《機械》〈情報伝送及び処理〉[H20:問14]計算機に使用される記憶装置に関する空欄穴埋問題

【問題】

【難易度】★★★★☆(やや難しい)

記憶装置には,読み取り専用として作られた\( \ \mathrm {ROM}^{※1} \ \)と読み書きができる\( \ \mathrm {RAM}^{※2} \ \)がある。\( \ \mathrm {ROM} \ \)には,製造過程においてデータを書き込んでしまう\( \ \fbox {  (ア)  } \ \mathrm {ROM} \ \),電気的にデータの書き込みと消去ができる\( \ \fbox {  (イ)  } \ \mathrm {ROM} \ \)などがある。また,\( \ \mathrm {RAM} \ \)には,電源を切らない限りフリップフロップ回路などでデータを保持する\( \ \fbox {  (ウ)  } \ \mathrm {RAM} \ \)と,データを保持するために一定時間内にデータを再書き込みする必要のある\( \ \fbox {  (エ)  } \ \mathrm {RAM} \ \)がある

上記の記述中の空白箇所(ア),(イ),(ウ)及び(エ)に当てはまる語句として,正しいものを組み合わせたのは次のうちどれか。

\[
\begin{array}{ccccc}
& (ア) & (イ) & (ウ) & (エ) \\
\hline
(1) &  マスク  &  \mathrm {EEP}^{※3}  &  ダイナミック  &  スタティック  \\
\hline
(2) &  マスク  &  \mathrm {EEP}  &  スタティック  &  ダイナミック  \\
\hline
(3) &  マスク  &  \mathrm {EP}^{※4}  &  ダイナミック  &  スタティック  \\
\hline
(4) &  プログラマブル  &  \mathrm {EP}  &  スタティック  &  ダイナミック  \\
\hline
(5) &  プログラマブル  &  \mathrm {EEP}  &  ダイナミック  &  スタティック  \\
\hline
\end{array}
\] (注)
\( \ ※1 \ \)の 「\( \ \mathrm {ROM} \ \)」 は, 「\( \ \mathrm {Read \ Only \ Memory} \ \)」の略,
\( \ ※2 \ \)の 「\( \ \mathrm {RAM} \ \)」 は, 「\( \ \mathrm {Random \ Access \ Memory} \ \)」の略,
\( \ ※3 \ \)の 「\( \ \mathrm {EEP} \ \)」 は, 「\( \ \mathrm {Electrically \ Erasable \ and \ Programmable} \ \)」の略及び
\( \ ※4 \ \)の 「\( \ \mathrm {EP} \ \)」 は, 「\( \ \mathrm {Erasable \ Programmable} \ \)」の略である。

【ワンポイント解説】

記憶装置に関する問題です。
基本的には選択問題で出題される内容ですが,本問においては必須問題として出題されています。
受験生の心理を考えると少し厳しい問題ですが,内容としてはそれほど難解ではないため,以下の内容を覚えておくようにして下さい。

1.\( \ \mathrm {DRAM} \ \)と\( \ \mathrm {SRAM} \ \)
\( \ \mathrm {RAM \ \left( \ Random \ access \ memory \ \right) } \ \)は半導体メモリの分類の一つで,ハードディスク等の主記憶装置より動作が早く,記憶容量が少ないため,コンピュータの高速化をするための一次記憶領域として使用されます。
\( \ \mathrm {DRAM} \ \)も\( \ \mathrm {SRAM} \ \)も電源が落ちると記憶している情報が失われる揮発性メモリとなります。電源が落ちても記憶が失われないメモリに\( \ \mathrm {ROM} \ \)やフラッシュメモリ等があります。


出典:電気工学ハンドブック(第7版) 一般社団法人電気学会 オーム社 P.1722

①\( \ \mathrm {DRAM \ \left( \ Dynamic \ Random \ access \ memory \ \right) } \ \)
コンデンサに電荷を蓄えることによって情報を記憶します。コンデンサの特徴から,時間とともに自然放電によりデータが消えてしまうため,一定時間毎にデータの再書き込みを行うリフレッシュを行う必要があります。\( \ \mathrm {SRAM} \ \)と比較して消費電力が大きく,データを読み出す時間が若干遅いですが,高密度に集積でき,容量あたりの価格も安くなります。

②\( \ \mathrm {SRAM \ \left( \ Static \ Random \ access \ memory \ \right) } \ \)
フリップフロップを用いて情報を記憶します。電源から電気が供給されている限りデータを保持しているため,リフレッシュを行う必要がありません。データを読み出す時間が非常に早いので,\( \ \mathrm {CPU} \ \)の一次記憶領域であるキャッシュメモリとして採用されています。ただし,\( \ \mathrm {DRAM} \ \)よりも\( \ 1 \ \)ビットの記憶に多くの素子を使用することから,容量あたりの価格は高くなります。

2.\( \ \mathrm {ROM} \ \)の種類とそれぞれの特徴
\( \ \mathrm {ROM} \left( \mathrm {Read \ Only \ Memory} \right) \ \)はその名の通り原則読み取り専用のメモリです。電源供給がなくなってもデータを保持できる不揮発性のメモリで,以下の種類に分類されます。

①マスク\( \ \mathrm {ROM} \ \)
製造工程においてデータを記憶させる\( \ \mathrm {ROM} \ \)で,データを書き換えすることができない\( \ \mathrm {ROM} \ \)です。
一度記憶させると書き換えできないことから,コンピュータのシステム等に利用され,信頼性・安定性が高いという特徴があります。

②\( \ \mathrm {PROM} \ \)
\( \ \mathrm {PROM} \ \left( \ \mathrm { Programmable \ ROM } \ \right) \ \)は,データ削除・書き込みが可能な\( \ \mathrm {ROM} \ \)で,紫外線を使って書き換えができる\( \ \mathrm {EPROM}\ \left( \ \mathrm {Erasable \ Programmable \ ROM} \ \right) \ \)と電気信号を使って書き換えができる\( \ \mathrm {EEPROM}\ \left( \ \mathrm { Electrically \ Erasable \ and \ Programmable \ ROM } \ \right) \ \)があります。

【解答】

解答:(2)
(ア)
ワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {ROM} \ \)の種類とそれぞれの特徴」の通り,製造過程においてデータを書き込んでしまう\( \ \mathrm {ROM} \ \)はマスク\( \ \mathrm {ROM} \ \)と呼ばれます。

(イ)
ワンポイント解説「2.\( \ \mathrm {ROM} \ \)の種類とそれぞれの特徴」の通り,電気的にデータの書き込みと消去ができる\( \ \mathrm {ROM} \ \)を\( \ \mathrm {EEPROM} \ \)と言います。

(ウ)
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {DRAM} \ \)と\( \ \mathrm {SRAM} \ \)」の通り,電源を切らない限りフリップフロップ回路などでデータを保持する\( \ \mathrm {RAM} \ \)をスタティック\( \ \mathrm {RAM} \ \left( \mathrm {SRAM} \right) \ \)と言います。

(エ)
ワンポイント解説「1.\( \ \mathrm {DRAM} \ \)と\( \ \mathrm {SRAM} \ \)」の通り,データを保持するために一定時間内にデータを再書き込みする必要のある\( \ \mathrm {RAM} \ \)をダイナミック\( \ \mathrm {RAM} \ \left( \mathrm {DRAM} \right) \ \)と言います。