行い,使用前自主検査を行うとともに,当該自主検査の実施に係る主務大臣が行う審査を受けなければならない。
→太陽光発電所も出力が大きくなれば(具体的には\( \ 2 \ 000 \ \mathrm {kW} \ \)以上)工事計画の届出等を行わなければなりません。

<電気事業法第48条(抜粋)>
事業用電気工作物の設置又は変更の工事(前条第一項の主務省令で定めるものを除く。)であって、主務省令で定めるものをしようとする者は、その工事の計画を主務大臣に届け出なければならない。その工事の計画の変更(主務省令で定める軽微なものを除く。)をしようとするときも、同様とする。

<電気事業法第51条(抜粋)>
第48条第1項の規定による届出をして設置又は変更の工事をする事業用電気工作物(その工事の計画について同条第四項の規定による命令があつた場合において同条第一項の規定による届出をしていないもの及び第49条第1項の主務省令で定めるものを除く。)であって、主務省令で定めるものを設置する者は、主務省令で定めるところにより、その使用の開始前に、当該事業用電気工作物について自主検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

b:適切
b 風力発電所を建設する場合,その出力規模によって設置者は環境影響評価を行う必要がある。
→風力発電所も出力規模によって(具体的には\( \ 7 \ 500 \ \mathrm {kW} \ \)以上)の場合に環境影響評価を行う必要があります。

<電気事業法第46条の2>
事業用電気工作物の設置又は変更の工事であつて環境影響評価法第2条第2項に規定する第一種事業又は同条第3項に規定する第二種事業に該当するものに係る同条第1項に規定する環境影響評価(以下「環境影響評価」という。)その他の手続については、同法及びこの款の定めるところによる。

c:不適切
c 小出力発電設備を有さない一般用電気工作物の設置者が,その構内に小出力発電設備となる水力発電設備を設置し,これを一般用電気工作物の電線路と電気的に接続して使用する場合,これらの電気工作物は自家用電気工作物となる。
→小出力発電設備(現:小規模発電設備)を一般用電気工作物の電線路と電気的に接続して使用する場合,この電気工作物は一般用電気工作物となります。

<電気事業法第38条(抜粋)>
この法律において「一般用電気工作物」とは、次に掲げる電気工作物であつて、構内(これに準ずる区域内を含む。以下同じ。)に設置するものをいう。ただし、小規模発電設備(低圧(経済産業省令で定める電圧以下の電圧をいう。第一号において同じ。)の電気に係る発電用の電気工作物であって、経済産業省令で定めるものをいう。以下同じ。)以外の発電用の電気工作物と同一の構内に設置するもの又は爆発性若しくは引火性の物が存在するため電気工作物による事故が発生するおそれが多い場所として経済産業省令で定める場所に設置するものを除く。

一 電気を使用するための電気工作物であつて、低圧受電電線路(当該電気工作物を設置する場所と同一の構内において低圧の電気を他の者から受電し、又は他の者に受電させるための電線路をいう。次号ロ及び第3項第一号ロにおいて同じ。)以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないもの

二 小規模発電設備であつて、次のいずれにも該当するもの

 イ 出力が経済産業省令で定める出力未満のものであること。

 ロ 低圧受電電線路以外の電線路によりその構内以外の場所にある電気工作物と電気的に接続されていないものであること。

三 前二号に掲げるものに準ずるものとして経済産業省令で定めるもの

d:適切
d \( \ \color {blue} {66 \ 000 \ \mathrm {V}} \ \)の送電線路と連系するバイオマス発電所を建設する場合,電気主任技術者を選任しなければならない。
→電圧\( \ 50 \ 000 \ \mathrm {V} \ \)以上なので第一種もしくは第二種電気主任技術者の選任が必要です。

<電気事業法施行規則第56条(抜粋)>
法第44条第5項の経済産業省令で定める事業用電気工作物の工事、維持及び運用の範囲は、次の表の上欄に掲げる主任技術者免状の種類に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げるとおりとする。
\[
\begin{array}{|c|c|}
\hline
主任技術者免状の種類 & 保安の監督をすることができる範囲 \\
\hline
一 第一種電気主任技術者免状 & 事業用電気工作物の工事、維持及び運用 \\
\hline
二 第二種電気主任技術者免状 & {\displaystyle 電圧170 \ 000 \ \mathrm {V} \ 未満の事業用電気工作}\atop {\displaystyle 物の工事、維持及び運用      } \\
\hline
三 第三種電気主任技術者免状 & {\displaystyle 電圧 \ 50 \ 000 \ \mathrm {V} \ 未満の事業用電気工作物}\atop {{\displaystyle (出力\mathrm {5000 \ kW} \ 以上の発電所を除く。)}\atop {\displaystyle の工事、維持及び運用        }} \\
\hline
\end{array}
\]